コロナショックによって、人々に大きな不安が押し寄せています。
働く人たちの多くが、「収入に影響が出るのではないか?」「雇用は守られるのか?」といった不安に襲われていることでしょう。
こういった不安の軽減には、国や自治体だけでなく、経営者も重要な役割を担っています。特に経営者の話す内容は、社員の心理状態に大きな影響を与えるはずです。
しかしながら百戦錬磨の経営者といえども、この未曽有の事態において的確な判断ができるとは限りません。事業の先行きに不安を感じるのは経営者も同じです。そのことに気を取られ、社員とのコミュニケーションが希薄になることも十分に起こりえます。
そこで今回、コロナショックが進行する現状において、社員が経営者に求めていることとそのギャップを調査するアンケートを実施しました。
アンケートは私のTwitterとFacebookを利用して実施しています。そのため、社会全体の意見を必ずしも反映はしていません。また完全に匿名なので、どういう属性の方が回答しているか、詳細は分かりません。
「経営者」の定義もせず、回答者の判断に委ねています。会社の規模、業種業態によって、経営者の関わり方は様々なはずで、その前提でご覧いただく必要があります。
このアンケートは、経営者に対する社員の不満を煽るものではありません。経営者が冷静さを取り戻し、社員とのより良い関係が作られることを期待して実施されたものです。
経営者も普通の人間です。この難局において、経営者と社員が力を合わせて乗り切るキッカケ作りができれば嬉しい限りです。
※ アンケートは2020年4月8日に実施し、275名の方にお答えいただきました。
経営者から社員への情報発信量について、以下のような結果となりました。
「かなり多い」「やや多い」が計28%あることに対して、「少ない」「ほとんどない」が計48%と約半数に上っています。
全体的には、コロナショックが起こっている現状に対して、経営者からの情報発信が少ないと感じている社員が半数に上り、多いと感じている社員を上回っている、と捉えることができるでしょう。
では、社員はどのような情報を求めているのでしょうか。社員が経営者に求めている情報を集計したのが、以下のグラフです。
それに対して、実際にこれまで経営者から提供された情報を集計したものがこちらです。
個別に項目を見ていくと、「テレワークなどの働き方の方針」については、社員が期待している数字と、実際に行われている数字がほぼ一致しています。この点において、社員と経営者の認識に大きなズレがないと感じます。
ただ、それ以外はほぼ例外なくギャップがあります。経営者としては働き方に関する情報を発信していれば十分と考えているのに対して、社員はそれ以上の情報を求めている、という傾向を表しているようにも思います。
中でも一番ギャップが大きいのが、給与への影響です。社員は給与への言及を求め、一方で経営者はあまり話したがらない、という傾向が見て取れます。他にも、業績、今後の見通し、具体的な対策について、社員の情報ニーズが高いにも関わらず、経営者はあまり話をしていない傾向が見受けられます。
実際、現段階で業績や給与についての見通しを明言するのは、なかなか難しいでしょう。影響がない会社ならともかく、具体的に影響が見え始めている会社であればなおさら、この繊細なテーマについて、どのタイミングでどのように話すべきか、悩むのではないかと思います。
ただ、経営者がそれらのことについて一切触れない、何を考えているのかまったく分からないという状況だと、不安はさらに加速します。
例えば、イギリスのジョンソン首相が各家庭に送った手紙の中には、「政府は国民の経済を助けるためになんでもする」といった趣旨のことが書かれていました。リーダーからのこのような言葉があるだけでも、安心感に違いは生まれるでしょう。
社員の最大の関心事について、例え具体的な対策がまだ出せないとしても、何を考え、どうするつもりかを率直に話すだけでも、不安の軽減に繋がるのではないでしょうか。
次に、情報共有の頻度について、社員が求める頻度と実際の頻度と比べてみましょう。
これを見ると約半数を超える人が、状況が変わったらすぐに共有してほしいと考え、定期の場合でも、週に一回は共有してほしいと考えています。
しかし実態として、6割以上はその条件を満たしているが、4割近くは頻度が少ない、という結果になっています。またこの状況においても、15%以上が「まったくない」と回答しています。
経営者と現場の社員の関わり方は、その会社によって様々で、すべての会社で同じように対応するのがいいというわけでもないでしょうが、状況が変わったらすぐ情報共有する、最低でも週に一回は共有する、は基本方針としておいた方がいいでしょう。
事業に深刻な影響が出ている企業も少なくないと思いますが、そのような状況に陥ったとき、経営者にどのように振舞ってほしいかを集計したのが、以下の円グラフです。
「いつも通りの平静を装ってほしい」が多くの票を集めるのは想定していましたが、予想以上に多いのが「悩みや不安を打ち明けて相談してほしい」でした。この2つで約9割を占めています。自由記入された回答も、この2つに集約されるものが多いです。
日頃からの経営者と社員の関係性にもよるとは思いますが、案外、経営者に素直に感情を吐露し、相談してもらった方がいい、と考えている社員も少なくないと捉えることができます。
今の状況に対して、経営者は一人で抱え込まず、社員にも相談しながら、一丸となって立ち向かっていってもいいのではないでしょうか。今の状況は、もしかしたら会社の団結力を高める機会であるのかもしれません。
また、経営者に求めている姿勢については、以下のような集計となりました。
圧倒的に多いのが、「情報を包み隠さず開示する透明性や誠実さ」と「変わりゆく状況に対応するスピード感」です。前者は、業績や給与などの開示を求める結果から、後者は社員が求める情報提供の頻度からも伺える傾向です。
その他、「現在の状況を冷静に分析する視点」や「固定観念にとらわれない柔軟さ」を強く求める傾向も見受けられます。
経営者といえば何よりもリーダーシップと思いがちです。実際リーダーシップは求められていますが、それ以上に透明性とスピード感、そして冷静さや柔軟性を求められているというのは、意識しておいた方がいいでしょう。
まとめると、コロナショックの状況下における、経営者から社員へのコミュニケーションとしては、以下の4つを基本方針が見えてきます。
もちろん、社員の望み通りにすれば経営がうまく行く、というものでもないでしょう。しかし、社員が求めていることの傾向を知るのと、知らないのとでは、判断は大きく変わります。上記の4つのポイントを前提としたうえで、では自社はどうすべきか、と考えるのが、今経営者がやるべきことではないかと思います。
いつ終わるか見えていないコロナショックでは、社員以上に経営者もストレスを感じています。事業の行く末は当然気になるでしょうが、しかい一方、こんな時だからこそ、足元を見失わないようにしたいものです。今は「この経営者に自分の人生を預けても大丈夫か?」と社員に試されている期間と捉えることもできます。
また社員も、この未曽有の事態に経営者にすべてを委ねるべきではありません。チームの一員として経営者や上司を積極的にサポートし、この難局を乗り越えようとすれば、それは代えがたい経験になるのではないかと思います。
身近な人と協力しながら、未曽有の困難を皆で乗り切っていきましょう。
私たちは「人生100年時代を生き抜く強い人材を育てる」を人材育成のテーマとしているweb制作会社です。
普遍的なスキルが獲得できる環境を作るためにマーケティングに力を入れ、情報発信を積極的に行い、ワークフロー化を推し進めています。
現在は、マーケター、デザイナー、ディレクター、エンジニア、ライターといったすべての職種を募集しています。ご興味がある方は、以下の採用サイトをご覧ください。