
採用サイトの効果を聞かれたとき、多くの企業がまず思い浮かべるのは「自己応募が増えること」だと思います。
たしかに、自己応募の増加は分かりやすい直接効果です。
人材紹介やスカウト、転職媒体を使えば、1人あたり平均100万円、ハイスペック人材なら数百万円の仲介手数料がかかります。自己応募ならこのコストがゼロになるわけですから、年間10名が自己応募で採れるようになれば、1000万円が浮く計算になります。
仮に採用サイトに1000〜2000万円を投資しても、1〜2年でペイできる計算になります。実際に当社のクライアントでも、その規模の紹介フィーのコストダウンになった、というケースがあります。
ただ正直に言うと、この直接効果だけで採用サイトの投資を測れるのは、年間数十名〜数百名規模で採用しているような企業に限られると感じています。年間の採用人数が数名〜十数名という規模の会社だと、自己応募だけで目に見える変化が出ないことも多いです。
では、採用サイトへの投資は割に合わないのかというと、まったくそうは思いません。むしろ自己応募という直接効果よりも、それに付随する波及効果の方がはるかに大きいというのが、多くの案件に関わってきた中での実感です。
まず、スカウトの返信率が変わります。
ビズリーチなどのスカウト返信率は一般的に5〜8%程度と言われていますが、採用サイトが充実しているベイジでは(職種にもよりますが)最大で20%程度あります。
カジュアル面談で「なぜ返信してくれたのですか」と聞くと、「採用サイトを見て、ちゃんとした会社だと思ったから」という答えが高確率で返ってきます。スカウトを受け取った求職者が会社名で検索して採用サイトを見に来る、という導線が機能しているわけです。
次に、人材紹介経由の応募の質が変わります。
エージェントから紹介された候補者が、面談前に採用サイトを見て「この会社、良さそうだな」と感じてくれるかどうか。ここで離脱されるか、前のめりになってもらえるかで、その後の選考の進み方はまるで違ってきます。
転職サイトでの反応も変わります。
同じ媒体に、同じ期間、同じ内容で出稿しても、採用サイトのリニューアル前後で応募の質がまったく違う、ということは実際に起きています。求職者は求人媒体で興味を持ったあと、必ずと言っていいほど企業の採用サイトを確認します。そこで安心感を得られるかどうかが、応募するかしないかの分かれ目になっているのだと思います。
さらに見落とされがちなのが、応募後の再訪問です。
データを見ると、候補者の6〜7割が採用サイトを選考中に再訪問しており、選考が進む人はほぼ確実に次の面接前にもう一度見ています。
面接対策のためだけではなく、内定後に「本当にここでいいのか」を判断する材料としても使われている。つまり採用サイトは、応募を集めるだけでなく、選考から内定承諾までの歩留まりにも影響しているわけです。
そしてもうひとつ、効果として見えにくいけれど非常に重要なのが、採用戦略そのものが整理されるという副次的な効果です。
採用サイトをきちんと作ろうとすると、「どんな人を採りたいのか」「その人に何を伝えるべきか」を徹底的に言語化しなければなりません。
人物像の明確化、各職種のジョブディスクリプションの精緻化、自社の魅力の棚卸し。こうした作業を通じて、採用戦略そのものの解像度が上がる。これは採用サイトの成果物だけでなく、面接の質やスカウト文面の精度、エージェントへの説明力にまで波及していきます。
実際、ベイジのお客さまで採用サイトに高額な投資をされている企業は、「まだ採用サイトを持っていないから作りたい」というケースよりも、「すでに採用活動を一通りやった結果、自社できちんと情報発信をしていないと他の施策の効果が頭打ちになる」と気づいて依頼されるケースの方が多いです。
求人媒体もスカウトもエージェントも使っているのに、どこかで限界にぶつかる。その壁を突破するために採用サイトが必要だ、という判断です。採用サイトの価値を「自己応募が何件増えるか」だけで測ろうとすると、投資判断を見誤るかもしれません。
直接的な自己応募の増加に加えて、スカウト返信率、紹介経由の応募の質、転職媒体での反応、選考中の歩留まり、さらには採用戦略の精緻化。こうした波及効果を含めた全体像で捉えることで、採用サイトの本当の価値が見えてきます。
社内で採用サイトへの投資を通すとき、あるいはクライアントに提案するとき、「自己応募が増えます」だけでなく、「採用活動全体の底上げになる」という視点で複雑で多岐に渡る効果を説明できると、経営層にもリアルな価値として伝わりやすくなるのではないでしょうか。
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