2020年はコロナウイルスの流行をきっかけに、これまでの働き方を見つめなおす企業も多かったのではないでしょうか。かくいうベイジも本格的なテレワークを導入しましたが、慣れるまでは懸念事項を多く抱えていました。そのうちの一つが、「雑談がなくなる」ということです。
テレワークの特長として、コミュニケーションの合理化があります。一人ひとりが離れた場所で働くことで偶然のコミュニケーションが生まれにくくなり、業務連絡といった目的と意図が明確な会話だけが残るようになります。オフィスに出社していた時のような、気軽な雑談が一掃されてしまうのは容易に想像できました。
雑談は、労働生産性の向上に直接影響を与えるものではないかもしれません。しかし、雑談がなくなると人間同士の精神的な繋がりは希薄になります。それによって誤解が増え、仕事が困難な局面に陥った時の心理的クッションが失われてしまう、といったリスクが生まれかねません。
また、ベイジはコロナ禍であっても積極的に採用活動を続けており、4月以降になって6名の社員が入社しました。勝手知ったる仲間ばかりではなく、顔も知らない新しい社員が増え続ける状況で、お互いの人となりを知る術がないというのは、組織作りの弊害となることも考えられます。
そこでベイジでは、単に業務をテレワーク化するだけでなく、日々のコミュニケーションにいくつか新しい取り組みを加えました。ここではそれをご紹介します。
まず、「気軽に話しかけられない」という課題をクリアするために始めたのが、バーチャルオフィスです。
ベイジでは音声チャットツールのDiscordでバーチャルオフィスを構築し、常時気軽に話しかけられるように環境を整えました。疑似的に空間を共有する感覚を作ることで、全員でオフィスに集まって働いていた頃の空気を再現しようという試みです。
また、バーチャルオフィスの部屋は「オフィス」のほかにも「集中部屋」「打ち合わせ中」など、使用目的や状態が分かるようにラベリングされています。このどこかに必ず入室してもらうことで、相手のステータスが一目で分かるようになり、話しかけるタイミングも掴みやすくなりました。
そして新しく始めたもう一つの試みが、朝礼と小話です。
バーチャルオフィスのおかげで気軽に話しかけられる環境ができたとはいえ、業務時間中にわざわざ仕事と関係ない話を持ちかけるのは、やはりハードルが高いもの。当初の懸念通り、業務連絡以外のコミュニケーションは、取りにくくなってしまいました。
そこで毎朝10時に、バーチャルオフィス上でその日の業務連絡を行い、その後5~10分程度の持ち時間で、全社員に対して自分が好きな小話をする、ということを新たに始めました。
この小話というのが、雑談に変わってそれぞれの人となりを知るための活動になっています。小話に決まったテーマはありません。趣味の話でも、最近の出来事でも、できれば仕事以外のことを、それぞれ自由に話し、興味を持った人がそれに質問をしたりして盛り上がる、という流れになっています。
実際にはどんなことが話されているのか?ということで、朝礼の小話で過去に出たトピックスの主だったものを、テーマに分けて一覧でまとめてみました。
ちなみに、一般的には人気が高いスポーツがテーマの小話が今のところほとんど出てなくて、ベイジはインドア派の人が多いんだな、ということを実感します。
小話はどれも、仕事では決して現れないみんなの個性が伺えてとても興味深いのですが、社内アンケートで選ばれた特に人気だった3つの小話を、もう少し詳しく紹介します。
おうちでの快適な過ごし方や自炊についてなど、小話でも2020年ならではのトピックスが盛り上がりを見せていました。悩む人も多かったであろう「給付金をどう使うか?」という問いに、ある社員が出した答えは「納豆の食べ比べ」。スーパーから十数種類の納豆を購入して実食、そのおいしさを淡々と伝えてくれました。
自宅マンションに不審者が出たという社員による、ある日の小話。屋上に上がってみると、そこにはフェンスに突き刺さる大量の……。ゾっとする話として異常にレベルが高かったため、多くの社員の記憶に残る小話となりました。最近、カラスが騒がしい朝はありませんでしたか?
この回で紹介されたのは女優の仲里依紗さんが運営されているチャンネルです。メイク動画かと思いきや、「ニュアンスメイクとかじゃなくてガチのキティちゃんになりたい」と顔にドーランを塗りたくる仲里依紗さん。順調にキティちゃんへとメタモルフォーゼしていくお姿を、ベイジ社員一同で見守りました。
このように、半ば強制的に始まった小話ですが、皆が好意的に受け取ってるかどうかは分かりません。そこで社内アンケートを実施しました。
まず一番気になる、「自分の趣味や趣向をメンバーに話すこと」をどう思ってるかについては、「すごく良い」と「良い」を合わせて93%と、非常に好意的に受け取っていることが分かりました。
また、「他のメンバーの趣味や趣向を聴くこと」についても、「すごく良い」と「良い」を合わせて86%と、こちらもとても好意的な結果になりました。
ただ、聴くことより、話すことの方がポイントが高かったので、実はベイジの社員はおしゃべり好きなのかもしれません。
また、「小話が始まってから印象が変わった人はいますか?」という設問に対しては、全体の60%が「いる」と回答していました。
小話は、テレワーク以前のイメージが変わるほど、その人の個性を浮き彫りにする取り組みであることがよく分かります。
コロナ禍においては親睦会やランチといった気軽なコミュニケーションの機会が制限され、役職やポジションではなく、その人自身について知ることが以前にも増して難しくなっています。
一方で、気になる点としては主に「ネタ切れ」と「準備に時間がかかる」などが挙げられていました。小話をするための特別な準備はしなくてもいい、というルールを一応設定しているのですが、ベイジの社員は几帳面な方が多く、つい入念にネタを仕込んでしまうようです。そのため現在は実施頻度を下げ、月・水・金の3日間でのみ行っています。
また、「小話のネタを決めるときに気を付けていることを教えてください」という設問には、「短くまとまっているか」「みんなが興味を持てそうな話題か」「人を不快にしないか」の大きく3つがありました。こちらも「自分の話でも独りよがりではなく他者に配慮する」というベイジの社風が伺えます。
リモートワーク移行後、ベイジには私含む6名の社員が入社しましたが、こういった取り組みもあって既存社員との関係づくりやコミュニケーションもスムーズに進めることができました。各社員の努力があったことはもちろんですが、雑談を通して相手の人となりを知れる小話が、コミュニケーションのハードルを下げる役割を果たしていたのではないかと思います。
仕事中の雑談は明確なメリットを持たないため、時にマイナスに捉えらてしまいます。でも、仕事では伝わりにくい人間性が垣間見えたり、テレワークで生まれやすい孤独感を緩和してくれたりなど、健全なメンタルを維持するためにはどうしても雑談が必要なのではないかと感じています。
ベイジは新しい取り組みに対する改善のスピード感が早いため、今後の社員からの意見によって制度に変更が加わる可能性もあります。実践と改善を繰り返しながら、効率や生産性だけでは測れない、全員が働きやすい無理のないテレワークを続けていく予定です。
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