真のプロは、経験や感情に流されず、常にフェアである

自らの経験を基準に物事を判断し、行動するのは、人の基本である。私自分もデザイナーとして蓄積してきたノウハウを活かし、日々多くの判断を行っている。しかし、経験則での判断を多用するのは非常に危険だと感じることも多い。

例えば、Webサイトに訪問するユーザには、人それぞれの経験や価値観、常識、その時置かれている環境という特別な事情が必ずある。それらを無視して自分の経験だけで判断すると、ユーザ目線で物事を発想することに、大きな支障をきたすこともあるだろう。

プライベートなら好きに行動すればいいが、仕事では、ベイジの行動指針にもあるように、フェアな視点が求められる。経験則という固定観念から自身を解き放ち、いかに深くまで相手の状況を読み解き、判断できるかが求められる。

仕事の中での「フェアさ」という意味は、経験則に囚われないこと以外に、自身の感情に支配されないことも重要だ。自分の好き嫌いやその時の気持ちを切り離し、建設的な姿勢で論理的に具体策を打ち出せるか、ということである。

一生懸命考えてもなかなか答えにたどり着かない時、技術的な壁にぶちあたってブレイクスルーできない時、同じ優先度の問題を同時に対応することが求められる時、ともに仕事を進めるクライアントやチームから難題が投げかけられた時、締め切りが目の前で時間に追われている時、体力的にきつい時。

偉大な経営者だろうが、入社1年目の社員だろうが、どんな仕事をしていても、その人にとって困難な状況というものは必ず訪れる。その時に、感情に流され、自分本位の薄い解釈、論理が飛躍した発想をしていないか。冷静さを欠いた判断を行い、建設的に議論することをあきらめ、誰かに答えを出してもらおうと受け身になっていないか。

脳も筋肉のように負荷を感じる。経験則や感情に押し流されると、脳にかかる負荷は減り、楽になる。しかし、負荷の少ない思考ばかりしていては、筋肉質な強い思考力を身に付けることはできない。そのことは、安定的にフェアな判断をすることを難しくし、質の高いアウトプットを継続的に生み出すことも困難にするだろう。

冷静な意思決定や質の高いアウトプットを安定的に生み出すのは、自分が想像する理想のプロである。であるならば、経験則に流されない判断、感情に支配されない建設的な姿勢は、最低条件として身に付けておきたい資質である。