採用サイト制作や採用マーケティングの支援を強みとするウェブ制作会社ベイジでは、企業の採用活動に関する様々なリサーチ活動を自主的に行っています。
その一環として、「新卒採用における採用サイト利用実態調査」を2024年12月に実施しました。その分析結果を共有します。新卒採用の強化や、採用サイトの改善をご検討中の企業の皆様にとって、ヒントになれば幸いです。
まず、在学中に就職活動を始めた時期について尋ねました。大学生の場合、3年生の間に就活を始める層が過半数を占めており、概ね一般的なイメージと相違はありません。
インターンシップの情報がオープンされ始める「大学3年生の4月~6月」が最も多く16.34%となっていますが、それに次いで「大学3年生の1月~3月」が14.17%と、就活解禁日から動き出す層も多いことが伺えます。
大学1~2年生の時点で就活を始めている層も15%程度は存在していることから、着実に「早期化」が進んでいることが感じ取れます。
一方で、本選考が始まっている「大学4年生の7月~9月」以降に就活を始める層も10%を超えており、一般的な就活スケジュールに当てはまらない行動をする学生も無視できない数だと言えるでしょう。
就職活動の開始時期と比較するため、「採用サイトを閲覧し始めた時期」についても尋ねてみました。こちらも大学3年生の間に見始める層が過半数を超えており、就活の開始時期と採用サイトの閲覧時期は、おおよそ共通しています。
ただし大学1~2年生に注目すると、この時期に採用サイトを見始める層は25%程度と、「就活を始めた時期」の回答よりも割合が多くなっています。つまり、本格的に就活を開始する少し前から、採用サイトに目を通し始める学生が一定数いると考えられます。
この回答結果を踏まえると、大学3年生の4月1日のインターンシップ解禁に合わせて、採用サイトをリニューアルする計画は妥当ではあるものの、可能な限り早く大学2年生の時点から採用サイトで十分な情報を見せられるのが理想的だと言えます。
学生が就職活動を始めて、最終的に入社した企業と接点を持ったきっかけについて質問しました。最も多かったのが「複数企業が集まる合同説明会」で22.86%、次いで「就活サイト(マイナビ等)の求人情報」が17.92%と、長年主流とされているチャネルが、依然として強さを発揮しています。
「学校主催の就活イベント」「大学のキャリアセンターからの紹介」「研究室の推薦」といった学校経由での接点も、合計すると20%を超えており、その重要性が伝わります。
それらと比較すると、「ダイレクトリクルーティング」や「リファラル」、「採用サイトからの自己応募」などは少なく、まだまだ伸びしろを感じさせます。
とはいえ、極端な偏りはなく、企業と学生の接点は多様化が進んでいる傾向が見えます。だからこそ、学生がどんなチャネルから選考に進んでも企業の理解を深められるよう、採用サイトに詳しい情報をまとめておくことが重要です。
また、どのチャネルでも学生との最初の接点で伝えられる内容には限りがあります。そのため、合同企業説明会のビラに採用サイトのQRコードを載せる、スカウトメールに見てほしいページのURLをつけるなど、より詳細な情報に誘導するための取り組みも行うとよいでしょう。
1つ前の設問の、最終的に入社した企業と接点を持ったきっかけにおいて、「インターンシップ」は9.77%と、一定の存在感はあるものの、特筆して高い数字ではありませんでした。
一方で、「新卒の就活において、インターンシップに参加しましたか?」という設問では、約78%と非常に高い割合がインターンシップに参加したと回答しています。
その78%のうち、「参加した会社にそのまま就職した」という人は約42%、「参加した会社には就職しなかった」という人が約36%となっており、実際にインターンシップが採用につながっていることもわかります。
インターンシップでの母集団形成に力を入れるのであれば、就活サイトに情報を載せるだけでなく、「インターンシップ特設ページ」を用意して手厚い内容をアピールするのも1つの手です。
採用サイトが学生との接点として機能しているか確かめるべく、「最終的に入社を決めた会社について、就職活動中に採用サイトは見ましたか?」という設問も尋ねてみました。これに対しては、81.92%が「見た」と回答しており、ほとんどの学生が志望企業の採用サイトを閲覧していると考えてよいでしょう。
弊社が過去に行った中途採用における調査では、「見た」という回答が60.99%だったため、新卒採用のほうが採用サイトが見られやすい傾向にあるとも言えます。
採用サイトは、企業と学生がつながる最初のきっかけにはなりにくいものの、就職活動中の重要な接点の1つと認識しておくべきです。
就職活動において、その企業への志望度が上がった/下がったプロセスはどこか?という設問の回答からも、採用サイトの立ち位置が伺えます。
志望度が上がったプロセスとしては、最も多いのが「説明会」で42.07%、次いで「インターン」の39.07%、少し落ちて「選考」が28.94%、そして「採用サイト」が26.93%となっています。
一方で、志望度が下がったプロセスについては、「志望度は下がった経験はない」が最も多く27.2%、そこから僅差で「インターン」が26.82%、「選考」が25.14%、「説明会」が23.24%、そして「採用サイト」が21.61%と続きます。
この結果から、就職活動においては最初の接点で志望度が上がり、採用プロセスが進むにつれて、どちらかといえば志望度が下がっていく傾向にあることがわかります。とはいえ全体的に見ると、志望度は下がるよりも上がりやすいと言えそうです。
そして採用サイトに着目すると、他の接点には若干劣るものの、それでも就活生の4~5人に1人は「採用サイトを見て志望度が変化する」経験をしています。特に注意したいのは、採用サイトで志望度が上がるだけでなく、下がる可能性もあることです。
突貫工事で作った中身のない採用サイトや、学生のことを考えていない企業目線の採用サイトは、新卒採用に良い効果を出せていないどころか、もしかすると悪影響を及ぼしているかもしれません。
少し視点を変えて、どれくらいの数の会社にエントリーしたか?についても尋ねました。その結果「1社だけ」は11.45%で、ほとんどの場合が複数社にエントリーしていることがわかりました。
2~10社に比較的多く分布しているものの、それ以上の数の企業にエントリーしている層も一定数は存在しており、そこまで際立った社数の偏りは見られませんでした。
また、当社が過去に行った、中途採用における調査では「1社だけ」が38.86%と最も多かったため、新卒採用のほうが他社と比較されやすい傾向にあると言えます。
つまり、採用サイトは他社と比較検討されることを前提に作るべきということです。また新卒採用は中途採用と違って、業界が異なる企業とも比較される可能性が高いです。同業他社だけを意識するのではなく、内定者や社員から「本当の採用競合」を聞き出し、そうした企業との違いがわかるようなコンテンツを用意しましょう。
エントリーした会社の中で、「就職活動前から名前を知っていた会社はどのくらいありましたか?」という設問も用意しました。多かった回答は「7~9割が知っていた会社だった」が26.11%、「4~6割が知っていた会社だった」が25.03%と続きます。この結果からは、やはり知名度の高い企業のほうが、エントリーを集めやすい傾向が伺えます。
一方で、「すべて知っていた会社だった」と答えたのは2割程度です。多くの学生は、元から知っていた企業にエントリーしつつ、就活を始めるまでは知らなかった企業も検討の対象に入れています。一般的な知名度がないからといって諦める必要はなく、就職活動中に初めて接点を持った場合でも、十分にチャンスはあるということです。
ただし採用サイトを作る上では、「就活を始めるまで自社のことを知らなかった」学生が見にくる可能性も高い、という前提を理解しておく必要があります。よほど名の知れた企業でなければ、いきなり自社の理念や想いを語る前に、「まず自分たちは何者なのか」「そもそもどんな業界なのか」「安心して働ける環境なのか」など、学生が知りたい情報から優先して伝えるのが望ましいでしょう。
就活前から名前を知っていた会社と、知らなかった会社で、採用サイトの利用傾向に違いがあるかも調べてみました。結果として、「名前を知っていた会社」のほうが見られやすい傾向はあったものの、大きな差はありませんでした。
つまり、「元から知っている会社は採用サイトを見ずに決める」ことも、「知らない企業ほど採用サイトを見る」こともない、ということです。これは中途採用における調査でも、同様の結果が出ています。
会社の知名度に関わらず採用サイトは見られているという前提で、どんな企業であっても学生のためになる採用サイトを準備しておくべきだと言えるでしょう。むしろ学生が平等に訪れる可能性のある採用サイトは、情報量や内容の濃さで知名度を巻き返すチャンスだと考えてもよいかもしれません。
就活中どのタイミングで採用サイトを閲覧したか?についても尋ねました。最も多かったのは「就活サイトで知った直後」で43.27%、その次に「就活イベントで知った直後」が25.62%と、会社を認知した直後のタイミングが上位となっています。
一方で、「エントリーの直前」が23.07%、「面接の前(選考中)」が19.38%と、その会社を認知した後のタイミングでも見られていることがわかります。「内定承諾前」は採用担当者のフォローがあるからか、他に比べて高い数字ではないものの、それでも見られる可能性があると言える結果です。「興味がある会社なら、就活と関係なく見る」という層も一定数います。
このように、多様なタイミングで採用サイトに訪問されることを考えると、以下のように学生のニーズに幅広く応えるコンテンツを取り揃えておくべきだと言えます。
一方で、説明会や面接などで十分に情報を伝えられていれば、必ずしもすべて採用サイトに手厚く載せる必要はありません。学生に提供する情報が不足していたり、ボトルネックになっているプロセスを特定して、優先順位をつけましょう。
採用サイトの1回の訪問での閲覧時間についても尋ねると、70%ほどが「5分~10分程度」で、20分以上見る層も25%ほど存在することがわかりました。
「最近の学生はウェブサイトをじっくり見ない」というイメージもありますが、実際はそれなりに時間をかけて確認されている傾向にあると言えます。「どうせ読まれないから情報量を減らして見た目に力を入れよう」という判断は、悪手になっているかもしれません。
同様に、訪問回数についても聞いたところ、「2-3回」と答えたのが約4割、それ以上の回答も足すと8割を超えており、複数回は訪問する人が圧倒的に多数派だと言えます。
この結果と先ほどの訪問タイミングの設問も合わせて考えると、採用サイトは学生がどのタイミングで訪れても、その時々で見たい情報へスムーズに辿りつけるよう設計すべきだと言えます。採用サイトを訪れるタイミングや、その時の学生の意向度に合わせて、サクッと簡単に概要を掴めるコンテンツもあれば、じっくり読みこんで理解を深められるコンテンツもあると理想的です。
「最近の学生はSNSを使って就活している」という話もよく聞きますので、採用サイト以外の学生との接点として、SNSの活用状況についても調査しました。
どのSNSをよく使いましたか?という設問では、「X(旧Twitter)」が31.92%、「YouTube」が29.21%、「Instagram」が26.17%、「TikTok」が18.95%と続きました。おおよそ、これらが就活においてメジャーなSNSと考えられます。一方で、「SNSは使用しなかった」という層も3割ほどはいるため、全就活生がSNSをやっているとは考えないほうがよいでしょう。
企業や社員のアカウントをフォローしたか?についても尋ねると、「必ずした・時々した」を合わせて約4割という結果になりました。中途採用における調査において、それらの回答は2割程度で、「ほとんどしなかった」が半数を超えていたことを踏まえると、たしかに新卒のほうがSNSを活用している傾向にあると言えるでしょう。
とはいえ、新卒においても半数近くの学生は、企業のSNSアカウントのフォローに積極的ではないことがわかります。もちろん、「フォローはせずに閲覧だけする」という層もいるとは思いますが、SNSに多大な期待を寄せるのは少々リスキーかもしれません。
SNSと同様に、「口コミサイトで評判を見られている」という話も、採用担当者の方からは、よく伺うようになりました。そこで実際に学生がどれほど口コミサイトを確認しているのかについても調査しました。
まず、口コミサイトで評判を確認しましたか?という設問では、「必ずした・時々した」を合わせると64.71%と、半数以上が口コミを見ていることがわかります。これは中途採用における調査よりも、若干高い数字です。
従業員数が少ない企業では、そもそも口コミがネット上に存在しないこともあるため、「口コミサイトに情報が掲載されている企業」に対象を絞ると、口コミを見られる割合はさらに高まるのではないでしょうか。
さらに、口コミサイトで悪い評判があったら気にするか?という質問をしたところ、「かなり気にする・少し気にする」を合わせて7割を超える結果となりました。たしかに、これは無視できない数字です。
では、もし口コミサイトに悪い評判が載っていたら、どう対応すればよいのでしょうか。ネガティブな口コミを書かれるということは、何らかの要因が存在するはずですが、すでに過去の話で現在は解消されていたり、特殊な事情によるレアケースの可能性もあるかと思います。
口コミサイトによっては、企業から返信できるサービスもあります。採用サイトや説明会資料などでも、誤解を解くようなコンテンツを用意することはできるでしょう。
ただし、ネガティブな口コミを真っ向から否定して良い面だけを見せようとすると、「不都合な事実を隠そうとしているのではないか?」と、余計にイメージが悪化する可能性もあります。
感情的になって反論せず、過去の至らぬ点は正直に認めて、改善状況について冷静に伝えるほうが、誠実な企業だと感じてもらえるはずです。
学生にとって、就職先は「初めて社会人として働く職場」であり、わからないことも多く、数えきれないほどの不安を抱えています。
エントリー時点では深く考えずに応募していても、いざ入社を決める段階になると学生も現実的な問題に目を向け始めるため、不安の多い企業は確実に不利になります。深刻な不安につながるネガティブポイントが見つかれば、エントリー前の時点で早々にふるい落とされてしまう可能性もあるでしょう。
新卒採用だと、キラキラ前向きなメッセージを打ち出して、具体的な情報を載せていない採用サイトも多く見受けられます。しかし、学生は「自分の人生をかけた決断をしている」ということを忘れてはなりません。ある程度は不安が解消されないと、その企業に大きな期待を抱くことはないでしょう。
こうした考えを踏まえて、学生が就活中にどのような不安と期待を感じているか調査しました。
まず、就活中の不安に関する調査(3つまで回答可)では、「人間関係がうまくいくか」が35.18%、次に「社風が合うか」が24.86%、そして「ブラック企業ではないか」が20.2%と続きました。
こうした不安を払拭する要素は、できるだけ採用サイトに載せておきましょう。働き方、社風、収入、忙しさ、プライベート、福利厚生といった不安の上位に挙がっている要素はどれも、社内の仕組みや社員のエピソードなどを採用サイトに載せておくことで払拭もしくは緩和できるはずです。
不安のトップである「人間関係」は採用サイトで伝えるのが難しい要素ではあります。しかし、たとえばテキストでも伝えやすい事業内容や制度の詳細な説明は採用サイトに重点を置き、説明会など学生との直接の接点では社員と実際に話せる時間を増やす、といった方法を取ることならできます。
続いて、学生が就活中に期待していたことも調査しました。
結果としては、「高い給与が得られること」が29.42%、「自分に合う社風のなかで過ごせること」が27.42%、「仕事にやりがいを感じられること」が27.31%、「福利厚生がより充実していること」が25.62%、「安定した暮らしが実現できること」が25.62%と、上位が僅差で並びました。
「社風」は不安と期待の両方で高く、多くの学生にとって重要な検討軸になっていることがわかります。それに次いで、「給与」や「福利厚生」などの安定感や、「仕事のやりがい」も欠かせない要素だと言えます。
面接の志望動機などを聞いて「最近の学生は社会貢献を大事にしている」と感じている方も多いかもしれませんが、実際のところ「社会的意義」や「パーパス・ミッション」は、不安でも期待でも上位3つに入るほど優先度は高くないようです。
同様に「経営者が尊敬できるか」も低いことを踏まえると、採用サイトの最も目立つ場所に「企業理念」や「代表メッセージ」を配置すべきかは、改めて検討してもよいかもしれません。
もちろん、この調査は一般的な学生の傾向であり、企業によっては「ミッション・ビジョンへの共感」を重視する学生が集まっている場合もあります。そのため、新入社員や内定者など自社の採用ターゲットに近い人を対象に調査してみることをオススメします。ベイジでも、採用サイトを制作する前に必ず社員の方向けのアンケートを実施しています。
就職先の企業に求める内容だけでなく、採用サイトへのニーズも調査しました。
実際には採用サイトを訪れるタイミングによってニーズは変わるはずですが、ここではシンプルに「まず何の情報が見たいですか?」(3つまで)と聞いて、学生にとっての優先度を探りました。
結果としては、「募集要項」が39.85%、「仕事内容」が30.35%、「福利厚生」が22.83%というトップ3になっています。それに続いて、事業内容、職種紹介、企業情報、社員紹介が10%を超えていました。ここまでの情報は採用サイトでも最低限は用意しておくべきでしょう。
学生が採用サイトに求めている内容と、企業が採用サイトで見せたがっている内容に、いくつかギャップがあることも、この結果からはわかります。
募集要項は「就職サイトなどにも書いているし採用サイトでは重要じゃないだろう」と思われがちですが、実際は「最初に募集要項を見て基本的な情報を確認してから詳細な情報を見に行く」という行動を取る学生が多いと考えられます。
そのため採用サイトでは、募集要項への導線を目立つ場所に配置し、さらに募集要項から興味のある情報へ遷移できるような設計にしておくことが重要です。
次に、仕事内容も特に内容を充実させて、学生が見つけやすいように配置するべきだと言えます。社員インタビューを仕事紹介の代わりにしている採用サイトも多いですが、社員インタビューは「まず見たい」情報としては上位ではありません。
何名かの社員が一覧で並んだときに、誰のページを見たらよさそうか、ある程度その企業のことを理解していないと、判断しにくいのではないでしょうか。また社員インタビューで語られる仕事の話は、同じ職種なら共通の内容なのか、その人だけのエピソードなのか、まだ企業理解の進んでいない学生には区別ができません。
そして不安と期待に関する調査でも述べたように、「企業理念」や「代表メッセージ」は採用サイトの目立つ位置に置かれやすい割に、学生が優先的に見たい情報である可能性は低いことがわかります。
一方で、評価制度・教育制度・企業文化・キャリアパスなどは、この調査だと低い数字となっていますが、「まず見たい」情報ではないものの「選考が進んだら知りたい」情報の可能性はあるため、注意が必要です。
採用サイトの目的は、魅力の訴求や不安払拭によって学生に「良い印象」を持ってもらって、エントリーや入社につなげることであると考えられます。そこで、「どんな採用サイトだと、その企業の印象が良くなりますか?」と聞いてみました。
結果としては、「募集要項がすぐに見つかる」が35.87%、「具体的な情報が多く載っている」が34.15%、「都合の悪い情報も正直に載せている」が28.61%、「沢山の情報が載っている」が22.26%といった内容が上位に並びました。
反対に、「その企業に良い印象が抱けないのは、どんな採用サイトですか?」とも聞いてみました。
すると、「情報が古い」が39.09%、「具体的なことがあまり書かれていない」が33.82%、「情報が少ない」が30.24%、「良いことしか書かれていない」が28.5%という結果になりました。
2問の回答結果を総括すると、学生は「情報量」と「正直さ」を求める傾向にあることがわかります。これは中途採用における調査でも同様の結論が出ており、採用サイトにおける重要なポイントだと言えるでしょう。
といったことを考えると、情報量の重要性が理解できるのではないでしょうか。
また、明らかに情報量が少なかったり、古い情報を載せていたりすると、「採用に力を入れていない会社なのではないか?」「入社後も雑に扱われるのではないか?」という不信感を抱かせてしまう可能性もあります。
「正直さ」に関しては、企業側が「ネガティブな情報は出したくない」と慎重になった結果、学生側にも「企業は良いことしか言わない」というイメージが形成されてしまっていると考えられます。実際に、ある就活生からは「採用サイトに載っている1日のスケジュールはウソだと思っている」という発言を聞いたこともあります。
だからこそ、一見都合が悪い情報も見せることが、学生にとって好意的に映りますし、他社は出したがらないため差別化にもつながります。ベイジが採用サイトの制作を支援する際も、「自社の現状の課題を正直に見せましょう」とお客様によく伝えています。
現状の課題は、これから入社する学生にとっては「活躍の余地」です。適度に未完成な部分を見せることは、入社後ギャップの軽減にもつながります。
有名企業の採用サイトを見ると、アニメーションやグラフィックに力を入れた、見た目が華やかなものが見受けられます。企業が採用サイト制作の発注を検討する際も、そうしたサイトが参考例として挙げられたり、ビジュアルデザイン案のコンペで発注先を選ぶことも多いです。
しかし、そうした採用サイトを、本当に学生は求めているのでしょうか。採用サイトを制作する際に、優先すべき要素なのでしょうか。
それを確かめるために、アニメーションや個性的なグラフィックなど演出に凝った採用サイトの印象を聞いてみました。結果としては、「好きとも嫌いとも思わない」が45.55%、「やや好き・好き」が合わせて45.39%、「やや嫌い・嫌い」が合わせて9.07%となりました。
約半数は「好意的」、約半数は「無関心」で、否定的な人は少数派だということがわかりました。この結果だけ見ると、悪いことではなさそうに思えます。
一方で、1つ前の「どんな採用サイトだと、その企業の印象が良くなりますか?」という設問において、「デザインが個性的」は2.88%、「アニメーションなどの視覚演出が多い」は3.64%と、非常に少ない割合でした。「デザインが分かりやすくて使いやすい」が13.64%であることから、学生は採用サイトのデザインについて特に気にしていないとも考えにくいです。
これらの結果も踏まえると、採用サイトにおける視覚的な演出によって学生は「やや好印象に傾く」可能性はあるものの、そこまで重要な要素ではないと言えるのではないでしょうか。採用サイト制作にかけられる予算の中で、学生が求めている「コンテンツの情報量」などを差し置いて、「演出やグラフィック」に予算の大部分を投下すべきか、には疑問が残ります。
また、「その企業に良い印象が抱けないのは、どんな採用サイトですか?」という設問で、「デザインがオーソドックスで普通」という回答は4.67%とトップクラスで低い数字でした。つまり、デザインが個性的でないことを、そこまで大きなリスクに感じる必要はないということです。
最近はベンチャー企業などで、Notionで作った採用サイトが増えてきているのも、限られた予算の中で優先すべきは「見た目より中身」という合理的な判断がなされているからではないでしょうか。
学生は「エモーショナルな演出に心を動かされる」という固定観念を捨て、意外と採用サイトではしっかり中身を読まれているんだと、考え方をアップデートしてもよいかもしれません。
採用コンテンツの表現方法として、アニメーションやグラフィックだけでなく、社員インタビューなどの「動画」もあります。YouTubeやTikTokが普及した影響からか、「最近の学生は動画に馴染みがある」と言われることも多いかと思います。
そこで実際に、採用サイトの中で社員の動画があれば観るか(観たいと思うか?)という質問をしてみました。すると、「必ず観る(観たい)・時々観る(観たい)」を合わせて73.67%という結果になりました。
学生の7割近くは動画に興味を持っていることがわかります。中途採用における調査で同回答は合わせて62.89%だったため、新卒のほうが動画に好意的な傾向が若干強いとも言えそうです。
社員インタビューや座談会、働く様子の密着などは、テキストや写真よりも動画のほうがリアリティや臨場感を伝えやすいです。学生が動画を見ることに抵抗感を持っていないのであれば、動画のほうが伝わりやすい内容は、積極的に動画を活用していくべきでしょう。
一方で、学生は「動画なら何でも観るわけではない」ことには注意が必要です。たとえば、文字とイラストが簡単なアニメーションで流れてくるだけの動画であれば、「テキストのほうが自分のペースで読める」と感じられてしまうかもしれません。企業理念の世界観を表現した抽象的なメッセージ動画なども、「わざわざ観るほどではない」と思われてしまっている可能性はあります。
映像作品として凝った演出の動画を作ろうとすると、それなりの予算が必要となりますが、はたして本当にその価値はあるのかは検討したほうがよいでしょう。内容によっては、自分たちで一眼レフカメラやiPhoneで撮影した生々しい動画のほうが効果的な場合もあります。
なお、私たちベイジも自社で公式YouTubeチャンネルを開設し、企画から撮影まで自分たちで実践しながら、採用における動画活用を研究中です。その成果は、クライアント支援にも活かしていきたいと考えています。
この調査は、自由に転載していただいて構いません。ただし、画像を用いる時は、当社ロゴが入ったグラフ画像をお使いください。また、テキストなどで引用する場合は「新卒採用における採用サイト利用実態調査(2024年度版)」という記述と、本ページへのURLやリンクを併記いただけると幸いです。
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ベイジではこのようなリサーチを含む、エビデンスを重視した採用支援を行っています。お客様の業種業態特性や採用課題に合わせたリサーチの設計も可能であるため、採用に関してお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
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