良い上司の条件・悪い上司の条件

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代表/マーケター/デザイナー/ブロガー枌谷力

「一緒に働くならどんな上司がいいですか?」と聞かれれば、具体的な要望の一つや二つはすぐ出てくるでしょう。しかし、「あなたはどんな上司になるつもりですか?」と聞かれたら、漠然としたイメージでしか答えられない人の方が多いのではないでしょうか。

これは、部下の立場から「上司にこうあってほしい」と願うことより、上司の立場として「自分はこうなろう」とイメージすることの方が遥かに難しいことを物語っています。

少ない例外を除けば、社会に出た人のほとんどがまずは誰かの部下になります。その会社に居続けて、やがて力が認められれば、誰かの上司になります。

上司も部下も、ほとんどの人が通る道です。だから、上司と部下にちなんだ書籍やブログ記事は数多く存在します。なぜなら誰もが自分事化しやすいテーマだからです。しかも未だに作られ続けています。なぜなら上司と部下の話には正解がないからです。正解がないから、話題が尽きません。そして正解がないから、誰もが悩みます。

そんな難しい上司と部下の問題に私たちなりの答えを出そうと試みたのが、2014年に作った「良い上司の条件」でした。これは、2012年に策定した行動指針に続く、「価値観言語化プロジェクト」の一環と言えるものです。

当時、私たちはまだ7人の会社でした。組織と言えるほどのカタチはありませんでしたが、組織の体を為す前に早めに作っておくべきだと考えました。

それから7年。社員数30人もいよいよ目前に迫った段階で、かつての「良い上司の条件」を振り返ってみると、ほとんどが今も通用する内容だと思いました。ただし、テレワークや働く意識の変化などに合わせて、細かいアップデートは必要だとも思いました。

こうして時代に合わせた調整をしたのが、この「最新版・良い上司の条件」です。

ベイジの社員が、ベイジではない会社に移っても通用するように、業界・職種・組織規模を問わずにいえる普遍的なことをまとめました。「悪い上司」と言い切っていいのかという思いもありますが、あえて言い切り、強いメッセージにすることを優先しました。

皆さんの会社でも共通して言えることが見つかるはずです。皆様の上司と部下の問題を解決する糸口になれば幸いです。

1:良い上司は、人を育てる。

  • 良い上司は、部下の市場価値を高めるのは自分の責務だと考える。
    悪い上司は、部下の成長は自己責任だと考えて他人事でいる。
  • 良い上司は、成長には時間が必要だと理解して根気よく接する。
    悪い上司は、優秀ならすぐ成長するはずだと思い込む。
  • 良い上司は、部下の自発的な思考や行動を促す。
    悪い上司は、部下に言われた通りやればいいと教える。
  • 良い上司は、部下に新しい挑戦をさせてサポートにまわる。
    悪い上司は、部下が失敗するのを恐れて新しい挑戦をさせない。
  • 良い上司は、部下が自分を越えることを望み、情報を惜しまない。
    悪い上司は、部下が自分を越えることを望まず、情報を隠す。
  • 良い上司は、10年以上先の未来に目を向けて、部下が長く活躍できるよう育てる。
    悪い上司は、部下の未来に無関心で義務的に育てる。

2:良い上司は、よく話す。

  • 良い上司は、自分から部下に話しかける。
    悪い上司は、用がない限り自分から部下に話しかけない。
  • 良い上司は、部下の人柄にも関心を持ち、丁寧に話を聴く。
    悪い上司は、部下の人柄に無関心で、話すかどうかを損得勘定で判断する。
  • 良い上司は、忙しくてもしっかり部下の話を聴く。
    悪い上司は、忙しいときに話しかけると迷惑そうにし、話しかけにくい空気を出す。
  • 良い上司は、議論を避けて論理的な説明と感情への配慮を重視する。
    悪い上司は、議論で部下を打ち負かそうとする。
  • 良い上司は、部下たちが万遍なく話せるよう話題を振って聴き役に回る。
    悪い上司は、自分ばかり話して場を支配しようとする。
  • 良い上司は、未来について頻繁に話し、部下に将来の夢と希望を抱かせる。
    悪い上司は、日々の仕事のことしか話さない。

3:良い上司は、上手に褒める。

  • 良い上司は、小さなことでも長所を見つけて部下を褒める。
    悪い上司は、部下を褒めない。
  • 良い上司は、どんな部下にも自分より優れた所があることを知っている。
    悪い上司は、褒めるところがない部下もいると思い込んでいる。
  • 良い上司は、部下の言動に心を動かされて心の底から褒める。
    悪い上司は、部下をうまく使ってやろうと口先だけで褒める。
  • 良い上司は、部下が学んだこと自体を褒める。
    悪い上司は、部下が学んでも自分の方が優れていることを誇示して褒めない。
  • 良い上司は、人前で部下を褒めたり、部下のいないところで褒めたりする。
    悪い上司は、部下への高い評価を他の人に伝えない。
  • 良い上司は、部下に伝わるように褒めて自信を持たせる。
    悪い上司は、褒めてるのかどうか分からない伝え方をする。

4:良い上司は、上手にフィードバックする。

  • 良い上司は、フィードバックに負の感情を乗せない。
    悪い上司は、フィードバックというより怒ってるように見える。
  • 良い上司は、人格を否定せずに事柄に対してのみフィードバックする。
    悪い上司は、「だからお前はダメなんだ」という言い方をする。
  • 良い上司は、時に厳しいフィードバックも辞さない。
    悪い上司は、厳しいフィードバックを避けて物分かりのいい上司でいようとする。
  • 良い上司は、フィードバックの後のフォローを忘れない。
    悪い上司は、フィードバックされた部下の心に関心を寄せない。
  • 良い上司は、相手に合わせたフィードバックをする。
    悪い上司は、誰に対しても同じフィードバックをする。
  • 良い上司は、部下が最大限学べるようにフィードバックをする。
    悪い上司は、自分の力を誇示するためにフィードバックする。

5:良い上司は、感情を大切にする。

  • 良い上司は、理屈ではない部下の感情に配慮する。
    悪い上司は、理屈や正論だけで部下を動かそうとする。
  • 良い上司は、部下の熱意に共感して理解を示す。
    悪い上司は、部下の熱意や意図を無視して結果しか見ない。
  • 良い上司は、経験豊富なだけではなく部下以上の熱意を持つ。
    悪い上司は、経験があるだけで熱意で部下に負ける。
  • 良い上司は、部下がやる気を出せるポジティブな話をする。
    悪い上司は、部下がやる気を失うネガティブな発言をする。
  • 良い上司は、部下の気持ちが理解できていると思わず注意を払う。
    悪い上司は、部下の気持ちが分かっていると思い込んで油断する。
  • 良い上司は、部下同士の相性を汲み取ろうとする。
    悪い上司は、部下同士の相性には無頓着である。

6:良い上司は、仕事を任せる。

  • 良い上司は、部下ができる仕事は任せ、自分だけができる仕事に集中する。
    悪い上司は、部下ができる仕事を自分でする。
  • 良い上司は、自分がしたい仕事も部下に任せる。
    悪い上司は、自分がしたくない仕事を部下に押し付ける。
  • 良い上司は、仕事を任せながらも最悪の事態が起こらないよう見守る。
    悪い上司は、部下に仕事を任せっぱなしで放置する。
  • 良い上司は、部下の特性を考慮して任せる範囲を決める。
    悪い上司は、深く考えずに部下に丸投げする。
  • 良い上司は、仕事の背景にある意義や価値を教える。
    悪い上司は、目の前の仕事をこなすのに必要最小限のことしか教えない。
  • 良い上司は、上手に権限委譲をして未来のための仕事をする。
    悪い上司は、十分な権限移譲をせず今の仕事に忙殺される。

7:良い上司は、逃げない。

  • 良い上司は、トラブルはすべて自分の責任と考えて最前線に立つ。
    悪い上司は、トラブルから逃げようとする。
  • 良い上司は、失敗を具体的な対策に落としてすぐ実行する。
    悪い上司は、失敗を精神論で終わらせて行動しない。
  • 良い上司は、諦めずに考え抜き、今できることや代替案を考え抜く。
    悪い上司は、「時間がない」「人がいない」「予算がない」「仕方ない」「難しい」と口走ってそれ以上考えない。
  • 良い上司は、安易に妥協せず高い目標を目指し続ける。
    悪い上司は、すぐ妥協して目標を下方修正する。
  • 良い上司は、大事なことは何度も繰り返し部下に話す。
    悪い上司は、一度や二度の説明で「伝わらない」と投げ出す。
  • 良い上司は、然るべき時には撤退も視野に入れる。
    悪い上司は、すぐに撤退を視野に入れる。

8:良い上司は、部下を導く。

  • 良い上司は、部下が見てると思って自分を律する。
    悪い上司は、部下は見てないと思って油断する。
  • 良い上司は、結果が出た時にまず部下の協力に感謝する。
    悪い上司は、結果が出た時に自分の力だと勘違いする。
  • 良い上司は、自分がミスをしたら部下に謝る。
    悪い上司は、自分がミスをしても部下に謝らず、時には隠す。
  • 良い上司は、部下に見返りを求めず、できることを惜しみなく行う。
    悪い上司は、部下に見返りを求めて、時に期待外れだと発言する。
  • 良い上司は、部下の仕事のために自分を合わせる。
    悪い上司は、自分の仕事のために部下を使う。
  • 良い上司は、顧客と部下で態度を変えない。
    悪い上司は、顧客には低姿勢だが部下には粗雑な対応をする。

9:良い上司は、上手に評価する。

  • 良い上司は、一定の価値観に基づく一貫性のある評価をする。
    悪い上司は、感情や状況に流されて一貫性のない評価をする。
  • 良い上司は、バイアスに自覚的で客観的でフェアな評価にこだわる。
    悪い上司は、過大評価や過小評価のバイアスに飲まれる。
  • 良い上司は、レッテルに惑わされず、その人自身を理解しようとする。
    悪い上司は、「若い」「ゆとり」「男女」「学歴」などのレッテルで決めつける。
  • 良い上司は、社外の人に部下の良い評価を話す。
    悪い上司は、社外の人に部下を貶めることをいう。
  • 良い上司は、目指すゴールを基準に部下の個性に合わせた評価をする。
    悪い上司は、自分や他者を基準に人と比べる評価を行う。
  • 良い上司は、部下の評価を通じて自らの成長を考える。
    悪い上司は、部下を評価するばかりで、自分の評価には無頓着で成長しない。

10:良い上司は、全体最適で考える。

  • 良い上司は、すべての部下のことを考えて総合的な判断を下す。
    悪い上司は、一人の部下のことしか考えず偏った決断を下す。
  • 良い上司は、頭を下げてでも人を動かして目標を達成する。
    悪い上司は、自分一人でなんとかすることに固執して目標未達で終わる。
  • 良い上司は、組織全体の時間を大事にする。
    悪い上司は、計画性なく組織全体の時間を消耗させる。
  • 良い上司は、仕組みによって組織全体を動かす。
    悪い上司は、部下個人のがんばりによって組織を動かそうとする。
  • 良い上司は、自分がいなくても回る組織を作る。
    悪い上司は、自分がいないと回らない組織のままでいる。
  • 良い上司は、組織全体の生産性に着目して仕事の仕方を変える。
    悪い上司は、組織全体の生産性に目を向けず、「今までそうだった」「時間がない」を理由に仕事の仕方を変えない。

さいごに

「良い上司の条件、悪い上司の条件」を読んだうえで一つ忘れてほしくないのは、これはあくまで「上司のための心がけである」ということです。部下が上司の欠点を断罪するツールではありません。

これらの条件がすべて満たされる上司は、残念ながら地球上に存在しないでしょう。作者である私自身が、耳が千切れそうな思いをしながらこれを書きました。というか、千切れました。心を鬼にし、自分自身を棚に上げて、あるべき上司像を言葉にしてみました。

自分自身に対しては、「もっとうまくやれないか」「理想はどうあるべきか」と考えて、安易に満足しない。一方で他者に対しては、寛容さと歩み寄りの心を持つ。この二つを併せ持った人同士が協力し合うから、仕事はうまく回ります。

これは、上司の優劣を評価する物差しではなく、上司の行動を理解する物差し、自分が将来上司になった時にやらなければならないことの基準、そしてなにより、自分自身が上司になった時に、自分を戒め、自分を顧みるためのツール、とお受け取りください。

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