言葉をきちんと定義し、認識合わせをすることの大切さ

webの仕事をしていると、関連用語や技術用語がもともと多い上、新たな用語やトピックが次々と登場し、業務での会話やミーティングでもすぐ使われ始める、ということがよくある。

進歩が早いと肯定的にとらえられる反面、弊害もあると感じている。情報の移り変わりが早く、文脈的に複雑なものもあって、メンバー間での言葉のとらえ方や認識にズレが生じる、といったことが起きやすい。

こうした認識のズレに対して、プロジェクトチーム内や会社単位だけでも、用語の定義と認識合わせをしておくことの大切さを感じる。認識合わせから円滑なコミュニケーションと非効率の回避が生まれると考えている。

そのため私は、あらゆるメンバーが集まるミーティングの場で「目線合わせ」と称して技術などの情報共有を行うことを意識的にしている。

また、たとえばコーディングにおいて汎用的に使い回せるパーツの呼び方は、コンポーネントなのか、モジュールなのか、ユニットなのか、ブロックなのか、またこれらの呼び名の違いは一体どこから来るのか、といったことまで把握して用いたい。UIの一つであるページ番号のリンクはページネーションと呼ぶのか、それともページングと呼ぶのか、UXUI、ユーザビリティとアクセシビリティの違いの認識はできているかなど、人によって解釈が異なりそうな事柄はあぶり出して決め事にしておきたい。

他者に誤解なく、自分の意図を伝えることはなかなか難しい。「自分はこういうつもり」と思っていても、相手と共通の認識ができているという確信を得られるまでは常に伝達や確認が不足している状態だと思った方がいいだろう。

プロジェクトの進行スケジュールなどにおいても、ディレクターと重要なポイントは押さえながら認識をすり合わせておいたほうが間違いが少ない。

認識を合わせ、分かりやすさを重視することは、コーディングや技術文書作成に置き換えても通じるものがある。明確なルールを定め、誰にも伝わりやすく理解しやすい言葉やネーミングを心がける。論理的でシンプルな書き方をする。そうすることで明日以降の自分だけでなく、ほかの人にとっても手を加えやすく、使いやすいプロダクトになるはずだ。

一方でこうしたスキルは、経験を重ねていくことでしか得られないようにも感じる。「これが大多数の人にとっての共通項だろう」という解を自分の中にパターンとして蓄積していく必要がある。いわゆる抽象化というものだ。

AIの機械学習・深層学習もパターンを多く学ぶことで、 知能と呼べるものを形成していく。人間も個それだけではなく、群(社会)ととらえると、たくさんの人と接し、その多くの中から共通のパターンを見つけて学ぶしかないのだろう。

他者が理解できないものはその場だけで完結してしまう。きちんと言葉を定義できること、人と共通認識を持てることは最適解に近づく最短ルートではないだろうか。

とある案件に携わった際、最初はただ言われた通りのことをこなすだけで、プロジェクトを少しも理解できず、消化不良感と疲弊が大きかった。他の実装工程がどうなっているかや、フロー、ニーズといったものがまったく見えず、結果的に重複した作業をしていたり、非効率で遠回りなことに時間を費やしたりしていた。

しかし、回を重ねるたびにプロジェクトの全容や物事の関係性を俯瞰して見るようにし、どのように行動すれば良いかがだいぶ判断できるようになっていった。これにより、改善への道筋がクリアに見えるようになり、最終的には提案と効率改善の実現に結び付けることができた。

以上のことから仕事の効率化を図りクオリティを上げるために、以下の3点は押さえておきたい。

  • 言葉や用語をあいまいにせず、調べて把握した上でしっかり定義する
  • 必要な時は確認やすり合わせを怠らず、チームで共通認識を持つ
  • 現象をしっかりと把握するため全体を俯瞰して、最適化を考える

これらをエンジニアリングや仕事に適用するだけでなく、何事にも通じる普遍的なスキルとして磨いておきたい。