私たちはこれまで、100を超える企業の採用サイト・コーポレートサイトを支援してきました。商談や相談も含めると、その数倍の採用サイトを見てきました。こうした経験を積み重ねる中で、採用サイトには一定の成功法則(失敗法則)があることが分かりました。
その法則をまとめたのが、ここでご紹介する『採用サイト・チェックリスト』です。
このチェックリストでは、採用サイトの制作方法だけでなく、前段で必要な戦略検討から、公開後の運用に関するチェック項目も取り扱っています。採用サイトの企画から制作・運用まですべてに対応できる、実用的かつ即効性のあるチェックリストを目指しました。
また、セルフチェックするためのスプレッドシートもご用意しました。項目ごとに10点満点で採点されるようになっているので、現状の採用サイトのどこを重点的に改善すればいいかが、分かるようになっています。複製して自由にお使いください。
このチェックリストは、業界や企業規模が異なっても使える内容になっています。ただし、採用サイトは各社固有の採用課題への最適化は不可欠です。そのため、皆様の状況に合わせて、適宜改変したり、解釈を応用したりしながら、ご活用ください。
「採用サイトが問題だ」「採用サイトを変えよう」となった時、いきなり採用サイトの具体的な改善案や表現案から検討を始めていませんか?しかしその進め方では、採用サイトが適切に改善されないかもしれません。
採用サイトの検討を始める前に、まずは何が今の採用課題で、どういう求職者を集めたくて、どんな価値を訴求するのがよくて、どんな採用施策と連携させるつもりなのか、という「採用のそもそも論」をきちんと定義せず、採用サイトの中身の検討だけを進めても、採用活動の実状と噛み合わない採用サイトになりがちです。
戦略・企画とは、「採用サイトのそもそも論」を議論し、定義し、すべての土台を作る、非常に重要なステップです。私たちがこれを担当する時は、WHO/WHAT/HOWという、マーケティングでよく使われるフレームワークを活用しています。
WHO(誰に?)、WHAT(何を?)、HOW(どうやって?)を定義することで、採用サイトの方針が明確になるだけでなく、採用活動に一本筋を通すことが可能になります。また、その前段として経営課題や採用課題の全体像を把握するためのWHY(なぜ変える?)、仮説を検証するRESEARCHの工程を加え、コンサルティングを行っています。
このような戦略・企画を行う時に私たちが抑えている項目が、以下のチェックリストです。
求職者のニーズは多様であり、また訪問タイミングによって情報ニーズが変わることから、採用サイトは、なるべくコンテンツを多く掲載している方が有利です。そして、豊富なコンテンツを見やすく、分かりやすくするために、情報設計が必要になります。
ここでもポイントは、求職者の視点です。採用サイトは、移動先などでスマートフォンで素早く見る時と、仕事の合間にPCでじっくり見る時の両方のシチュエーションが想定されるため、PCとスマートフォンの両方で使いやすく、直感的なナビゲーションを実現することが鍵となります。
また、求職者が行動を起こしやすくするため、どのページからでも簡単に募集要項の閲覧や応募ができるCTA(Call To Action:アクションに繋がるボタンなど)の配置には特に気を配りましょう。
時にグラフィカルでアニメーションが多用された採用サイトを見かけますが、求職者視点に立てば、こうした奇抜なUIは不要です。求職者が欲しい情報にスムーズにたどり着けるよう、シンプルで分かりやすいスタンダードな構造やレイアウトを心がけましょう。
コンテンツは採用サイトの核心です。特に重要なのは、求職者が本当に知りたい情報をコンテンツ化することです。会社概要や事業内容はもちろん、具体的な仕事内容、社員の声、キャリアパスなど、求職者の疑問や不安に応える情報を盛り込み、働くイメージを具体的に持てるようにしましょう。
伝える上でのポイントは、単に事実を列挙するだけでなく、その背景にある企業側の思いや考え、価値観などの文脈も伝えることです。
また、求職者に対する透明性や誠実さを意識し、課題も正直に伝えることで、企業としての信頼感を高めることも大切です。
デザインは、「視覚的に求職者を魅了すること」が目的と考えられがちですが、最大の目的は、求職者にコンテンツをしっかりと届けることです。その過程の中で、企業の雰囲気やイメージを伝えていくというのが、デザインに求められる役割と言えます。そのため、アニメーションが多用されたグラフィカルで演出的な採用サイトは、必ずしも必要ではありません。そうした採用サイトを指示する層は5%未満という調査結果もあります。
訪問者を迷わせないオーソドックスなレイアウト、読みやすいフォントや適切な配色を選び、必要に応じて図やイラスト、写真を効果的に使用してデザインしましょう。採用サイトを適切にデザインすることで、コンテンツがしっかり読まれるようになり、その企業への好意的な感情が高まり、その結果、応募への意欲に繋がるはずです。
なお、一般的なウェブサイトと同様レベルの最低限のアクセシビリティ対応は必須ですが、特に多様なバックグラウンドを持つ求職者からの応募が想定される場合には、より厳格なアクセシビリティの基準を設けた方が良いでしょう。
採用サイトの実装面に関しては、更新性と表示速度が特に重要です。また、最低限のセキュリティ対策もしっかり行いましょう。採用サイトは、技術的に凝る必要はありません。ウェブサイトの基本的な部分をしっかりと抑えていれば、基本的には問題のない採用サイトになります。
採用サイトは作って終わりではありません。採用サイト運営を投資対効果の高い活動にするためには、継続的な運用と、採用課題と照らし合わせた効果検証が不可欠です。採用サイトへの流入経路、人気ページ、応募に繋がりやすいシナリオなども把握し、採用活動や他の採用施策にも反映していきましょう。また、社員や求職者からフィードバックを得て改善することも重要です。細かなところも含めて改善し続けるほど、求職者ファーストの採用サイトに進化していくはずです。
冒頭でもご紹介しましたが、セルフチェックするためのスプレッドシートも公開しています。各テーマごとに10点満点で採点されるようになっています。現在の採用サイトの課題を特定し、改善の優先順位を決めるのに便利です。複製して自由にお使いください。
当社の採用サイト制作のノウハウが詰まった本チェックリストについて、全項目を完璧に実行する必要はありません。自社の状況や目的に合わせて、重要な個所に絞ることをおすすめします。
重要なのは、できることから始め、徐々に改善する姿勢です。このチェックリストを参考に、自社に適した採用サイトを作り上げて、継続的に改善していってください。皆様の採用サイトが、素晴らしい人材との出会いに繋がることを、心より願っています。
また、自社でやりきれない、専門家に相談したいという場合には、私たちにご相談ください。チェックリストの背景にある様々な経験や知見を元に、御社の状況に合わせた最適なアドバイスができるかと思います。
採用に精通したコンサルタントたちがお客さまの採用サイトの問題を解決します