【2025年版】スカウトをもらった求職者の行動・心理調査

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企業の採用マーケティングを支援している株式会社ベイジでは、採用活動の参考になる有益なリサーチを定期的に行っています。その活動の一環として、「スカウト媒体の利用実態調査」を、2025年11月に実施しました。

近年、スカウト媒体は中途採用における主要チャネルとして急速に存在感を高めています。特に20代〜30代の即戦力人材はスカウト経由での接触が一般化しています。一方で、多くの企業が「文面を工夫しても思うように返信が得られない」などの課題を抱えているのが現状です。

本調査では、利用経験のあるスカウト媒体、返信される文面の特徴、スカウトをもらった後の情報収集の傾向、スカウトの返信に影響を与えている要素などを多角的に分析しています。スカウトを活用した採用活動に課題を抱えている企業の皆さまにとって、本レポートが少しでも有益な示唆となれば幸いです。

なお、記事内では、以前実施した「中途採用における採用サイト利用実態調査(2024年版)」「法人営業の転職実態調査(2025年度版)」の結果も引用しています。ご興味があれば、こちらも併せてご一読ください。

  • 調査対象:スカウト媒体を利用して転職をした経験がある人
  • 回答人数:2000名
  • 調査時期:2025年11月27日 ~ 2025年11月28日
  • 調査方法:アイブリッジ社『Freeasy』を用いたインターネットリサーチ

利用したことのあるスカウト媒体

ここでは、調査対象者がどのスカウト媒体を利用していたのかを聞きました。

「ビズリーチ」(47.55%)が最も多く、僅差で「リクルートダイレクトスカウト」(46.15%)、続いて「dodaダイレクト」(23.9%)、「LinkedIn」(15.05%)、「OpenWork」(13.6%)という結果になりました。

その他の回答では、「ジョブメドレー」や「ミドルの転職」などの、職種特化型や世代特化型媒体のスカウト機能の利用や、地域特化型サイトの利用がみられ、スカウト媒体の多様化がうかがえます。

これは、採用担当者から見れば、スカウト媒体ごとの特性を把握するのが難しくなっているということでもあります。そのため、特定の媒体に依存するのではなく、求職者に共通する行動や心理を理解し、媒体を横断して活用できる汎用的な知見を持つことが、これまで以上に重要になっていると言えるでしょう。

スカウト返信の判断材料

続いて、スカウト返信の可否判断において、どのような情報が影響しているかを調査しました。まずは、企業認知に関する影響です。

「かなり影響する」(27.95%)と「やや影響する」(39.35%)だけで7割近くを占め、「あまり影響しない」(5.2%)、「まったく影響しない」(4.75%)という回答の総数は、全体の1割以下となりました。この結果から、会社の認知度がスカウトへの返信にかなりの影響を与えていることが分かります。

実際に、当社の実績において、ビズリーチでは20%前後、YOUTRUSTでは70%近くのスカウト返信率を記録していますが、返信の理由を聞くと「もともと知っていたから」「もともと好意を持っていたから」という回答が多く、もともと認知されていることが非常に有利であることを実感しています。

こうした結果を踏まえると、スカウトの返信率を飛躍的に向上させたいのであれば、スカウト文面の工夫だけに注力するのではなく、会社の認知度を高めるような取り組みも併せて行ったほうがいいと言えるでしょう。

一方で、「かなり影響する」「やや影響する」以外の回答を合計すると、32.7%となります。つまり、企業認知はスカウトへの返信に強い影響を与える要素ではあるものの、それだけが返信可否を決定づけているわけではありません。企業認知が十分でない場合でも、スカウト文面の工夫や提示する情報、接触のタイミングといった他の要素によって、返信につながる余地はあると考えられます。

1位は「スカウトメッセージの内容」(54.9%)、2位は「スカウト媒体内の求人票」(45.3%)と、スカウト媒体内で完結する項目が上位となりました。

一方、スカウト媒体以外で確認される情報としては、「企業の採用サイト」(36.25%)が最も多く、続いて「企業のコーポレートサイト」(30.8%)、「企業のオウンドメディア」(20.65%)、「SNS」(18.65%)という結果になっています。

これらの結果から、スカウトメッセージの内容が重要なのは当然として、スカウト媒体の求人票の内容や、採用サイトも重視され、近い割合でコーポレートサイトも参照されていることが分かります。

加えて、この回答は複数回答可となっており、求職者はひとつの情報だけでなく、複数の情報を横断的に確認していることが分かります。そのため、スカウトメッセージや求人票に加え、採用サイトやコーポレートサイトなども含めて対策をすることが、スカウト活動を有利にすることにつながります。

先ほどの質問では、企業認知が少ない企業が不利であるという結果が出ていましたが、企業認知で不利な状況の企業ほど、スカウト媒体内の求人票の内容で差別化した上で、最低限、採用サイトは充実させておいたほうがいいでしょう。

返信判断において重視した点として、「年収・待遇などの条件面が納得できること」(35.9%)、「仕事内容が自分の経歴・スキルに合っていること」(30.4%)、「勤務地や働き方が希望に合っていること」(25.5%)が上位となりました。

一方で、「事業内容に興味や関心が持てること」(17.35%)、「社風が自分と合ってそうなこと」(17.3%)など、4位以降の項目は回答が分散しており、特定の項目に偏ることなく拮抗しています。このことから、一定の関心要素はありつつも、決定打となるポイントは人によって異なることが分かります。

年収・待遇については、通常スカウトメッセージ内で詳細が記載されるケースは多くありません。そのため、求職者は求人票を確認したうえで判断していると考えられます。この点からも、求人票はスカウト返信を左右する重要な判断材料となっていると言えるでしょう。

また、仕事内容や働き方について「自分と合っているかどうか」を重視する回答が多いことから、次の2点が言えます。

1つ目は、スカウトメッセージは完全にテンプレートにするのではなく、候補者一人ひとりの特性や、その人が企業に求めてることに合った内容を載せなくてはいけないということです。

2つ目は、スカウトを送る前段階で、候補者の検索や絞り込みの精度を上げることが重要ということです。絞り込みの精度が高いほど、的を射たスカウトメッセージの送付が可能になり、それが返信率を押し上げていくことになると考えられます。

スカウト文面の好み

どのような文面であれば、返信しようと思えるかを2択で質問しました。

「短くて簡潔な文章」(71.3%)が、「長くて丁寧な文章」(28.7%)を大きく上回る結果となりました。

なお、「利用したことのあるスカウト媒体」とのクロス集計において比率を確認したところ、利用するスカウト媒体の種類や数にかかわらず、常に7:3程度の比率となっていました。つまり、短くて簡潔な文章を好む人が多いことは、求職者全体における普遍的な傾向だと言えます。

求職者の心理で言えば、興味を持てるかどうか分からない企業からのスカウトメッセージを長々と熟読することはないでしょうし、スカウトが多く舞い込む好条件の人ほど、長いメールは煩わしいと思うでしょう。そのため、短くて簡潔な文章を好むというのは当然と言えます。

ただし、短い文章を好むということは、その企業の独自性などを長々と説明して訴えるのが難しいということでもあります。そのため、スカウトを上手に活用している企業の中では、スカウトメッセージの中に、採用サイトやオウンドメディアなどのURLを含めて送るケースが増えています

これこそ、簡潔さとていねいな説明を両立できる、現在のスカウトにおける最適解でしょう。そしてこれを実現するためにも、採用サイトやオウンドメディアのコンテンツの充実が不可欠になります。

スカウト返信と採用サイトの相関

続いて、求職者のスカウト返信における、採用サイトの影響を調べてみました。

「返信を検討した企業の採用サイトだけみた」(43.2%)が最も多く、「ほとんどの企業のサイトをみた」(32.4%)、「一部の企業だけ軽くみた」(16.9%)を含めると、返信前にスカウト元の企業の採用サイトをみた人が9割を超える結果となりました。

特に、スカウト前に「返信を検討した企業のサイトだけみた」という回答が4割を超えていることから、多くの求職者はスカウトメッセージで一次的な選別を行い、採用サイトをみて最終的な返信の可否を判断していると考えられます。

さらに、「ほとんどの企業の採用サイトをみた」(32.4%)と回答した層を対象に情報収集チャネルをクロス集計すると、オウンドメディアやSNS、口コミサイトなど、複数の情報源を積極的に活用していることが分かりました。関心度が高い求職者ほど、採用サイトを起点に多角的な情報収集を行い、納得感を高めたうえで判断していると考えられます。

このように、スカウトメッセージで「自分に合いそうだ」と感じさせることに加えて、その期待に応える情報を採用サイトで提示できているかどうかが、返信率を左右する重要なポイントになっていると言えるでしょう。

「やや影響する」(44.22%)が最も多く、「かなり影響する」(30.27%)と合わせると7割を超えます。逆に、「あまり影響しない」(4.22%)や「まったく影響しない」(0.54%)を選択した人は、合わせても5%以下となり、少数であることが分かります。

このことから、スカウト媒体で自社に興味を持った求職者が、最終的に応募するかどうかを判断する際に、採用サイトの内容が重要な役割を果たしていることが分かります。

採用サイトにおけるニーズ

求職者がスカウト返信前に採用サイトをみる際に、どのような情報を確認しているのか調査しました。

「企業情報」(44.54%)が最も多く、続いて「事業内容(プロダクトやサービス)」(42%)、「仕事内容」(40.16%)、「業績情報」(34.7%)となりました。企業の基本情報が上位に来ており、その次に「募集要項」(32.11%)、「福利厚生」(29.51%)と続いています。

この結果から、スカウトをもらった求職者は「この会社はどんな企業で、何をしているのか」をまず理解したうえで、自分が「そこでどのように働くことになるのか」を具体的に知りたがっていることが分かります。企業の理念や文化よりも、事業内容・仕事内容・業績といった、企業の実態に関する情報が優先されている点が特徴です。

これらのことからも、スカウトを有効活用したいのであれば、採用サイトにおいても、企業理解の土台となる情報をきちんと載せることと、そこにスムーズに遷移できる導線設計が必要と言えるでしょう。

さらに、返信に影響を与える採用サイトの特徴について聞いてみました。

「具体的な情報が多い」(38.25%)が1位、「募集要項がすぐにみつかる」(34%)が2位、「都合の悪い情報も正直に掲載している」(32.85%)が3位となりました。

これは弊社が過去に実施した「中途採用における採用サイト利用実態調査」においても、同じような傾向がみられました。

1つ前のアンケートからも分かるように、求職者は、企業理解の初期段階では抽象的な理念やメッセージよりも、「何をしている会社なのか」「どんな働き方ができるのか」「自分に合うのか」という、判断材料となる事実情報を求めています。

これらができるだけ多く、かつリアリティを感じる正直な情報であるほうが、スカウトの返信に有利に働くと言えます。逆に、華美な演出や誇張した表現、都合の悪いことを隠した綺麗事ばかりのコンテンツはマイナス効果である、とも言えるでしょう。

また、「募集要項がすぐにみつかる」という回答が2位に入った点からも、スカウト媒体内の求人票だけでなく、採用サイトの募集要項もみる可能性が高いと思っておいたほうがいいでしょう。

さいごに

今回の調査を踏まえると、スカウトの返信率を向上させるためには、以下のようなポイントを抑えておいたほうがいいということが分かります。

  • スカウト文面
    • 送付前に候補者の職務経歴・プロフィールを読み込み、志向を把握する
    • 興味喚起に必要な要素だけを残し、詳細説明はリンクで載せる
    • テンプレートを使い回さず、候補者ごとに伝える情報を取捨選択する
  • 求人票
    • 事業内容・仕事内容・待遇・働き方を具体的に明記する
  • 採用サイト
    • コンテンツの量を増やすなど、内容を充実させる
    • 事業内容・仕事内容・働き方・カルチャーを具体的に明記する
    • 求人票やスカウト文面では伝えきれない情報をコンテンツで網羅する

スカウトでは、文面の工夫にばかり意識が向かいがちですが、この調査をみても、特に採用サイトはかなり強く影響を与えていると考えられるため、スカウトを始めると同時に、採用サイトも充実させることを強くおすすめします。

なお、この調査は、自由に転載していただいて構いません。ただし、画像を用いる時は、当社ロゴが入ったグラフ画像をお使いください。また、テキストなどで引用する場合は「転職におけるスカウト媒体の利用実態調査2025年度版(株式会社ベイジ)」という記述と、本ページへのURLやリンクを併記いただけると幸いです。

その他、本件に関する質問があれば、当社お問い合わせまでご連絡ください。

ベイジではこのようなリサーチを含む、エビデンスを重視した採用支援を行っています。お客様の業種業態特性や採用課題に合わせたリサーチの設計も可能であるため、採用に関してお困りのことがあれば、是非お気軽にご相談ください。

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