未経験デザイナーの私が大切にしてきた7つのこと

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デザイナー池田 彩華

デザイナーになるには、実務経験が必要と思うかもしれません。でもベイジでは、未経験デザイナーを積極的に採用しています。未経験者を育てる仕組みも整えつつあります。そして私も、未経験でベイジに入社してデザイナーになった一人です。

入社から4年が過ぎ、すっかり先輩デザイナーになりました。同じように未経験で入社してきた後輩に仕事を教えたり、未経験でデザイナーになりたい方と採用面接でお話したりする機会も増えてきました。それと共に、これまでの4年間、未経験デザイナーとして私が何を大切にしてきたか、ということをよく振り返るようになりました。

この記事は、未経験デザイナーとしての私の振り返りを、7つのことにまとめてみたものです。あくまで一個人の考え方という前提で、ご覧いただけると嬉しいです。

1. 自ら手を挙げる

未経験で入社するわけですから、当然最初はほとんど何もできません。しかし、仕事は与えられるものではなく、自分で創るものです。だから少しでも機会があれば、「そのお仕事やってみたいです!」と自分から手を挙げることを大切にしてきました。

未経験のデザイナーが、最初から大きな仕事を任せてもらうことはありません。だから、少しでも早く大きな仕事を任せてもらうにはどうすればいいか、といつも考えていました。その一つが、小さな社内業務でも「私やりますよ!」と自分から言うことでした。

今の自分にできなさそうに思えても、自分からやると言って、自分に発破をかければ、なんとかやり遂げようとします。そうして経験を積んでいくと、自然とできる領域が広がります。できる領域が広がると今度は、「この仕事お願いできますか?」と新しい仕事を依頼されるようになります。その仕事ができたら、また新しい種類の仕事がやってきます。この循環を繰り返して、どんどん大きな仕事がこなせるようになるのだと思います。

2. 自分の考えを持つ

例え未経験でも、毎日仕事の中で決断をしているはずです。例えばボタンの色を決める時、未経験なりにどの色がベストかを考えて色を決めますよね。それも一つの決断です。

最初は、自分の意見が正しいのか不安だったり、どの答えが正解かと迷うことが多々ありました。でも、未経験だからと言って、「どうすればいいですか?」と安易に誰かに正解を求めるべきではないと思っています。間違ってもいいので、「私はこう考えましたが、どう思いますか?」と自分で答えを考えてから聞くことを大切にしてきました。

そう思うようになったきっかけは、入社直前に代表の枌谷がFacebookに投稿していたこの投稿です。そこには、「どうしましょう?」と相手の顔色を伺わない。「こうしましょう」「こうしたほうがいい」と言う、と書かれていました。

この投稿に感銘を受けて、まず社内の仕事からでもこのことを習慣付けようと考えた記憶があります。

大事なのは、正解を知ることではなく、自分で答えを出すこと。自分の考えを伝えて、先輩も自分と同じ考えなら、自分の考え方が正しかったと気付けます。もし違っていたら、先輩の意見を参考に軌道修正したり、知識をアップデートすればいいわけです。

「どうすればいいですか?」といつも答えを相手に委ねていると、いつまでたっても自分で考えるクセがつきません。キャリアを重ねていくと、1人で決断することも増えていきます。仕事では、遅かれ早かれ、自分で考えて、自分で答えを出して、成果を出すことが求められるようになります。だからこそ、例え未経験であっても、日々の業務から自分なりに考える「思考の訓練」を習慣化させることを、意識してきました。

3. 保険をかけすぎない

仕事を進める時、スケジュールを立てますよね。そのときに、予定が変わったことを想定し、保険をかけてバッファを入れることがあります。もちろんこの考えは大事です。

でも、経験者がかける保険と、経験が浅い人がかける保険とでは、意味合いが変わる傾向があると教えてもらったことがあります。

経験者になると、失敗確率を下げるための、適切な保険をかけることができるようになります。しかし、経験が浅い人の場合、本人にその意図がなくとも、結果的に、安全地帯で仕事をするための保身の保険になることが多いのです。この安全地帯にいるための保険が、成長スピードを鈍らせます。

例えば、5日かかりそうに思える仕事を4日で設定してみます。少し短めに設定することで、それに間に合うような段取りや時間配分を考えますよね。自分で短めに設定して宣言してしまうと、「絶対にやり遂げないと」という気持ちが強くなり、結果的になんとかしてしまうことも多いように思います。

無理なスケジュールを組んで質を落としてしまうのは本末転倒なのですが、最初から無理と決め付けず、少し背伸びしたストレッチゴールを設定する。安全地帯から一歩踏み出して絶対にやり遂げる気持ちを持って仕事に臨む。そうすることで、より早く成長できるのだと思います。

4. 役割に囚われすぎない

ベイジの仕事は、基本分業です。1つのプロジェクトにつき、マーケター、ディレクター、デザイナー、エンジニアがアサインされ、皆で協力しながら進めてきます。誰がどのタスクを担当するかは、ワークフローで細かく決まってはいます。それでも仕事をしていると、「これ誰がやるんだっけ?」という領域がでてきます。

そんな時、誰かの指示があるまで待つのではなく、自分なりに判断することを大切にしてきました。

まず、何がゴールで、何が問題で、どうすればいいかを考える。次に、それは誰がすべきなのか考える。自分ではない人がやった方がよさそうなら、その人に相談する。他に適任者がいないのなら、周囲と相談しながら、自分が主導的に進める。

職種は違っても、「良いウェブサイトを作る」というゴールは同じなはずです。だから、「これはデザイナーの仕事ではない」「これはエンジニアの仕事だ」と、線を引きすぎないようにしてきました。

役割分担に拘り過ぎると、仕事が前に進まず、時にはトラブルが大きくなって、チームの雰囲気が悪くなりかねません。決められた役割の仕事だけすればいいという姿勢ではなく、今の自分に何ができるか考え、行動する。そうやってると、結果的に自分の成長に繋がっていくのだと思います。

5. 経験がないことを言い訳にしない

入社すると、たとえ実務未経験でも、肩書は「デザイナー」になります。肩書きがつくということは、クライアントからすれば、キャリア10年目のデザイナーも、1年目のデザイナーも、同じデザイナーとして見られるということです。

社内では、先輩デザイナーが優しくフォローしてくれます。でも、クライアントに対しては、プロとして仕事をすべきなので、「1年目だからできません」「新人なのでわかりません」と、経験年数を言い訳にしてはならないと思います。

以前、車の試乗をした時、こちらの質問に対し「転職して間もないので、ちょっとわからないんですね」と営業の方に言われたことがあります。それまでの説明は一切不安なく聞いていたのに、その発言以降、「この人に相談して大丈夫なのかな?他の店舗に行った方がいいかな」と感じてしまいました。

私の場合、1年目のときは、「5年くらいキャリアあります、私にお任せください!」くらいのマインドでいました。そうやって自分におまじないをかけることで、自然と自信があるような素振りで話すことができました。

また、SNSはクライアントに見られているかもしれないので、自分が経験不足であるかのようなことを書かないようにしていました。クライアントに「このデザイナーさんで大丈夫なのかな?」と思われてしまう可能性があるからです。このように、特に社外に対しては、決して未経験者のように振舞わないことが、私は大切だと思います。

6. 初心者こそ、手を動かす

初めてウェブサイトのベースデザインを担当した時、思うように作ることができず、仕上げるまでに想定以上の時間がかかってしまいました。そのときに先輩から「手を動かしている量が圧倒的に少ないから仕方ないね」と言われました。

例えば、教則本を読んでいるだけ、野球の中継を見ているだけでは、バッティングはうまくなりませんよね。バットを振って、ボールを打つ訓練をして、初めてヒットが打てるようになります。

デザインも同じです。書籍を読んだり、展示会に行ったり、著名なデザイナーの話を聞いたりしているだけでは、デザインはうまくなりません。デザインのギャラリーサイトを見て分析していると、デザイン力がアップしたような気にもなりますが、見ているだけでは理解の解像度が低く、血肉化したスキルにはなりません。

ベイジでは、仕事をしているだけでも、2〜4年もすればベースデザインはある程度作れるようになると言われています。でももっと早く、1年目でできるようになりたいなら、プライベートで手を動かすことが必要になります。なぜなら未経験者は、手を動かした量でしか上手にならないからです。

例えば、最低2週に1つはウェブサイトの模写をする。また3回に1回くらいは、模写ではなく、自分で考えてデザインを作ってみる。こうした経験があれば、発想の引き出しが増えて、手を動かしてデザインできるようになります。

少しでも早くデザインができるようになりたいなら、デザインを見て評論しているだけでなく、しっかりと手を動かすこと。これは今でも大切にしている考え方です。

7. 仕事と私生活を分けすぎない

未経験で入社したら、あなたにデザインを教えてくれる先輩デザイナーがきっと付いてくれるはずです。でも、その先輩と同じ時間働き、同じ量の経験を毎日しているだけでは、いつまでたっても先輩との距離は縮まりません。

今のご時世、「徹夜してでも仕事を終わらせろ」と会社から言われることはありません。ベイジでも、長時間労働をしないように厳しく管理されています。そんな風に働く時間が限られた中で、どうすれば先輩を超えることができるのか。

私は、仕事以外の時間で経験を積んで差を詰めるしかないと思いました。当時は、10時~19時が定時だったので、誰よりも早く出社して、始業前の2時間を確保して自習。仕事が終わった後も約3時間を確保して自習。そうやって毎日約5時間ほど、仕事以外のインプットとアウトプットを自主的にしていました。

才能があれば、同じ時間でも人を超えることはできるかもしれません。でもそれだと、才能勝負になってしまいます。才能に頼らないのなら、時間をかけるしかありません。未経験デザイナーだからこそ、デザインに全力に取り組むことを第一とし、日々の時間の使い方を考えたいものです。

さいごに

ここで紹介したのは、あくまでも私の経験とそれにもとづく考え方に過ぎません。未経験のデザイナーさんや後輩たちに「絶対にこうすべき」と強く言うつもりはまったくありません。

ベイジに入社してから、いつも私のことを気にかけて、先輩たちがアドバイスをしてくれました。そのおかげで今の私があります。そしてせっかくなので、先輩に教えてもらい、自分の糧になったことを、これからデザイナーの道を進む方にもお伝えできればと思って記事にしてみました。

この記事が、この春からデザイナーとして働き始める方や、未経験でデザイナーを目指している方の役に立ったり、心の支えになったりすれば幸いです。

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