ブリーフィングで使える昔話メソッドのすすめ

ブリーフィングで説明する側に立ってみると、説明することへの苦手意識からプレッシャーを感じすぎてしまう人がいる。説明できないとまではいかないけれど、話しているうちに時系列がぐちゃぐちゃになってしまうだとか、関係者の解説で混乱してしまうだとか、そういった悩みを持つ人は多いのではないだろうか。

そこで、私はブリーフィングで情報をうまく伝えるコツとして、昔話メソッドを使う、というのをお勧めしている。「昔々、あるところに…….」と始まる、有名な桃太郎のお話の型をなぞるように、状況を説明するのである。

もちろん、リアルに「むかーしむかし……」と話し始めるのではない。プロジェクト関連の情報を整理するフレームワークとして物語の型を活用する、という意味だ。

昔話は多くの人が慣れ親しんだフォーマットだけに、話がスッと入ってきやすいのもあるが、もう少し噛み砕くと以下の2つにポイントがあるように思う。

1.時系列で話せる

説明する側はどうしても近視眼的になり、「◯◯さんには△△△を■■までにやってほしい」など、直近のタスクについてばかり話しがちだ。しかし、ブリーフィングを受ける側としては初見のことも多く、まずはプロジェクトの全体像や前提、背景を把握しないと現在の課題に対しても正しい回答ができない。

ストレスなくプロジェクトへの理解を深めてもらうためには、知識の外堀をうめた上で徐々に核心に迫ることが重要だ。

そこで、昔話メソッドを取り入れてみると、「昔々、◯◯◯という会社から◯◯の依頼があって、◯◯しました。そして、~というできごとがありました。なので~を実現するために~が必要なわけですが、ここで◯◯さんに~をお願いしたいわけです」といった具合になる。

このように、まずは説明する前に自分の頭の中で現在までの経緯を遡られるだけ遡り、実際に説明する際は物事の起きた順に話すと、自然な流れができて良いと思う。

2.ステークホルダーをまとめられる

昔話を語るにあたって外せないのは、おじいさんやおばあさん、鬼といった、登場人物の存在である。昔話に出てくる登場人物はかなり記号化されており、相関関係も非常にわかりやすい。

なのでこれら登場人物を利用して説明すると、ステークホルダーの利害関係や全体像が見えてきて、作業者自身の立ち位置が明確になる。

例えば、昔話では「ある山にとても仲のいいおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へせんたくに行きました」となるのを真似して、「打ち合わせでもかなり意見の一致していたAさんとBさんがいました。Aさんは~をしていて、Bさんは社内の~をしています」と、相関関係と役割が分かるように説明するのだ。

もちろん、現実のプロジェクトではステークホルダーをそれぞれの登場人物に完璧に割り振れないことだってあるかもしれない。そういう時はこのわかりやすさを意識するだけでも、相手に伝えるべき情報の取捨選択ができ、説明を受ける側で起こりがちな「詳細部分まで一気に説明されたせいで覚えられない」、「情報が足りなくて関係を把握できない」といった事故も減らすことができる。

おわりに

話が上手な人は無意識にこの昔話メソッドのような語り方をしている。つまり、この型を踏襲するだけで、誰でも説明上手に近づけるというわけだ。
ブリーフィングに苦手意識がある方は一旦立ち止まって、頭の中で「むかーし、むかし……」と唱えてみるのも良いかもしれない。