デザイナーにとっての「守破離」

ここ数日、若い2人のデザイナーに対して、やや厳し目のフィードバックを出している。2人ともその指示に対し、負けじと頑張って喰らいついてくる。

「守破離(しゅはり)」という言葉がある。日本の茶道、武道、芸術などにおける学びの姿勢を示す言葉で、3文字それぞれが学びのステップを意味している。

  •  守は基本を徹底的に真似ること
  •  破は他人の手法を研究して成長すること
  •  離は自分のスタイルを探求してブレイクスルーすること

元々デザイナーのための言葉ではないが、普遍的な内容であり、当然デザイナーにも多くの面で当てはまる考え方である。

デザイナーとして駆け出しの頃は、「守」のステージにいるといえる。自身の中に多くのノウハウがないため、ただひたすら師匠や先輩の手法を徹底的に真似ることで、基礎が固まる。

この時期は正直、面白さを見つける前の段階で、つらい、厳しい、しんどい時期かもしれない。

また経験者であっても、新しい分野にチャレンジするときは、誰しも「守」のステージに引き戻される。デザイナー経験10年以上の自分の場合も、デザインについては「離」のステージにいるべきと考えているが、マーケティングやアクセス解析といった分野については、まだ「守」の段階と言える。これらをデザインに絡ませるような仕事は日々試行錯誤で、簡単に言ってしまえばつらく、しんどい。

しかし「守」のステージを経験しなければ、型を破るというクリエイティブの本質である「破」、そこからさらには独自のスタイルや個性を確立する「離」には到達できない。

この「守破離」の流れは、成長の根底に流れている基本的な道筋であり、その道に沿って地道に学んでいけば、やがてなんらかの結果に結びつけることができると、自分のこれまでの経験を振り返ってみても思うところである。

駆け出しのデザイナーは、まずはどんどん、会社の先輩や業界の先人たちのやり方を見て、盗めるところを盗み、真似できるところは徹底的に真似てみるといいだろう。そうすればやがて土台となる「型」のようなものができあがってくるだろう。

また、若手を育成する立場にいるものは、彼らが「守」のステージにおり、彼らが真似をし、土台作りができるような環境や仕事の仕方を意識して、指導や業務依頼をしていくべきだろう。