採用サイトのコンテンツ術~求職者に読まれる社員インタビュー記事を作るためには?【質問例付き】

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白鳥菜都

タイトルを見て、なぜベイジが採用サイトについて書いているのだろうと思った方もいるかもしれません。ベイジはBtoBのウェブサイト制作を得意としていますが、実は採用サイトの制作も多く、近年では制作実績の約3分の1が採用サイトです。そんなベイジが携わった採用サイトのほとんどに共通して存在するのが、社員インタビューです。

多くの採用サイトで掲載されている社員インタビューですが、その内容や形式はサイトによって大きく異なります。そこで、本記事ではなぜ社員インタビューが必要なのか、求職者に求められる社員インタビュー記事を作るにはどうしたらいいのかを紹介します。

社内に専門のライターや編集者がいなくても、スムーズに良質な社員インタビュー記事を作るためのポイントを挙げています。インタビュー初心者の方でも活用できるポイントが数多くあると思うので、ぜひ参考にしてみてください。

採用サイトが必要な理由

社員インタビューの作り方を考える前に、そもそもなぜ採用サイトが必要なのか考えてみましょう。転職サイトや転職エージェントがたくさんあるのに、わざわざ自社の採用サイトを作るわけとは?

答えは、多くの求職者が採用サイトを求めているからです。2020年から2021年にかけてエン・ジャパンが実施したアンケート(※1)では「『企業選びの軸』に合致するか、企業を知る上で、何を参考にしていますか?」という質問に対し、70%以上の人が「企業ホームページ」と回答しています。

ここで重要なのは、転職サイトや転職エージェント、その他メディアと自社の採用サイトの使われ方の違いを理解しておくことです。求職者は必ずしも初めから決め打ちで、企業の採用サイトを訪れるわけではありません。

ベイジ代表の枌谷が、以前indeed社のメディアへの寄稿(※2)でも述べていますが、採用サイトを作ったからと言って、爆発的にエントリーが増えるとは限りません。求職者はSNSや求人サイトで情報を見かけたり、転職エージェントに紹介されて気になった会社の採用サイトにアクセスします。つまり、外部のメディアで企業を認知し、採用サイトで理解を深めるといった具合に組み合わせて使用しているのです。

そのため、採用サイトはむやみに求職者を集めるのではなく、「自社に合った求職者」をきちんとキャッチするために作る必要があります。コンテンツが充実した採用サイトを作れば、求職者は自分に合った会社なのか判断しやすくなるでしょう。結果、企業は自社で活躍できそうな質の高い求職者からの応募を効率的に集められるようになります。

※1 参照:エン転職「第73回テーマ: 新型コロナ後の「企業選びの軸」について」
※2 参照・引用:オウンドメディアリクルーティングジャーナル「採用サイトによくある8つの間違い」

社員インタビューの目的

では、良い採用サイトのコンテンツとは? 様々な基準がありますが、大切なポイントの一つが「企業が伝えたいこと」ではなく「求職者が知りたいこと」を載せることです。求職者がどんな観点から「自分とその会社がマッチしているか」を判断しているのか考えてコンテンツを作ります。社員インタビューは、そんな「求職者が知りたいこと」を伝える重要なコンテンツと言えるでしょう。

例えば、転職時や就活時に以下のようなことが気になる人は多いのでは。

  • この会社の仕事はやりがいや面白さを感じられそうか
  • 実際、社員はどんな働き方をしているのか
  • 課題や面接など、選考時はどんなことをしていたのか
  • どんな経験をしてきた人がこの会社で採用されているのか
  • 社員の人柄やコミュニケーションの取り方は自分とマッチしそうか

これらはすべて社員インタビューの一部として記事に盛り込むことが可能です。

また、「求職者が知りたいこと」とは必ずしも「会社のいいところ」だけとは限りません。就職活動時や、転職活動時のことを思い出してみてください。「この会社の言っていることは本当だろうか?」と不安になって、採用系の口コミサイトを覗いたりしませんでしたか。

ベイジ代表の枌谷が過去に執筆した記事(※2)の中では「採用サイトに関する調査の一環で行ったアンケートのなかでも、『魅力的ではない採用サイトは?』との質問に対して『綺麗ごとばかり』『具体性がない』という回答が多く寄せられます」との指摘があります。求職者の視点に立ってみると、精神論や綺麗ごとばかりの会社は信用しにくいというのはもっともでしょう。そんな不安を取り除くためにも、現在の会社にある課題なども含めて社員の生の声を掲載する必要があります。

さらに、実は社員インタビューの実施は、求職者だけでなく企業にとってもメリットがあります。前章でも書いた通り、自社で活躍してくれそうな求職者を効率的に集められるのがまず一つ。さらに、既に自社に所属している社員のモチベーションアップや、互いを知り合うきっかけになるといったインターナル・コミュニケーション(※3)の効果が見込めます。

実際、筆者も過去に採用向けの社員インタビュー記事を書いたところ、「どんな思いでこの会社に入社したのかを振り返る機会になった」「今やっている仕事へ誇りを持てるようになった」「〇〇さんの知らなかった一面を知る機会になった」などといった声が寄せられたこともあります。社員インタビューの記事は、想像よりも広く活躍の場が存在するコンテンツなのです。

※3 インターナル・コミュニケーション:企業などの組織内向けの広報活動のこと。社内報や社内勉強会などもここに含まれ、組織内のコミュニケーションを活性化する役割を持つ。組織の文化や価値観を醸成し、根付かせるために役立つ。

インタビュー記事作成の進め方

では、いよいよ社員インタビュー記事の作成に入っていきます。インタビューは、参加者全員に高いトーク力がない限り、いきなり実施してもうまくいかないことがほとんどです。良いコンテンツに仕上げるためには、インタビュー前から公開後までを見通した準備が必須です。具体的には以下のような手順を踏むと、スムーズに記事制作を進められます。

  1. 人選:誰にインタビューをするのか決める
  2. 質問作成:どんな記事構成にするのか、どんな質問をするのか決める
  3. アポ取り:取材日時、場所を決める
  4. 取材当日:取材・撮影を実行する
  5. 記事化:記事を執筆・編集する
  6. 本人確認:取材相手への内容確認を取る
  7. 掲載:採用サイト等に掲載する

次章以降、各項目のより実践的なポイントを紹介していきます。

人選のコツ

社員インタビュー記事において最も重要なのは、人選と言っても過言ではありません。求職者から見たら、社員インタビューに掲載されている人々が「会社の顔」です。例えば、以下のような視点からの人選がおすすめです。

①求職者と近い立場の人を選ぶ

求職者が、社員インタビューを読んで自分がその会社で働く姿をイメージできるようにするのが理想的です。そのために、求職者が入社してすぐ、あるいは入社から数年後の未来を想像できるような人物を載せておくのは効果的でしょう。

例えば、新卒向けのサイトであれば新卒入社2〜3年目の若手社員、中途のマネジメント層を募集しているのであれば中途の社員や社歴の長いマネジメント層などを掲載します。また、求職者の多くは現場で働くメンバーとなるため、同じように現場で働く社員の生々しい声を知りたいといったニーズがあるはずです。そんなニーズに合わせて現場で手や足を動かして働くメンバーを中心に掲載してみるのも良いでしょう。

ただし、数十人規模の中小企業などでは、経営層と現場で働くメンバーの距離が近い場合もあります。そのような場合は「上司になる人がどんな人か知りたい」といったニーズを満たすべく、経営層・マネジメント層のインタビューも積極的に掲載してもいいかもしれません。

②顔写真・名前・具体的なエピソードが公開可能な人を選ぶ

リモート化、オンライン化が進んだとはいえ、一緒に働く人の顔や表情がわからないと不安になることはありませんか?採用サイトにおいて、社員の写真が持つ効果は大きいです。

よく、農産物の販売では「生産者の顔」をスーパーのPOPや商品のパッケージに掲載する施策が取られています。これは、顔やプロフィールを出すことによって、消費者は情報に信憑性があるように感じ、安心だと認識して購入するからです。

採用サイトの社員インタビューでも同じことが言えます。顔写真やプロフィール、過去の具体的なエピソードが載ったコンテンツによって、求職者は安心感を覚えます。できる限り、顔写真などが掲載可能な人選をしましょう。

ただし、現在の社会において顔出しや実名出しにリスクがあることも確かです。くれぐれも無理強いはせず、可能な範囲で検討してください。

③できるだけバリエーション豊かな人を選ぶ

インタビューコンテンツへの出演者はできる限り、性別や年齢、職位などが異なる社員を選出します。偏った性別や年齢層の社員だけを露出させていたら、それらの性質を持つ人しか活躍できない会社といった印象を与えることになりかねません。実際には十分な実力やポテンシャルを持っている人を、ふるい落としてしまうきっかけになり得るのです。

もちろん会社の実態とかけ離れた見せ方をするのはよくありませんが、実際の社内状況や制度と整合性の取れる範囲で、多様な人選をしましょう。様々な性質の人にとって働きやすい環境であることが伝えられれば、応募を検討してくれる求職者の幅も広がります。

④組織の特性とマッチした人を選ぶ

「リーダーシップのある人」や「コミュニケーション能力の高い人」など、“一般的に”理想とされる人物も、社員インタビューの候補者として選出されがちです。しかし、そのような性質を持った人ばかりの企業は稀でしょう。

これは、社員インタビューのみならず、採用戦略における「求める人物像」の考え方にも通じる点です。ベイジ代表の枌谷は過去にindeed社のメディアへの寄稿記事(※4)内で「求める人物像は安易に考えるのではなく、組織の特性と人事計画も含めて、慎重にリアリティがあるものを定義すべきです」と述べています。

長期的に同じ組織を運営していく人を採用すると考えると、“一般的に”理想とされる人物よりも、既存の社員とマッチし心地よく会社を成長させていけるかどうかという視点も大切ではないでしょうか。採用サイト用の人選でも、自社で働くリアルな人物像を伝えることで、既存の社員ともカルチャーマッチした求職者を集めることができるでしょう。

※4 引用:オウンドメディアリクルーティングジャーナル「採用サイトを作る時にやるべき6つのこと 【採用サイト制作用 社内アンケート雛形付】」

質問設計

インタビューコンテンツの作成において文章力はもちろん重要です。しかし、最終的な記事の出来を左右するのは、適切な質問が設計できているか・当日の取材が十分な取れ高かといったポイントです。

質問項目も「求職者が知りたいこと」をベースに考えましょう。質問の例としては以下のようなものが挙げられます。

①普段の業務/1日の流れ

毎日どんな流れで、どんな業務をこなしているのかを聞きます。日常的に担当する業務は、求職者が最も知りたいことの1つでしょう。また、残業等が発生することが多いのであれば、その点も正直に入れておきます。実態に近い業務の中身や、働き方の流れを示すことで求職者とのミスマッチを防ぎます。

②入社前の経験

学生時代や、前職時代にどんな経験をしていたのかを質問します。具体的には専攻していた分野や、研究していたこと、これまでに経験してきた業務などです。どんな経験を積んでいればこの会社に入社できるのか、現在の仕事に役立っている経験があるかなど、求職者にとって参考になる情報です。

③応募した理由/転職の理由

この会社との出合いや、求人に応募するまでの経緯について聞きます。このとき、中途採用であれば、なぜ前職をやめようと思ったのか、さらに前職をやめようと思った理由が現在の会社で解決できるのか、などについて深堀しても良いでしょう。転職検討時のリアルな悩みは、求職者にも共感を得られるはずです。

④選考時のエピソード

面接の様子や、選考中に印象的だったやり取りなどを紹介してもらうのもいいでしょう。採用サイトは応募前の人だけではなく、既に選考に進んでいる人が参考に見ることも多々あります。どんな雰囲気で選考が進んでいくのかが分かれば、求職者の不安感を減らすことができるでしょう。

⑤入社の決め手

選考を経て、何を決め手に入社を決めたのかを話してもらいます。待遇は重要ですが、それ以外にも選考中の様子や、対応した社員の人柄、具体的な働き方を見たり聞いたりして入社を決める人も多いはず。社員たちが、自社のどんなところに魅力を感じて入社を決めたのか聞いてみましょう。

⑥入社前後で感じたギャップ

入社前に抱いていたイメージと入社後の実態にギャップがあったのか、あったとしたらどんなギャップがあったのかを質問します。そのギャップに対して、どんな印象を抱いたかも聞けるとよいでしょう。いくら情報発信を積極的にしていても、入社するまで分からないことはきっとあるはず。ミスマッチを防ぐために、あらかじめギャップを感じやすい部分も紹介しておくのはおすすめです。

⑦自社ならではの仕事のやりがいや面白さ

働くなかで感じる自社の魅力や業務のやりがい、面白さを語ってもらいます。社員の方が感じる自社の魅力をストレートに教えてもらう質問項目です。求職者の立場に立つと、「この会社に応募しても大丈夫なのだろうか‥?」と不安感があるのも事実かと思います。シンプルに魅力を訴求する項目も、求職者の不安を払しょくし、応募への背中を押すためにも必要です。

⑧仕事での苦労や課題

一方で、これまでの仕事でぶつかってきた壁や、これから解決していきたい課題についても教えてもらいましょう。課題があること自体は自然なことです。一見ネガティブな情報も正直に記載することで、むしろ誠実かつ信頼感のある企業だと捉えてもらえるでしょう。

⑨社風

仕事において業務内容はもちろん重要ですが、どんな人と働くかが重要だという人も多いでしょう。社員はどんな性格の人が多いのか、ウェットなコミュニケーションを好むのか、ドライなコミュニケーションを好むのか、などを答えてもらいます。どちらが良い・悪いというのではなく、相性を図るために参考にする人も多い項目です。

⑩今後の目標

これからどんな業務に挑戦したいのか、どんな領域に仕事を広げていきたいのかなど、各社員の今後のキャリアパスについて質問します。既存の社員であれば、自社でどのようなキャリアパスを歩めるのか、ある程度想像できているでしょう。求職者にとって、入社後のキャリアビジョンの参考になり、前向きな印象も与えることができます。

一見ネガティブな情報でも、長期的に見れば、実情を理解した上での入社の方が企業と求職者の双方にとって良い結果となるでしょう。そのため、各社員の本音や苦労話も、できる範囲で公開していくのがおすすめです。完ぺきな組織はなかなかありません。それは、求職者も承知の上でしょうし、それよりも求職者は実態が見えないことに不安を感じます。実情を受け入れ、一緒に会社の成長に向き合ってくれる求職者を集めましょう。

▼具体的な質問例をまとめました。以下のシートをダウンロードしてご活用ください。
社員インタビュー質問リスト

インタビュー本番

質問項目の設計ができたら、インタビュー本番です。インタビューは、できるだけオフラインの場で実施するのがおすすめです。インタビューは会話そのものだけではなく、その場の空気感や準備中の雑談によって、内容の密度が変わることもあります。オフラインであれば、現場の雰囲気や話の方向性の舵取りがしやすくなります。

社員インタビューでは多くの場合、取材慣れしていない相手を対象にインタビューを実施することになります。また、インタビュアー側も取材に慣れていないケースも少なくないでしょう。そんな方のために、この章ではインタビュー時に必要な道具やコツをご紹介します。

インタビューの道具

インタビューをするときには、以下のものを用意しておくのがおすすめです。

①ボイスレコーダー×2個
スマホやタブレットのレコーダーなどでも構いません。音声が録れていなかったなんてことのないよう、常に2台録音がおすすめです。実際、筆者も1台目の録音に失敗し、2台目に助けられた経験があります‥。

②質問票✕2枚以上
1枚は自分の手元で確認するために、もう1枚は取材相手に渡すために用意します。事前に質問項目は渡しているとはいえ、必ずしも全ての取材相手がしっかりと確認してきてくれるとは限りません。その場でも確認しながら回答してもらうために、取材相手の分も用意しておくのはおすすめです。

③メモ用紙・ノートなど
取材現場でのメモ用です。特にたくさん話してくれる取材相手の場合は、キーワードを覚えておくのも一苦労です。適宜メモを取りながら話を聴きましょう。なお、人によってはパソコンでメモを取られるのを嫌う人もいるため、手書きで書けるものを用意しておくと安心です。筆者の場合はiPadのメモ機能を活用しています。

スムーズなインタビューのコツ

当日のインタビューをスムーズかつ質のよいものにするためには、以下のようなポイントに気を付けてみてください。

①質問項目を事前に取材相手に共有しておく

質問されたことに対し、その場でなかなか上手く答えられないといった経験はありませんか? 取材慣れしていない人への取材の場合、質問項目の事前共有は特に重要です。可能であれば取材の1週間前くらいまでには質問項目を共有し、回答を考える時間を作ってあげましょう。さらに、インタビュアーは質問項目だけではなく、質問の順番まで考えておくと当日の取材がスムーズになります。

②事前説明とアイスブレイク

取材慣れしていない人にとって、取材は緊張する場所。「言ったことがそのまま世の中に出てしまうのでは」「慎重に回答せねば」などと必要以上に気を張って取材に臨んでいる人もいます。あらかじめ、記事の公開前に内容を確認できると伝えたり、いつも通りに話せるようにカジュアルな雰囲気を作ったりと、インタビュアー側がその場の空気を作ってあげましょう。

③話のテンポ感は相手に合わせる

人によって心地よいと感じる会話のテンポは異なります。会話のラリーが早い人もいれば、じっくりと考えてから回答する人もいます。インタビュアーは相手の話す速さに合わせて取材をしてください。ラリーの早い人のリズムを崩してしまうのも良くありませんし、ゆっくり話したい人を無理に急かしてよく考えられていない回答を引き出すのも良くありません。

④言葉に詰まってしまったら質問を重ねる

取材中、相手が言葉に詰まってしまったり、黙り込んでしまったり、あるいは想定よりも短い回答で記事化するのにボリュームが足りないという場面もあるかもしれません。待つことも重要ですが、取材時間には限りがあるのも事実。そんな時には「例えば?」「具体的には?」「なぜ?」などと深掘りの質問を活用しましょう。また、相手が考えていることがあるのに言葉にできないというときは、「○○ということですか?」などと疑問形で確かめるのも効果的です。たとえその仮定が違うとしても、新しい言葉を引き出せる可能性が上がります。

⑤自分の感想やエピソードも話す

取材の場では、インタビュアーは質問を投げかけ、聞き役に徹すると考えている人も多いかもしれませんが、案外インタビュアーも話す場面があります。取材相手に安心してもらい、言葉を引き出すために、インタビュアーもある程度の自己開示が必要となるのです。そのために、質問以外にも話を聴いた感想や、相槌なども積極的に使ってください。また、1人で話し続けるのは、慣れていない人にとっては疲労や不安を感じる時間となります。取材相手に少し休む間をあげるためにも、インタビュアーも必要に応じて話すようにしましょう。

質問数も少なく、回答も簡素すぎる社員インタビューは、求職者にとって新たな情報が少なく、掲載することでむしろ求職者にネガティブな印象を与える可能性もあります。せっかくインタビュー記事を載せるのであれば、しっかりと質問を設計し、濃い内容に仕上げましょう。

写真のコツ

前述のとおり、社員インタビューには顔出しができる社員さんに出演してもらうのが好ましいです。リアルな会社の様子を伝えるために、社員はモデル、撮影場所はオフィスとするのが良いでしょう。

社員がモデルとなって撮影する場合、普段の業務の合間を縫って撮影することになります。通常業務への影響を最小に抑えてスムーズな撮影にするためには、以下のような準備をしておきましょう。

①必要なカットを可視化しておく

まず、後から漏れが発生しないように、どんなカットが必要なのか書き出しておきます。社員1人1人のインタビューカットやプロフィール写真だけではなく、仕事をしている様子や他の社員とコミュニケーションする場面も撮影しておく必要があります。

②服装やメイクを連絡しておく

撮影に参加する社員には、自社のイメージに合致する服装やメイクで来てもらうようにしましょう。スーツなのか、オフィスカジュアルなのか、あるいは派手な髪色などの社員も多いカジュアルなスタイルの会社なのか、普段の社員の様子に合わせつつ、ある程度清潔感のある見た目で撮影に参加してもらいましょう。

③取材・撮影を合わせたスケジュールを決めておく

撮影は、通常業務の合間を縫って実施することになります。仕事中のオフィスを活用しても問題が起こらぬよう、あらかじめスケジュールを決めておきます。撮影だけではなく、取材のスケジュールも組み込んで一覧にしたスケジュール表「香盤表」を用意しておくとスムーズでしょう。また、撮影はインタビューの後にするのもおすすめです。緊張したまま撮影に臨むよりも、インタビュー後に撮影をした方が表情がほぐれやすくなります。

さらに詳しく採用サイトの撮影について知りたい方は、以下の記事も参照ください。

記事執筆のコツ

取材が完了したら、いよいよ記事の執筆です。記事の執筆について、ここでは細かな文章のコツは紹介しませんが、大まかに抑えておきたいポイントを紹介します。

①記事のフォーマットを整える

社員インタビューでは、複数人の社員にインタビューを実施することが多いでしょう。その場合、基本的に全員同じフォーマットで記事化します。記事のフォーマットも読者=求職者の視点で選択しましょう。

例えば、会話のような形で仕上げると、社員の生の声やインタビュアーとのやり取りがイメージしやすくなります。社員の人柄や社風を伝えたいときに効果的な書き方です。

インタビュアー:佐藤さんは〇〇社のどんなところに魅力を感じて入社を決めたんですか?

佐藤:入社の決め手は面接ですね。もともとSNS上でもよく見かける企業だったので、認知はしていたのですが、実際に面接を受けてみたらいい意味でギャップがあって。思っていたよりも、明るい人が多いんだなと分かって、自分も馴染めそうだと思えたんです。

インタビュアー:たしかに、実際に話してみないと分からないですよね。入社してからもその明るいイメージは変わらないですか?

一方で、以下のように一つの見出しにつき一つの回答とした書き方は、読者が知りたい項目をすぐに見つけられます。

入社の決め手

面接を受けてみて、自分に合いそうだと思ったので入社することに決めました。もともと、SNSなども見ていてこの会社のことは知っていましたが、堅いイメージだったので面接前は、少し不安もありました。でも、面接を受けてみたら想像よりも明るい人が多くて、安心して入社を決めることができました。

もっとも伝えたいことは何なのか考えて、記事のフォーマットを選びましょう。

②話の流れを整理する

取材内容をそのままランダムに並べても記事にはなりません。同じテーマのまとまりで順番を整理する必要があります。社員インタビューであれば過去から未来へとまとめると起承転結の流れができやすくなります。つまり、入社前の経験、現在の仕事内容や会社のこと、将来どうなりたいか、今後一緒に働く人へのメッセージといった順番に並べるとまとまりが良くなります。

③タイトルを付ける

インタビュー記事は、社員の名前や役職だけよりもそれぞれタイトルを付けるのがおすすめです。ぱっと見てどんな内容の社員インタビューなのか想像できるようにするためです。

タイトルも求職者をイメージしてつけます。例えば未経験からの転職であれば「未経験採用」、新卒採用であれば「新卒採用で~」と記載するなど、読者の特徴と重なるようなキーワードを記載しておくのが良いでしょう。ただし、本文の内容を誇大して伝えるようなタイトルは避けましょう。

④社員のプロフィールを冒頭に記載する

長い本文を読み始める前に、この記事は自分が読む価値があるのかをできるだけ早く知りたいと思うのは自然な心理でしょう。記事の冒頭に、社員の名前や入社年度、職種、経歴などのプロフィールを掲載しておくのがおすすめです。

⑤公開前に本人にチェックをしてもらう

慣れていない人同士の緊張した取材では、話し間違いや解釈違いも往々にして発生します。そのため、記事ができたら公開前に取材相手にもきちんと確認を取りましょう。事実ではないことを会社として世に発表してしまうことは一番避けるべきでしょう。

採用サイト以外でのインタビューの公開場所

社員インタビューコンテンツの公開先は、自社の採用サイトだけとは限りません。せっかく作った記事なので、様々な方法で公開場所を検討してみましょう。例えば、以下のような公開場所があります。

noteやWantedlyへの展開

noteやWantedlyなどを採用のためのオウンドメディアとして運用している企業は少なくありません。これらのSNSは更新を重ねることで閲覧数が増えるため、定期的にインタビューを実施し、新しい記事を公開し続ける形で活用している企業が多いです。採用サイトのために作った社員インタビュー記事も、これらの媒体に展開することができるでしょう。noteやWantedlyはモバイルアプリもあるので、一企業の採用サイトだけでは届かない潜在的な採用候補者の目に触れる可能性もあります。

転職サイト/転職エージェントで活用する

転職サイトや転職エージェントでは、社員インタビューをはじめとした採用コンテンツを資料として活用しています。社員インタビューに限ったことではありませんが、転職サイトや転職エージェント経由で自社への理解を深めてもらうにも、採用サイトのコンテンツを活用してみましょう。

広報資料として活用

商品やサービス以外にも、企業の広報をする場合には人の魅力を訴求するのも効果的です。メディアで自社の社員を取り上げてもらうために、社員のプロフィールシートを用意している企業もあります。そんな時に、社員インタビューの記事があれば、広報資料としても活用できるでしょう。

社内で作る?プロに頼む?

ここまで、社内で社員インタビュー記事を作ることを想定して、社員インタビュー記事のコツを紹介してきました。社内でインタビュー記事を作成するには以下のようなメリットがあります。

  • 事前情報が豊富
  • 慣れた関係性や、社内の様子が分かっているので深い話がしやすい
  • スケジュールの調整が柔軟にしやすい

一方で、社内でコンテンツを作成すると以下のようなデメリットが発生することもあります。

  • 親しい関係性過ぎるがために雑談に流れてしまい、使える部分が少ない
  • 取材・執筆に慣れておらず記事の出来上がりまでに時間がかかる
  • 内輪での会話になってしまい、求職者視点が欠ける

このような事態を避けるために、プロのライターや制作会社に依頼するのも1つの手です。外部の企業に依頼するときには、コンテンツ制作の目的やスケジュール、費用などの条件は正確に明示しましょう。また、もし可能であれば社内の担当者も取材に同席すると場の空気が柔らかくなりやすくおすすめです。

ベイジでも、ライターが第三者視点を活かして求職者に求められる社員インタビュー記事を制作しています。過去には以下のようなサイトの社員インタビューコンテンツを作成してきました。

▼採用サイトの制作事例

▼もっと詳しく採用サイトの制作事例を知りたい方は、以下の記事もおすすめです。

まとめ

新しいサービスやツールが現れ、採用市場が変化するなかでも、採用サイトおよび社員インタビュー記事はまだまだ需要があります。今回は記事形式での社員インタビューについて紹介しましたが、最近では動画の社員インタビューコンテンツも増えてきました。

いずれにせよ、重要なのは求職者の視点に立ったコンテンツ作りです。自社にとっても求職者にとっても、あらかじめマッチングのレベルを図ることのできるコンテンツは重要な存在です。ここに紹介したようなポイントをおさえて社員インタビュー作成にチャレンジしてみてください。

採用サイトのことなら、採用サイトに強い私たちにご相談ください。

私たちは採用サイトを得意とするweb制作会社です。転職サイトや転職エージェントに頼らない自社の実績を活かした、成果にこだわった採用サイトをご提案します。webサイトだけでなく、コンテンツ制作から撮影まで、採用サイトに必要な全てを作ることができます。採用サイトのことでお悩みの人事担当者の方は、ベイジまで気軽にご相談ください。

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