デザイナーのための超具体的プレゼンテクニック

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リードデザイナー金成奎

プロジェクトやコンペにおいて、クライアントにデザインを提案する瞬間はいつだって緊張するものです。苦手意識を持っているデザイナーの方も多いのではないでしょうか。

本記事ではそんなデザイン提案における注意事項や、覚えておくとスムーズに進むノウハウや心構えについてまとめてみました。

構成としては、提案前日までの資料を作成したり練習したりといった「1.準備編」、当日実際にデザインを提案する「2. 実施編」、提案が終わった後の「3.事後編」といった具合に、時系列にそって要点を解説しています。

提案の機会が多いデザイナーや、それ以外の職能でもクライアントと対峙することの多い方には広く応用できる箇所もあるかと思いますので、是非参考にしてみてください。

1.準備編

1-1.資料作成

1-1-1.ページ番号 (ノンブル)を忘れない

資料にページ番号(ノンブル)がついていない場合、「〇ページをご覧ください」と具体的に該当ページを指し示すことができません。PowerPointなど自動ページ生成機能が搭載されている場合はそれを有効活用し、そうでないアプリケーションは手動で忘れずにページ数を記載するようにしましょう。

1-1-2.デザインには枠線もしくは背景色をつける

背景色が白いデザインを、背景色が白いドキュメントの台紙上にそのまま配置してしまうと、全体的にデザインと背景の区別が曖昧になってしまい、デザイン自体が引き立たなくなってしまいます。

こうした事態を避けるため、デザインに枠線をつけるか、あるいはドキュメントの背景色を変更するなどの処理を施しましょう。それだけでデザイン自体が引き立ち、資料がグッと引き締まった印象になります。以下に参考例を用意しましたので見比べてみてください。向かって左が枠線を施さないデザイン、右が枠線を施したデザインです。

1-1-3.利用シーンをイメージさせる

できればデザインだけでなく、それを実際のデバイスやスクリーンにはめこんだイメージ画像を用意すると良いでしょう。提案された側はそのウェブサイトやアプリケーションの利用シーンをより明確にイメージできるようになります。ウェブ以外のデザイン提案でもよく行われる手法です。

1-1-4.デザインの説明資料はできるだけ薄くする

デザイン提案に説得を持たせるためには言語化は欠かせず、資料にはある程度のボリュームは必要でしょう。

ただしあまりに資料自体が分厚くボリュームが多いと、提案を受ける側は身構え、気が削がれてしまうのも事実です。受け取る側の気持ちを考慮し、資料はできるだけコンパクトにまとめることはできないか、検討しましょう。

1-1-5.長い場合は目次をつける

その上でどうしても長くなってしまった場合、資料の冒頭に目次や趣旨をまとめたものを用意するのも良いでしょう。聞いている方もまずは冒頭で全体像を把握できるので、より提案内容に集中してもらえます。

1-1-6.調査資料を用意する

余裕があれば、デザイン資料に「お土産」があると、当日の提案がスムーズになるかもしれません。例えば、競合企業のデザインをマッピングしたマトリックス図、デザイントレンドなどを解説したブログ記事など。こうした補足資料がデザインの裏付けとなることもあるでしょう。

1-1-7.印刷する場合

ベイジでは基本オンラインの会議を推奨していますが、プロジェクトやクライアントによっては会議もオフラインで行い、当日は資料を印刷して持参する必要がある場合もあるかもしれません。その際覚えておくと良いノウハウをいくつか挙げておきます。

  • A3で印刷する
    デザインはなるべく大きな紙で見てもらう方がディテールも伝わりやすくなりますし、インパクトがあります。印刷するならできればA3サイズで印刷しましょう。
  • まとめるのはホッチキスではなくクリップで
    複数案デザインがある場合、デザイン資料をバラして比較したいクライアントもいます。説明とデザイン自体を交互に見比べたいというニーズもあるでしょう。そのため、ページ数が多い資料はできればホッチキスではなくクリップでまとめ、ばらしやすいように工夫しておきましょう。
  • 表紙を用意する
    余力があれば表紙までデザインすると良いでしょう。提案後もそのデザインを思い出しやすくなります。そのデザイン資料が担当の方のデスクに置かれていた場合、表紙が見栄えのするものであれば、他の方が手にとってくれるかもしれません。提案後もそのデザインに目を留めてもらうためのちょっとした工夫です。
  • 印刷した印象で判断しない
    ブラウザやデバイスで閲覧・操作するウェブデザインを、紙に印刷した、実寸サイズでもない状態で判断するのは限界があります。印刷状態で問題なく思えたデザインがいざ実装すると、使いづらく分かりにくいことは十分に起こり得ます(逆も同様)。紙で見た印象は絶対的なものではなく参考程度に留めておくことは、クライアント含め関係者内で認識を合わせておく必要があります。

1-2.プロトタイプ作成

紙や画像だけのデザイン提案の弱点として、当たり前ですが、アニメーションやインタラクションが解説しづらい点が挙げられます。ウェブはインタラクティブなメディアですので、実際の動きをプロトタイプとして可視化してあげると、より効果的なデザイン提案になるでしょう。

手段としては、XDやFigmaなどのUIアプリケーションに付随してあるプロトタイプ機能を有効活用しましょう。あるいは動画などを提案する場合は、CSSフレームワークを使って簡易にコーディングするのも手でしょう。当日、その場でスクリーンに写したり、デバイスを配布して操作してみるとインパクトも大きく実装のイメージもよりリアルに感じられ、提案の満足度も上がります。

1-3.練習

1-3-1.アンチョコを作る

当日は資料の全量を余すところなく伝えたいところですが、現実問題としてミーティングの時間は有限であり、また全て読み上げながら説明していくと冗長な印象になってしまう可能性もあります。

そのため、資料とは別に要点をまとめて抜粋したアンチョコ(カンペ、メモ)を手元に用意しておくのをおすすめします。当日の提案はそれを元に話を進め、優先順位が高いポイントを漏らさず伝えるようにしましょう。

1-3-2.口語での言い回しも決めておく

アンチョコの内容は、ただのメモではなく、「ですね」「といったところで」「はい、それでは」のような些細な口語まで書いておくといいでしょう。要件だけ抜き出したメモだと、前後関係のつながりをその場で頭の中で構成しながら話すことになり、意外につまづきがちです。

そのような事態を避けるため、アンチョコにはいっそのこと自分の話し言葉や口調まで決めておき、それを丸暗記して当日に臨むと良いでしょう。

1-3-3.予行練習する

用意が整ったらリハーサルをおすすめします。誰か社内のメンバーをクライアントと見立ててプレゼンし、感想をフィードバックしてもらいます。また、提案に対する質問や疑問をメンバーに考えてもらい、当日想定されるやり取りを行ってみるのも良いでしょう。

予行練習にはストップウォッチは欠かさずに用意し、プレゼン時間を計測します。当日は準備など何かのトラブルが発生し、巻きで進行せざるを得ない場合も多いため、できれば想定の時間より少し短くまとめるように意識するのがおすすめです。

1-3-4.120%の準備で100%の実力が出せる

「練習は試合のように、試合は練習のように」というスポーツの格言がありますが、本番の方がえてして緊張し、本来の実力が出せないものです。そのため、本番で100%の力を発揮するためには、練習の時点で120%に仕上げておく必要があります。

例えば資料を暗記しておいて初めて、当日に資料を読みながらスラスラ淀みなく提案できるようになります。言い換えれば、練習の時点で資料を読みながら解説できる程度であれば、本番では辿々しい口調になってしまう可能性があります。時間が許す限り練習を繰り返し、プレゼンの精度を上げておきましょう。

2. 実施編

2-1.直前準備

2-1-1.遅刻しない

デザイン提案に限らず社会人として当たり前のマナーですが、アポイントメントには遅刻しないようにしましょう。初めての場所なら余裕を持って家を出て、場所を確認したあと、近くのカフェやビルのロビーなどで待機しておくのがおすすめです。心に余裕が生まれ、落ち着いた状態で本番に臨めます。

2-1-2.服装で個性を出さない

デザイナーならファッションでも個性を出したいところですが、あくまでデザインの中身で勝負し、服装は無難にまとめましょう。

また、クライアントの世代や年齢によっては、ドレスコードを厳密に気にする方もいます。無用な偏見を避けデザインに注目してもらうために、個人的にはあまりラフすぎる格好は避けることをお勧めします。

2-1-3.エピソードを交える

開始前に時間があれば、クライアントの商材を使用した感想や、その業界での体験を交えると良いでしょう。アイスブレイク代わりになりその場が和みますし、緊張も解れます。

2-1-4.機材トラブルを想定しておく

当日はいくつかトラブルがつきものです。代表的なものとその対応策を上げておきます。

  • 接続端子が違う
    スクリーンにPCをつないで投影する場合、機種ごとに端子が異なることも想定されます。いくつかコネクタを持っていくと良いでしょう。
  • 回線の調子が悪い
    当日の会場のインターネット回線が不調であることも考えられます。ポケットWi-Fi を用意しておくのは当然として、ファイルはローカル環境にも配置するなど、オフラインでも提案できる準備をしておくと良いでしょう。
  • 充電を忘れた
    当日になって初めてPCやスマートフォンのバッテリーが足りない......という事態に気づく場合もあるかもしれません。充電は十分確認しておくことに加え、バッテリーもできれば持参しましょう。また、当日の会場の設計によってはコンセントの場所が座席から遠くにあるかもしれません。延長コードも持参していくと便利です。

2-2.伝え方

2-2-1.いきなりデザインを説明すべきかどうか検討する

提案が始まったら早速デザイナーは自身の成果物を言語化し、解説したいところですが、クライアントによってはデザイナーの意図や設計背景は一旦省略し、まずは先入観抜きでそのデザインを閲覧・操作し評価したい方もいます。

そういったケースでは、提案が始まってまずはじっくりデザインを確認いただき、その後は質問に応える形で解説してもいいかもしれません。プロジェクトに応じ、このあたりは柔軟に対応しましょう。

2-2-2.情報設計とビジュアル設計の話を混ぜない

デザイン=設計であり、情報設計(ワイヤーフレームなどで議論される要素の有無や位置)とビジュアルデザインは密接に関わり合っています。

ただしデザインを解説するときにこの2つを混ぜて解説してしまうと、議論の焦点がずれてしまう恐れがあります。情報設計とビジュアルデザインは意識的に分けて解説するようにしましょう。

またその際、クライアントなど非デザイナーのほとんどは情報設計とビジュアルデザインとの違いを意識しているわけではありません。現在説明している箇所は情報設計のことを指しているのか、それともビジュアルデザインのことを指しているのか、明確に区別し補足してあげるようにしましょう。

2-2-3.まずは大きな方針、その後細部の方針という順番で解説する

例えばボタンの色について述べた後、テキストの色について解説したりしてはいないでしょうか?あるいはフォントの種類やサイズについて、いろいろなコンポーネントにおいて言及していないでしょうか?

このように「色」や「文字」など、デザインのいろいろな箇所で同じ要素を繰り返し説明をしてしまうと、提案の体系化が崩れ、聞いている側も全体像を理解するのが困難になってしまいます。

対応策としては、まずは大きな方向性(基本方針)から細部の解説 (詳細方針)、そして具体的なコンポーネントについてと、デザインの方針を解像度を上げ具現化しながら順序立てて解説することをおすすめします。そのための区分の一つの例を上げておきます。活用してみてください。

  • 基本方針
    そのプロジェクトにおいてデザインがどうあるべきか、大きな方針を示したもの。デザインコンセプトやそれに準ずるものです。
  • 詳細方針
    基本方針を、具体的なデザイン要素にどう反映・具現化したかを記載したものです。デザイン要素の8つの分野ごとに、どのような工夫を施したか、またその理由・意図・背景はどのようなものか、整理してみると良いでしょう。
    • 配色......カラースケールや彩度・明度など。
    • 文字......フォントの種類やサイズ感、あるいは出力方法など。
    • レイアウト......画面幅や余白の取り方、カラム数など。
    • アイコン......配置する基準や形状の特徴など。
    • シェイプ......四角・角丸・丸など、各種コンポーネントで使用する形状の特徴など
    • デコレーション......装飾の方向性など
    • 画像......イラストや写真の選定や作成の基準など
    • アニメーション・インタラクション.....設置基準やその動きの特徴・方向性など。
  • コンポーネント
    特に取り上げて語るべき具体的なパーツやエリア(コンポーネント)は、さらに掘り下げて解説します。最小の単位はボタンや見出しなどの「部品」から、それらを組み合われて構成されるもっと大きな「エリア」など、その粒感は多岐に渡ります。以下にコンポーネントの分類の一例を挙げてみますので、参考にしてみてください。
    • メインビジュアル
    • ナビゲーション
    • ボタン
    • 問い合わせフォーム
    • CTAエリア
    • 見出し
    • 特徴エリア
    • テーブル

2-2-4.華やかな言葉で装飾して伝えない

デザインの説明には、一見華やかで耳障りはいいものの、よく読むと説得力に欠けている言い回しが混在していることも少なくありません。

以下にそのような本質でない解説例を挙げてみます。安易にこういった説明を盛り込んでいないでしょうか?振り返ってみましょう。

  • 「信頼感を表現」
    デザインが営利活動の一貫である以上、原則として信頼感が求められない企業・サービス・ソリューションは存在しません。その企業やサービスは、何を持って信頼されるべきなのか?先進的な企業姿勢なのか?培った伝統と歴史なのか?厚いホスピタリティなのか?それこそが掘り下げて、ビジュアライズすべき価値と言えるでしょう。
  • 「直感的にわかりやすい」
    「直感的にわかりやすい」という言葉を厳密に考えると、人間が生まれつき備えている本能に沿った表現でしか、「直感的にわかりやすい」とは言えないはずです。そして、本当にそのようなデザインになっているのでしょうか。誇張した表現になっていないでしょうか。
  • 「高揚感を演出する」
    何をもって「高揚」するのか、よくわからない曖昧な言い方です。可愛い・かっこいい・嬉しい・楽しい.....これらも全て人間が気分をあげるための(高揚するための)感情です。そもそもユーザにどのような体験を与えて高揚させたいか。そして本当に「高揚する」といったことが起きるのか。もう一歩踏み込んで冷静に考えましょう。

2-2-5.公平・中立で客観的な立場を意識する

まず例として、以下のデザインに対する説明を2種類用意しました。ご確認ください。

説明A:青をメインカラーとしたことで、ユーザーに信頼感・安心感を醸成します。人と都市のイメージを重ね合わせ、余白を活かした精緻なレイアウトを施すことで、サービスとしての質の高さを強調します。キャッチコピーには英語を施し、知的な印象を訴求します。

説明B:青はCIカラーから引用しました。色数が多いと配色ルールをまとめにくくなるため、青以外は極力使わないようにしています。大企業のビジネスマンがターゲットであるため、保守的で落ち着いた印象を与える配色でまとめました。メインビジュアルについては、都市のイメージと人のイメージを結びつけ、御社の印象を表現してみました。ただしメインビジュアルは、機能的な効果が見出しにくい領域であるため、最終的には好みの問題になると思います。

いかがでしょうか。説明Aは一見それっぽくまとまってはいますが、青がなぜ安心感に繋がるのか、なぜ精緻なレイアウトがサービスとして質の高さを演出できるのか、よく読むとロジックが繋がっておらず曖昧です。

一方、説明Bは客観的事実と、そこに立脚したデザイナーの設計意図のみを忠実に述べています。また、写真についての所感も「好みの問題」と正直に打ち明けています。結果、説明Aよりも真摯で中立な解説になっていることがお分かりいただけると思います。

このようにまずはロジカルな解説になっているか、自分の都合のいいように論理を飛躍・歪曲して無理な理屈を捏造していないか、意識してみましょう。

その一方、どうしてもデザインは感性に委ねてしまう表現があるのも事実です。その場合は無理に理屈を重ねず、自分自身の主観・感性に依るものであることを伝えます。主観はネガティブなことではなく、議論活性化のための材料として活用しましょう。

2-2-6.複数案提示の際は評価軸を盛り込む

複数案を提示する場合、バリエーションを提示するだけだと、提示された方は判断基準が分からず、困ってしまいます。それぞれの案を作成した意図、そこにあるメリットやデメリットなど、選定する上での基準を盛り込むようにしましょう。

2-2-7.見ればわかる「状況説明」ではなく、見ても分からない「意図の説明」をする

ボタンを大きくしたから目立たせました、キャッチコピーを明朝体からゴシック体に変えました。こうした説明はデザインを見ればわかることであり、改めて時間を使ってくどくどと説明する必要はありません。

クライアントが知りたいのは「なぜそうしたか」「それによってどういう効果が期待できるか」といった観点です。デザインそのものの「状況」ではなく、その背景にある「意図」を解説できるようにしましょう。

2-2-8.特に伝えたい箇所は強調する

一つのデザイン全ての要素について、満遍なく等しく時間をかけて説明する必要はありません。そのデザインの中で特に自分が気に入ってる箇所があれば、そこは思い切って強調してアピールするのも作戦の一つです。

苦手なところを説明するより上手くいった箇所を強調するように振る舞うと、話し方も流暢になり、良い提案になるでしょう。

2-2-9.予算やスケジュールの話はしない

プロジェクトである以上、現実的なQCD(クオリティ・コスト・デリバリー)を念頭に入れて進行しなくてはいけません。

しかしその一方で、我々の仕事は納期にさえ間に合えばいいといった種類のものでもありません。まずはものづくりのプロとしてクオリティにこだわるべきであり、プロジェクトの中ではまずはプレイヤーであるデザイナー自身がその役割を担いましょう。

現実的なコストやデリバリー(予算や工数の話)はディレクターやプロジェクトマネージャーが担ってくれるはずです。そういった関係性や役割分断ができていると、制作と進行管理側とでバランスの取れた、理想的なプロジェクトチームと言えます。

2-3.議論

2-3-1.まず率直な感想をもらう

デザインを提案し見てもらったあと、早速議論を始めたいところですが、提案された側も身構えている状態です。専門家を前に的外れな指摘をしてしまわないかと、心配しているクライアントもいるかもしれません。

活発な議論を引き出すために、まずは一旦ハードルをさげ、率直にどう思われたか、第一印象の感想をフラットに伺うように振る舞いましょう。まずはその場の緊張感を緩和させ、議論を始められる空気作りに努めます。

また、見た目の第一印象には、作り手が見落としがちな新鮮な視点が紛れていることも多くあります。特にその場で初めて出席される方がいれば、貴重なユーザテストにもなるでしょう。率直な第一印象を是非有効に活用しましょう。

2-3-2.評価軸を提示する

議論が活性化した場合、それを収束させる軸が必要であり、多くの場合、デザイン方針やサイトコンセプトがそれに当たるでしょう。関係者間でデザインのあるべき姿が曖昧になりそうな場合は、うまく前提条件へ誘導し、決定する上での拠り所を提示しましょう。

2-3-3.専門家として振る舞う

議論が紛糾した場合、デザインの当事者としてその場をファシリテートするように振る舞いましょう。その場合、いきなり民主的にいろいろな意見を統合するのではなく、まずはプロフェッショナルとしてあるべき判断を下しましょう。クライアントもデザイナーを単純な御用聞きではなく、戦略的なパートナーであることを望んでいるはずです。

2-3-4.専門家の理論に固執しない

上記と矛盾していますが、一方で専門家故に厳密な用語にこだわりすぎて、今本当に議論すべき話題からずれてしまうことがないようにしましょう。多少ディテールがあやふやであっても、まずはこの議論で握るべき大きな流れやポイントにフォーカスすることのできる視野の広さもまた重要です。

2-3-5.デメリットも伝える

デザインは時にトレードオフであり、何かを獲得することで何かを失うこともあります。例えばあるボタンを強調すると当然他の要素は目立たなくなるし、見栄えを重視するあまり運用や更新に手間がかかってしまう設計になってしまうかもしれません。

そういった場合、メリットだけではなく、それに合わせて想定されるデメリットも伝えるようにしましょう。作り手として都合の良い一面しか伝えないのは、公平さに欠ける振る舞いです。

2-3-6.論理も大事だけど論破しない

デザイナーはデザインの専門家です。当然デザインの議論になれば、知識においてはデザイナーに分があります。ただし提案において、クライアントは打ち負かす相手と想定し、そこが論破するだけの場になってしまってはいないでしょうか。

デザインは勝ち負けではなく、人は必ずしも正論で動くわけでもありません。単純な正しさだけでは推し量れない、様々な事情を抱えている場合もあります。あるべき姿や正論を訴えた上で、相手側の事情も察してみましょう。その懸念点や事情を汲み取り解決できるアイデアを提案してこそ、ホスピタリティのあるデザイナーと言えます。

2-3-7.質問にはYES/NOで答える

これもデザインに限った話ではありませんが、質問にはまずはYES/NOで返すようにしましょう。聞いてる方は結論がわからないとまどろっこしく感じてしまいます。理由や論理はあくまで結論の後、解説しましょう。

2-3-8.その場で作業する

なかなか結論が出ない場合、最後はその場でグラフィックツールなどをスクリーンに投影して作業し、イメージをすり合わせるのも一つの手でしょう。ビジュアルとして具体化することで、議論で曖昧だったポイントが明確になります。

2-4.心構え

2-4-1.味方を見つける

クライアント側にもいろいろな性格の方がいます。複数人担当者がいる場合、あなたのデザインを気に入り、ニコニコ聞いてくれる人もいるでしょう。

そういう方を見つけたらチャンス。意識してその人に向けて語りかけるように提案してみましょう。こちらの気分も乗るし、波長効果で場が和んでいきます。

2-4-2.名前を覚える

事前に名刺などが頂けた場合はすぐに覚え、そのまま提案中その方を名指しで呼んでみると好印象です。名前で呼んでもらえるということは自分に興味関心を持ってもらえたという証拠でもあります。

2-4-3.立場に考慮する

クライアントのプロジェクトメンバーの立場は様々で、それぞれに思惑があります。提案の流れの中で、その方ごとの悩みを解決してあげるような形に持っていくのもデザイン提案の手法の一つです。
以下にそれぞれの代表的な担当者ごとの悩み・注目ポイントを挙げてみました。

  • 運用担当
    このデザインに決定した場合、運用やメンテナンスに手間がかからないか?を気にされています。更新箇所がどのくらい柔軟性を考慮しているか、データとの連携に滞りがないか、といったあたりを中心に解説し、懸念点を取り除きましょう。
  • 開発担当
    システム的に無理がないか、開発負荷が高くないか、が肝になります。あらかじめ予想される実装上の懸念点を洗い出し、対応策を考えておくと良いでしょう。
  • 責任者
    プロジェクトの責任者は、社内で上長にどうやってこのデザインを上申するか?という役割を担っているかもしれません。彼らの立場に寄り添い、経営者目線に立って、このデザインがどのようにビジネス上の課題解決になっているかといった視点も忘れずに解説できるようにしましょう。また、社内プレゼン用の資料作成のサポートをしてあげるのも有効です。

2-4-4.自信を持って話す

デザインに限りませんが、自信がない人の口調はどこかあやふやで頼りなく、聞いてる側は良い印象を持たないものです。その結果、提示されているものの品質の印象は悪くなりがちです。まずは空元気でも構いません、作った人間として堂々と話し、振る舞うようにしましょう。

2-4-5.自分の緊張対策メソッドを見抜く

緊張は誰でもするもの。緊張を取り除くのではなく、まずは自分の緊張の特徴を把握し、その対策をとっておくようにしましょう。例えば声が震えるなら発声練習をする、汗をかきやすいのならハンカチを用意するなど。それだけで随分と心に余裕が生まれます。

3.事後編

3-1.振り返り

特に経験が浅いうちは、振り返り・ラップアップは欠かさず行いましょう。同行者に感想を聞くのも良いですし、録音しておいて後で振り返るのも有効です。

3-2.フォロー

3-2-1.データは当日中に送信する。

「鉄は熱いうちに打て」という言葉がありますが、提案当日中に資料一式はデータでお送りしておきましょう。記憶が鮮明なうちにデザインが手元にあると、見返してくれる可能性も高いです。

3-2-2.補足も送る

その際、当日の提案で話しきれなかったことがあれば、その補足も添えて送りましょう。

3-2-3.デザインデータだけ切り出して送る

資料のPDFやPowerPointだけでなく、デザイン画像データのみも切り出して送りましょう。ブラウザ上で実寸サイズを確認したりする上で便利です。

最後に

以上、より効果的なデザイン提案を実現させるためのポイントを、事前・最中・事後の3つの時系列に分けて説明してみました。

全ての工程にこの通り実行すると大変ですし、我々もプロジェクトにおいては省略する箇所もあります。まずは気軽に取り入れられそうな箇所から参考にしていただくことをおすすめします。

デザインを作った後は、そのデザインを提案する体験をデザインすることも、デザイナーの重要な役割の一つと言えるでしょう。

 

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