
採用活動は、人事や採用担当の仕事と思われがちです。現場社員は「自分には関係ない」と思い、採用担当も「私たちで解決しなければいけない領域」と抱え込む。この構図は“採用あるある”といえるものですが、それを見聞きするたびに、もったいないなあと感じてしまいます。
採用活動というと、どうしても会社の外側の活動に目が向いてしまいます。求職者にどう伝えるか、どんな媒体を使うか。でも実は、採用をうまく機能させるためのカギは、会社の内側にあったりします。
以前採用サイトのリニューアルをお手伝いした会社では、その会社の活動としてははじめて、現場の社員を巻き込み、各部署の代表社員を集めて、採用に関するディスカッションやワークショップを行いました。
そうすると、ある社員がディスカッションの終盤に「うちの会社、意外といいところ多いな。」とぽろっとつぶやいたり、ワークショップに参加した社員が「オンボーディングの仕組みを見直さないと。」と育成への問題意識を持つようになったりしました。
つまり、採用活動に関わることで、社員が自社を客観的に捉え、組織や人の育成への意識が自然と高まっていくわけです。
人事部や採用担当だけが頑張っている状態では、現場のリアルな声や日常の働く様子が伝わってきませんが、現場の社員が関わると、求職者が本当に知りたい情報が自然と集まってきます。「この部署では実際にこういう仕事をしている」「こういう人が活躍している」という具体的な話が採用コンテンツになり、面接での会話にもつながっていきます。
また、現場は、自分たちを今すぐ助けてくれる「即戦力人材」を求めて理想の人物像を描いてしまいがちですが、市場にはそんな人はおらず、採用担当が連れてくる候補者をことごとく落とす、みたいなことが起こります。こうした現場社員の「採用市場感覚のなさ」も、実際の採用活動に社員を巻き込むことで、かなり緩和されていきます。
そのワークショップを終えた後、採用を管掌する人事責任者の方が「正直、最初は”それは人事の仕事だろう”と現場に嫌がられるんじゃないかと抵抗もあったけど、社員の会社への理解も深まって、やってよかった。」と話していたのが印象的でした。
採用活動を「外から人を連れてくる活動」として閉じてしまうのは、とてももったいないことです。自社の価値を社員全員で再認識し、組織の一体感を育てる機会として設計することで、採用の成果を超えた良い変化が組織にもたらされるからです。
では、どうやって現場を巻き込むか。いきなり大規模にやる必要はありません。まずは5〜10名、協力してくれそうな社員に声をかけてみる。できれば社員インタビューや写真撮影だけでなく、企画段階から議論に参加してもらったり、意見をもらったりする。そうして小さく始めて、うまくいったら広げていく。
協力してくれた社員へのフィードバックも大事です。採用の全社方針をSlackや社内MTGで共有する、できあがった採用ページを見せる、応募が増えたことを共有するなどです。
そうすることで、協力した人たちも自分事化された気分になり、次からも協力したいと思うようになります。
人事部や採用担当の役割も変わってくるでしょう。採用実務をすべて自分たちでやるのではなく、「採用活動のファシリテーター」として、社内を動しながら進めていく。現場が協力しやすい環境を整え、集まった情報を整理していく。そういう動き方をすると、採用活動は自然と組織全体の活動へと育っていきます。
採用は人事部や採用担当だけの仕事ではありません。全社員が少しずつ関われる仕組みを作ることで、採用活動の効果は何倍にもなります。社員のエンゲージメントや組織の結束も高まっていきます。
採用活動とは、組織全体を強くするための絶好の機会なのです。
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