退職者インタビュー ベイジを辞めてもアドバイザーとして関わり続ける理由

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古閑絢子のプロフィール画像
ライター古閑絢子

執行役員として主にウェブアプリのデザイン支援事業を引っ張ってきた古長が、8月をもってベイジを退職します。

ベイジは2014年頃から業務システムを中心としたウェブアプリのUI/UXデザイン分野の攻略に取り組んでいます。古長は事業を加速させるために初めて事業の専任担当として入社したメンバーで、UXデザイナー兼事業責任者としてこの3年間で大小含めおよそ20件にものぼるプロジェクトに携わってきました。

自称・人見知り会社のベイジの中でも珍しい社交的性格だった古長は、組織づくりや啓蒙、社内のカジュアルなコミュニケーションまで絶妙な温度感でこなすパワフルな存在でしたが、社員としての活動はここで一区切りとなります。

とはいえ古長とベイジは完全に関係性が途切れるのではなく、今後はUX分野の外部顧問としてウェブアプリの事業に引き続き関わっていくことになりました。今回の記事はいわゆる退職エントリーですが、新しい関係性での再出発でもあるため、経緯の振り返りと整理を兼ねて枌谷×古長の対談を設定。どちらか一方の主張によるものではなく、「退職する側」と「退職される側」の両方の視点から正直に語ってもらいます。

対談の中心になったのは、会社と社員の関係、責務とキャリア、組織に対する考え方など、社会人としては誰しもが迷うテーマ。「会社と社員」以外の選択肢が見えている2人の会話には、私たちがキャリアを描くために必要な考え方が多く隠されていました。

枌谷 力
大手SIer、制作会社×2、フリーランスを経たのちウェブ制作会社ベイジを起業。BtoBマーケティング、戦略コンサル、UXデザイン、アクセス解析を得意分野とするデザイナー兼経営者。 2021年よりクラスメソッド株式会社のCDOに就任。

古長 克彦
2019年11月入社。デザインコンサルタント。企業内のSaaS/業務システムを中心としたUX/UIデザインのコンサルティングからサービスデザインのファシリテーションまで。HCD-Net認定人間中心設計専門家。「古長ルイス」という名前でプロのジャズシンガーとしても活動。

はじめに なぜオウンドメディアに退職エントリーを載せるのか

在籍していた会社への想いや新しい環境に飛び込む意気込みを、時にエモーショナルに、時に見えざる怨恨たっぷりに綴る投稿、通称退職エントリー。今や転職する際のお決まりになりました。しかし掲載場所は個人名義のブログやnote、SNSなどが一般的で、企業のオウンドメディアに記事としてあがるのはあくまでレアケースです。なぜベイジでは今回、会社としてこのようなコンテンツを世に出すことにしたのでしょうか。枌谷が冒頭でまずそれを話してくれました。

――退職エントリーを自社のオウンドメディアで公開するのは珍しいことだと思いますが、どういった経緯で決まったんですか?

枌谷:元々のキッカケは、古長さんと飲んでいた時に「退職エントリーを書いていいですか?」と相談されたことです。古長さんとしては、ベイジと円満に辞めたことをきちんと外に向かって発信したい、ということでした。

そこから2人で世の中の退職エントリーというものについて語るうちに「どうせ世に出すなら今までの典型的なパターンを外した方が面白いよね」となり、最終的に会社のオウンドメディアに載せるというアイデアになりました。要するに、飲みながら決まったことですね(笑)

――そうだったんですね、自社のオウンドメディアで公開することに懸念はなかったんですか?

枌谷:もちろんありますよ。一番の懸念は、奇をてらってお寒い感じに見えることでしょうか。後ろめたいことを隠そうと無理しているように見られるかもしれませんし、社員に「枌谷さんは退職を歓迎する人なんだ」という誤解を与えてしまうかもしれません。

でも逆に言えば、懸念といってもその程度です。社外の人にどう思われるかは自分が気にするかどうかだろうし、誤解させてしまった社員には「そうじゃない」って丁寧に話せばいいだけですしね。

――なるほど。失礼に聞こえるかもしれませんが、そういった懸念を踏まえてもやる理由ってあるんでしょうか。

枌谷:ベイジは「戦略的にオウンドメディアを運営している」みたいに言われることが多いです。そういう評価をいただけるのはうれしいですが、実際には戦略的というより、コンテンツを使って世の中がどういう反応を示すか実験をしている側面も強いんです。この記事もまた、「コンテンツとマーケティングの実験」です。

もしかしたら後から「なんであんな記事を公開してしまったんだろう…」と後悔するかもしれません。私や古長さん、ベイジに対してネガティブな意見も出るかもしれませんね。でもそれもすべて、やってみなければ分からない、学べないことです。そして学んだ結果、組織づくりに関する新しい発想が生まれる可能性もあります。

枌谷:辞める古長さんと辞められる私で対談したら、いわゆる退職エントリーでは曖昧にして触れないようなヒリヒリした話を書くことだってできるし、ベイジは退職者をどう捉えているのか言語化できる貴重な機会になるかもしれません。古長さんと話してるうちにいろいろ想像が膨らんできて、リスクよりも面白さが上回って感じられました。理由はそれ以上でも、それ以下でもないですね。

退職について今だから言えること 

前提として、ベイジは社員が頻繁に入れ替わる体質の会社ではありません。退職する社員は創業以来毎年1人~2人で、社員数が増えてからも「組織の壁」と呼ばれるような大量退職を経験したことはありませんでした。

そんなベイジでは社員から退職意思を伝えられた際、ベイジで働きたいが現在の働き方だと自己実現できないから辞めたいのか、あるいはそもそもベイジではない環境で働きたいと思っているのか、コミュニケーションをとりながら確認していきます。

前者の場合は、ベイジで働くこと自体が嫌なわけではないので、どうすればその人が働き続けられるのかを話し合っていきます。一方で後者の場合は、そもそもベイジではない世界を見たいという欲求が強い状態なので、無理な説得はせず退職者の意思を尊重する傾向にあります。古長の場合はどちらだったのでしょうか。

――続いて、「どうして辞めるのか」についてお二人から話してもらうことはできますか?

枌谷:退職までに色々と話を聞いた私の解釈では、古長さんが得意な役割に集中させてあげられなかったのが大きな要因かな、と思っています。古長さんはもともとUXデザインのコンサルタントというポジションで入社しましたが、同時にウェブアプリのUX/UIデザインを専門とする事業部の責任者として、売上/利益も含めた事業そのものを任せていました。

でも事業作り、つまりマーケティングをしたり、人を採用したり、人を教育したりしながら利益を上げられる組織を作るというのは、これはもう商売であり、起業であるんですよね。いわゆるUXデザインで定義されている範疇をかなり越えたことが求められます。そのことと、UXデザイナーとしてもっと専門性を高めたい自身の望みやキャリアプランとに、徐々にギャップを感じていったのだと思っています。

古長:そうですね、組織デザインと、実務としてのUXデザインの掛け合わせが私の中でうまくいってないような感覚はあったと思います。

古長:組織づくりの楽しさはもちろん感じていました。でも、私は楽しさと成果を切り離して考える節があって。実務をこなし売上を立てつつ、他のメンバーのスキルもあわせて底上げされ、最終的にそれがさらなる事業成長に繋がり、「業務システムはベイジにお願いしよう」という市場認知が取れる。そうした組織としての成果に至れるのか不安なままプロセスを楽しめなかったというか、本来自分がやりたかった実務部分とのバランスが取りづらくなっていったのかなと思います。

枌谷:組織デザインが、UIなどの目に見えるもののデザインと大きく違うのは、コントロール不可能な領域が多い点ですよね。組織デザインは成果が見えるようになるまで時間がかかるし、ある程度の完成度に至るまでは5~10年という長期目線で考えないといけない。その途中では成長する山もあれば停滞したり後退したりする谷もあると、私も理解しています。だから3年弱で退職意思を固めたのは早いな、というのが最初の印象でした。

古長:少し生々しい話をすると、事業は時間をかけても成果と結びつくかわからない性質のものじゃないですか。家族も趣味も大切にしたい僕の人生から、それだけの時間と労力を費やして自分の市場価値を高めることが、生活スタイルに本当に合っているのか、って考えたりしたんですね。

結果、できるならベイジにいたいけど、今の仕事のやり方だと自己実現できない、という判断になりました。

枌谷:古長さんの立場も分かります。とはいえ、実際には残酷な人事評価はしないと以前から伝えてもいたので、私からするとそうした悩みも含めて相談してほしかったという気持ちもあります。労働条件や事業の中での役割とかは、いくらでも変えられました。

古長:これは自分自身の考え方かもしれませんが、当初求められていたものに対して自分が納得できる成果を感じられない場合、「別の働き方をさせてくれ」って言うのは明らかにわがままでしかない感覚があるんです。

「希望を全面的に受け入れます」と言ってもらえて、「成果を出せる範囲でやりたい」という自分の要求だけを通し、今の仕事につき続ける。私の価値観では、それは受け入れられないことでした。

デザイナーはポートフォリオがなくても、実力を証明できる

結果的に、会社が求めることと個人がやりたいことの乖離が生まれ、解消できない状態になっていたベイジと古長。この段階で選択される退職とは通常、完全に会社との関わりを断つことを意味します。しかし今回は古長からの提案により、アドバイザーとして組織との距離を調整する形で関係性を更新することになりました。

ベイジではデザイナーチームやエンジニアチームで外部の有識者をアドバイザーとして迎えた実績があり、環境や制度の面での整備も進んでいました。それでも、社員から外部のアドバイザーになるのは古長がはじめてのケースです。辞めた人が会社に関わり続けることは人間関係やポジション、気持ちの面で難しさを抱える印象もあります。そういったハードルを乗り越え新しい関係性に移行できた理由の1つとして、古長が社内で築いてきた信頼関係が挙げられます。

古長:実は、「アドバイザーとして残れないかな?」というアイデアは、現場から上がってきた要望が発端です。ただ、中途半端な形で残り続ける私という存在が現場のスキルアップを阻むとよくないな、と悩んでもいました。

古長:前向きなイメージを持てたのは、デザイナーの田渕さんやエンジニアの窪中さんといった、アドバイザーの前例があったからですね。私に仕事を依存するのではなく、壁打ち相手として使ってもらって、実際のプロジェクトは自分の頭で考える、みたいな距離感で関わっていければいいんじゃないかと思えてきて。

――枌谷さんは、アドバイザーの提案を受けたときどう思いましたか? ご自身は「辞めた会社とは仕事しない派」ですよね。

枌谷:そうですね。私もこれまでに会社を3回辞めていますが、いずれも直前にいた会社とすぐに仕事をした経験はありませんでした。なので漠然と「どうせ辞めるなら、会社との関係は断ち切って別の世界を観た方がいいのでは」という考えを持っていました。

枌谷:それを翻す理由はいくつかあるのですが、退職が決まってからの古長さんの動き方が素晴らしかったんです。一切手を抜かずに、フルパワーで情報発信や社内の育成をしてる。最終出社日まで、メンバーとのコミュニケーションも変わりませんでした。そういう姿を見ていたので、いいアイデアかも、って自然に思えたんですよね。

古長:育成活動に注力できたのは退職が決まったことも大きかったです。組織作りにおいて勉強会って、現場に浸透した結果売上に繋がるという長期的目線の施策じゃないですか。私はアプリの事業を任された以上、「ベイジはコスパが悪いなんて絶対に言わせないぞ」と思っていたので、何を自分の成果として動くべきかをシビアに判断していました。

逆にいうと、アドバイザーになることで今度は事業と距離がとれるので、現場でのニーズもあればより育成に関わる分野を自分の成果として捉えられるようになれると思いました。

枌谷:そういうバランス感覚というか、デザインの世界だけじゃなくビジネスパーソンとして考えて話せるのが、古長さんの良さですよね。

――以前古長さんのnoteを見たとき、自分のキャリアを「ポートフォリオのないデザイナー」という言葉で説明していたのが印象的でした。それが何を指しているのか、いま分かった気がします。

古長:嬉しいです。ゴールに至るまでのプロセスというのはまさに、ポートフォリオに残らない、ビジネスパーソンとしての動き方のことなので。

枌谷:それだけデザイナーはほかの職種と同じ扱いになりはじめているし、ポートフォリオがなくても実力を証明しなきゃいけない世界がきているのかもしれませんね。

「あの人がいない」が現場と組織を強くする

古長と枌谷の間で合意されたこととはいえ、現場の視点に立つと、事業の要だったメンバーの退職は小さな出来事とはいえないでしょう。しかし枌谷は集団から重要なメンバーが抜ける際起こるメカニズムについて、組織の自己回復力、レジリエンスが働くと言います。自分の退職によって現場で起きている変化を、古長はどう感じているでしょうか。

古長:もともと私はどちらかというとマイクロマネジメント型で、メンバーが失敗する前に助けるし、何かあればつぶさにフィードバックしていました。でもそういうサポートが今後難しくなりそうだと伝えると、私がやってた領域を自ら引き取ってくれるメンバーが出てきたんです。これは退職が決まらなければ起きなかった変化だと思います。

そういうのを見ているととても頼もしいし、組織にとっては私が抜けることのメリットって意外とあるのかな、と思います。

枌谷:古長さんの存在意義がないのではなく、組織の力学としては、優秀な人がいるメリットもあれば、優秀な人が抜けるメリットもあるんだと思います。頼れる誰かがいなくなった時に引き出される、底力みたいなものですね。

枌谷:私が過去に在籍した会社、知人が経営する会社、そしてクライアント企業でも、「この人抜けると影響大きいのでは?」という退職イベントが必ず発生しています。でもそれで本当に力を失った会社ってあまり見たことがなくて、一時的な混乱はあれど、2~3年もするとむしろ優秀な人がいた時より売上や組織が大きくなっていたりするんです。

ずっと不思議に思っていたんですが、これが組織のレジリエンスなんでしょうね。組織にも自己回復力が備わっていて、誰かの損失によって大きな負荷がかかると実はその組織の筋肉が鍛えられる、そんな作用があるんだと思います。

もちろん会社としては、優秀な人が抜けることをわざわざ望んだりしません。でもそうなってしまった時は、組織の自然な力学を活用して、組織のあり方や役割分担、動き方を大きく変えるチャンスだとも思います。

ウェブアプリの事業の引き合い自体は相変わらずコンスタントに来ているので、古長さんが抜けることをキッカケに、1人の優秀な人に依存しない、チーム全体で意見を出し合って戦略や設計を練る共創型のワークスタイルに移行していきたいですね。

古長:現場のメンバーはもうそれを意識して動いていますよね。

例えば、今まではアプリ設計の調査行程はコンサルタントが主に行って、UIデザイナー・エンジニアは制作に注力する体制でした。これはこれで合理的でしたけど、最近のプロジェクトでは職能に関わらず調査行程に総動員で関わる進め方の模索をしています。

その過程で、制作中心だったメンバーに光る調査センスを見つけたり、調査結果をよりスムーズに制作に落とし込めたり、さまざまなメリットを感じています。個々のメンバーのキャリアの幅出しにも良い影響があるのではないでしょうか。そこに私が第三者視点でアドバイザーに加わる仕組みが作れれば、結果的に会社全体のスキルアップの近道になるだろうというイメージをすでに持てています。

このやり方は総動員なのでコスト面での課題はあるんですが、個々のスキルが上がれば徐々に解消されていくと思います。こうやって組織って強固になっていくんだな、というのを今になって感じています。

お互いの選択肢を広げられる場所としての会社 

ベイジでは現在アドバイザーだけではなく、週に1回ゲストによる勉強会を開催したり、業務委託の取り組みを始めたり、社内と社外がまじりあう場が増えつつあります。ここに社員から外部のアドバイザーへと関係が変化した古長が加わると、どんな作用が生まれるのでしょうか。ベイジという場に期待していることについて聞いてみました。

古長:私はこれから事業会社に行くんですが、そうなると業務ドメインが少なからず狭まるじゃないですか。実は、そこに不安も少しあるんですよ。

枌谷:そうか、なんとなく古長さんは”金融”っていう分野を自分のハッシュタグにしていくのかなと思っていたけど、そうでもないんですね。

古長:メインのドメインはあるべきだと思うんですが、UXデザイナーの本質を考えるとそれしかできない人になるのは違うなとも感じているんですよね。「小売りはできませんよ」とか言いたくないし、「古長さんって金融の人だから、to C向けはちょっと難しいよね」とか言われるような人にもなりたくない、という気持ちがあります。

ベイジは業種も規模もバラバラな案件を経験できるので、サブドメインを広げていきたい私にとってそこがアドバイザーとして残るメリットのひとつですね。実際金融に限らず、美容業界、運輸業界、EC業界とざまざまな業界のプロジェクトに関わってこれました。

「デザインはユーザーのために」という根幹は変わらないので、どんなドメインであろうと素早くユーザーを理解し設計に落とし込むスキルに価値を置いていきたいです。

枌谷:私からすると、古長さんがアドバイザーになることで、知識を与えてくれることより、外の世界の視点を持ち込んでくれることに価値がある気がしてるんですよね。

――もっと詳しくお伺いしてもいいですか?

枌谷:例えば大企業には、いろんな経験、バックグラウンド、価値観を持ったメンバーが集まってますよね。多様性の面では、大企業の方が中小企業よりも圧倒的に豊かだと思います。多様性が豊かということは、仕事をしている中で多様な視点を得る可能性が高い、ということです。

枌谷:だけどもし会社の内側と外側の境界線を曖昧にして、いろんな人が出入りできるようになれば、中小企業であったとしてもたくさんの経験や出会いが生まれる。大企業と似たような多様性を持ちながら、中小企業ならではの機動性や自由さといった良さを生かせる。そしてそれが実現できると、ベイジで働くことの唯一無二になるかな、と思ったりしています。

こうした世界観は今後リリース予定のサロンでも実現したいと考えていることですが、古長さんのような退職した方が正社員ではない別の形でこうして関わってくれるというのも、「会社の内側と外側の境界を曖昧にする」という考えの延長線上にあります。

なので古長さんとも「さようなら」ではなく、「これからも引き続きよろしくお願いします」という感覚でいます。

古長:はい、これからもよろしくお願いします(笑)

UX分野のアドバイザーとしてももちろんですが、社外だから見える世界もたくさんあるはずなので、ベイジの社員にとっていい学びになると思うことはどんどん伝えていきたいです。次の会社でも、そうした社外コラボレーション促進を担えるようにがんばります。

おわりに 編集後記

今回対談の場に居合わせた枌谷、古長、そして取材を担当した私は世代が異なり、社内での立場が違えば仕事に対する価値観や経歴も違います。それがもっとも垣間見えたのは、対談の中でも頻出した「偶然との付き合い方」についてでした。

対談中に枌谷から「事業は運」という言葉が出る場面がありましたが、一般的に企業の将来は予測できるものではありません。働く個人についても、自分自身の価値観やライフスタイルの変化はコントロールできない、という内的な不確実性を抱えています。つまり働く以上、私たちは外側からも内側からも、常に偶然に囲まれていると言えます。

コントロールできない要素に自分の人生が握られているのを意識すると、その悪い面ばかりが目につき、不安やストレスを感じる人も多いでしょう。しかしこの対談で個人的に得られた学びとしては、どう対応するか考えられる環境があるなら、偶然は必要以上に恐れなくてもいいということでした。

枌谷と古長が関係性の更新によって現状維持や退職を選ぶより多くのメリットをお互いに見出せたように、偶然は私たちを邪魔するものではなく、受け入れることで予想できなかったよい変化も与えてくれるのかもしれません。

とはいえ、受け入れる選択肢を増やすためには個人と企業双方での努力も不可欠です。特に個人にできることにフォーカスすると、古長の「ポートフォリオのないデザイナー」としての姿勢から、求められているゴールにあわせてスキルや知見を周囲に還元させ信頼を高めていく重要性を強く感じました。

新しい関係を築くために必要なことについては、以前枌谷と外部アドバイザーの田渕さんが対談した際の記事も参考にしてみてください。

企画/インタビュー/執筆:古閑 絢子
撮影:関口史彦(オフィシャルサイト

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