国税庁「会社標本調査(2019年度)」によると、日本国内の法人の数は約275万社あるとされています。この統計から単純計算すると、日本には約275万人の「社長」がいることになります。
さらに「経営者」となると「企業の経営方針や経営計画を立案・決定し、経営に関するすべての責任を持つ人の総称」となって対象が拡がります。ザックリ500-1000万人くらいの規模感になるのではないでしょうか。
これを正とするなら、15歳以上の就業者と完全失業者を合わせた日本の労働力人口は2022年で 6902万人(総務省)なので、全労働者に対して7-14%くらいの数の経営者が日本国内に存在することになります。大雑把に言えば、仕事の中で出会う10人に1人は経営者ということです。
そんな経営者、一般的に取り扱いが難しい人材という印象があります。
気分屋で我儘。人に従うのが嫌い。一貫性がなく意見がコロコロ変わる。思い込みが激しくコミュニケーションが一方的。感覚でしゃべる。圧が強い。
こんな厄介なビジネスモンスターと対峙する機会は避けたい。そう考える人がいてもおかしくありません。
しかし、世にこれだけ経営者がいるということは、顧客や上司が経営者という状況が必ず訪れます。そうであるなら、このモンスターを避けるのではなく、上手に攻略できるようになりたいところです。経営者を攻略することで、強力な武器や入手困難なアイテムが手に入るかもしれません。
多くの人と同じく、経営者も千差万別、経営者の数だけ個性があります。一方で、会社を率いる立場にいるからこその共通特性もあります。それを知っておけば、経営者の心情を推察し、彼らの体験を先回りするコミュニケーションも可能になります。
私自身は、25年以上の法人ビジネスの経験があります。その中で濃淡はあれど、数多くの経営者と接してきました(ただし大企業ではなく中小企業の経営者が多いです)。さらに、私自身に経営者としての13年の経験があります。
こうした諸々の経験を踏まえ、経営者に共通する特性を10に分類し、「経営者の取扱説明書」といえるものをまとめてみました。
経営者と話すと、「あ!この人前の話全然覚えてない!」と思うことが多々あります。「何かの記憶障害なのだろうか?」と思うかもしれませんが、これは経営者によく見られる特性の一つです。基本的に、経営者の脳内情報は細かく断片化されています。
経営者の脳内には、社内のヒトモノカネに関するあらゆる情報が流れ込みます。経営者はその都度瞬時に思考を切り替え、意思決定しています。そのため記憶は高速で上書きされ、脳内の情報は断片化していきます。脳内の景色が変わるスピードが早いため、細かなことの忘却スピードも早いです。
経営者が「あれ?何の話だっけ?」という顔をしている時。経営者がよく分からない話を勝手に始めてしまう時。これはまさに、断片化された記憶と今向き合っている情報がうまく繋がっていない状態です。
だからこそまず、経営者が自分と同じ鮮明さで覚えていると期待するのはやめておきましょう。その上で、以下の手を打つといいでしょう。
このように、常に断片化された記憶を補完してから本題に入ると、経営者でもスムーズに話に入ってこれるようになります。連続ドラマやアニメの冒頭にある「前回までのあらすじ」と同じ配慮をしておくといい、ともいえるでしょう。
経営者と話してると、「この前言ってたことと話が全然違う!」ということがよく起こります。
これも、経営者によくある行動特性であり、「情報の断片化」「記憶の高速刷新」から来る特性と言えるでしょう。
高頻度に多くの情報に触れると、短期間で多くの刺激を受けるため、思考の変化がより早いサイクルで起こります。
朝の打合せでは、顧客獲得の観点からA案がいいと思っていたが、午後に離職対策の社内会議をしたことでB案の方がいいと心変わりし、夕方には資金調達の話を金融機関とした結果、やっぱりC案だと意見が変わる。
これは極端な例ですが、これと異なり、社員は一般的には分業化されたどこかの領域に特化した仕事をしているため、このようにまったく異なる幅広いテーマを短時間に扱う機会は少なく、意見の変化が短期間で起こりにくいです。こうした情報量の違い、スピード感の違いが、「経営者は意見がコロコロ変わる」という印象に繋がります。
ただ、経営者は本当に意見がコロコロ変わってるのかというと、根幹の意見はあまり変わってないという見方もできます。
以下は、立場の違いによって視点が違う、ということを示した図です。
経営者と一般社員では、見ている時間軸が異なります。例えばある一般社員は、3カ月後に成果を上げるためという視点から、今何をすればいいかの意思決定をします。
一方で経営者は、1年以上先を見据えて、今何をすればいいかの意思決定をしていたりします。このような長尺のゴールに向かう時、目の前の施策の一貫性はあまり重要ではなくなります。遠くの最終目的地を見据えたうえで、足元を柔軟に調整する思考になりやすいです。
「経営者の意見はコロコロ変わる」というのは、直近の対策に関する意見がコロコロ変わってるだけで、遠くで見据えているゴールはずっと変わってないこともあるはずです。
そのため、経営者と対峙する時には、
という心構えでいると、経営者に振り回されることも減るのではないかと思います。
経営者向けの資料は、とにかく量を少なく、簡潔に、とよく言われます。これは一般的に経営者が分厚い資料を読むことを嫌うためです。
「でた、経営者の我儘!」「一生懸命作った人のことを軽視してる!」と思ってしまうかもしれませんが、これもまた、「情報の断片化」「記憶の高速刷新」そして「頻繁な意思決定」の影響から来る特性です。
端的に言えば、忙しい経営者ほど「意思決定疲れ」しています。体は元気でも、脳内が疲れているのです。なので、分厚い資料を細かいところまで読み込む集中力も脳内体力もありません。
なので資料などは、できるだけ簡潔な方が、読んでもらえる確率が高まるわけです。
例えば以下のような詳細な解説は、専門的な知見があり詳しい説明を受けて納得感を得たい担当者は喜ぶかもしれません。
しかし、このような複雑な図は、一般的に経営者は好みません。経営者はその分野の専門家になりたいわけではなく、「今何をすればいいのか」「そうすることで未来に何が起こるのか」が知りたいだけだったりします。そのため、以下のように文字を大きく、文字量を少なく、端的に箇条書きで書いた方が、理解してもらえる確率が高まるのではないかと思います。
ちなみに1万字近くある本記事も、普通の経営者は読まないと思います。
このような配慮の必要性は、資料や文章だけでなく、会話でも同じです。
最近の経営者は、話を遮ると嫌われる、相手の話は最後まで聞けとコーチングで教えられる、という知識を持っていることから、「お前の話は長い」と面と向かって言う人は減ってるかと思います。しかし、長い話を聞き続けられない基本特性は変わりません。
話を遮るわけではないが、勝手に資料を先まで読んだり、上の空で明らかに他のことを考えているときは、まさにそんな状態です。経営の様々な重要事項に首を突っ込んでいるため、説明が長いと集中力が途切れ、その時一番気掛かりなことを考えてしまうわけです。
なので経営者と話すときは、
を意識するといいでしょう。その方が経営者に話を聞いてもらいやすくなるはずです。
時々、経営者に対して「前回との違い」「前回から変わった点」を長々と説明する光景を見かけます。しかしその行為は、経営者にはあまり効果的ではありません。
もちろん内容による前提ですが、経営者の興味は「前回との違い(過去)」より「今どうなのか(現在)」「これからどうなるか(未来)」にあります。例え前回の議論の通りにきちんと修正・変更されていたとしても、今それを見てダメだと思ったらダメ。逆に前回の議論を無視してても、今それを見てOKだったらOK。という判断をします。
前回との違いを入念に説明したくなる背景には、「私はちゃんと指示通りに仕事してます、もしあなたの気に入らない結果になってたとしても、これはあなたの指示した通りなんです」と伝えたい心理があると思われます。
しかし、「言われた通りにやっている」ことを評価基準に含まないのが、経営者という生き物です。それよりも圧倒的に、「目的が達成できるのか」「成果が出るのか」に興味が向いています。
なので経営者と話すときは、
という心構えでいると、無駄な説明をしてしまうことも減っていくでしょう。
ビジネスパーソンの基本心理として、「挑戦モード」と「慎重モード」という2つのモードがあります。挑戦モードの時はリスクを取り、スピードを重視してリターンを狙います。慎重モードの時は安全を優先し、できるだけリスクを排除します。
人は皆、仕事をしながら、その時のテーマや重要性によってこの2つのモードを切り替えています。言うまでもなく経営者は、挑戦モードの時間が比較的多い職種と言えます。
挑戦モードの時はスピード優先になるため、仮説ベースで物事を考えます。そんな経営者に慎重モードの提案をすると、却下される確率が高まります。慎重モードの提案とは、
といったものです。
そのため、経営者が何をリスクと感じ、何のリスクは覚悟しているのか。どこまでの品質は最低限に求めて、どこからはスピード優先と割り切っているか。これらを事前に掴んでおくのが理想です。それが難しい場合には、
と複数案を提示できるといいでしょう。
なお、経営者だからといって常に挑戦モードとは限りません。特に経営や組織に重篤な損害を与えかねない事象に対しては、一般社員以上の慎重モードになります。
Amazonを創業したジェフ・ベゾスは、行動したら元に戻せないことをワンウェイドア(One Way Door)、元に戻せることをトゥーウェイドア(Two Way Door)と表現し、ワンウェイドアは慎重に、トゥーウェイドアは迅速に、という考えを持っていたといわれています。
もし経営者がワンウェイドアなことに対して危険な賭けに出ていると感じられたときに、以下の観点からリスク喚起をするのは効果的です。
複数のシナリオを用意しながら、時に経営者のスピード判断を後押しし、特に先回りしてリスク提示ができると、経営者の同意を得やすくなるでしょう。
アニメにもなった有名なSF小説『銀河英雄伝説』では、ルドルフ大帝という独裁者が登場します。主人公の一人である皇帝ラインハルトは、人々を苦しめた暴君として歴史に名を残しているこのルドルフを反面教師としており、臣下に対して「卿の忠誠心は貴重だが度をすぎれば予をルドルフにするぞ」と忠告するシーンが出てきます。
多くの経営者もラインハルトと同じく、社員を困らせる独裁者にはなりたくないと思っています。一見ワンマンに見える経営者でも、できるだけ「自分の意見に社内の多くも賛同している」という状態を作ろうとします。自分の中では意思が固まっていても、「みんなも合意した」というプロセスを求める経営者は一定数存在します。
そのため、経営者がキーマンだと考えて経営者の合意だけで進めようとすると、「ちょっと待って、社内の意見もちゃんと聞きたい」と止められる事態が発生します。
また、私が会社員時代に遭遇した、誰がどう見てもワンマンなある経営者が、「あそこの社長はワンマンでダメだな」と他の経営者を批判しているのを見たことがあります。その時に、「この人は自分がワンマンであるという自覚はないが、ワンマンではいけないという考え方は持ってるのだな」と興味深く思った記憶があります。
経営者が「ワンマンにはなりたくない」という価値観を持っている場合には、経営者を動かすために以下のように立ち振る舞うといいでしょう。
もちろん、社内意見を聞いた結果、社内の相違と経営者の意向に食い違いがあり、それでも「経営の全体が見えているのは自分だから、自分がやるべきと思うことをやる」と経営者が独断で決めることは想定されます。
しかしそれでも、「最終的には自分で決める=最初から社員の総意を無視していい」ではないのが、多くの経営者の基本ロジックではないでしょうか。
そのため、独裁にならないプロセスを作ってあげることも経営者の支援になりますし、こうした心理に寄り添うことができると、経営者の合意/同意/信頼を得やすくなるのではないかと思います。
映画やドラマにはよく、経営者の言いなりになるイエスマンが登場します。現実社会でも、イエスマンに囲まれた経営者が問題を起こす、といったことがしばしば起こります。しかし私が経験した範囲の話ですが、イエスマンを重用して脇に置いている経営者は、経営者全体の中では実はそんなに多くないようにも思います。
賢明な経営者であれば、「自分の考えは間違っているかもしれない」という不安が常にあります。そのため、なんでもイエスと答える人の意見はむしろ危険に感じます。理想なのは、自分に意見をして「なるほど」と思わせてくれる部下です。経営者の判断が間違ってるときに、「それは違います」と言ってくれる人こそ、重宝したいと思っています。
中国史上最高の名君と言われる唐の二代皇帝・太宗の言行録である『貞観政要』には、魏徴を始めとする耳の痛い諫言(かんげん)を伝える重臣が登場します。多くの経営者も心の底では、魏徴のような重臣が欲しいと思っています。
座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」
もちろんそんな重臣がそこら辺に転がっているわけではありません。耳の痛い諫言を受け入れるには、経営者側にも大きな器と人間性が求められます。経営者といっても実態は弱さも欲もあるただの人間なので、太宗のようにはなかなかなれません。ただ、イエスマンを隣に置いてはいけないという発想自体は、太宗と同じように持っているはずです。
自分の考えや軸がないイエスマンは、何かの損得勘定で動いているようにも見えます。冷静な経営者ほど、こうした人に信頼を寄せるどころかむしろ警戒します。「この経営者はなんでも一人で決めたがるからとりあえず頷いておこう」と思ってイエスマン的な態度を取っていると、「適当に相槌して私を都合よく使おうとしているな」と見られ、関係性としてはむしろ危険度が増すように思います。
経営者にも色々いるという前提ですが、経営者と対峙する時は、以下を基本とした方がよさそうだと個人的に感じています。
不安なのは、経営者と意見が異なって「この人はアテにならない」と経営者に思われてしまうことでしょう。しかしそういうリスクを回避しようとしすぎるほど、イエスマン的態度になりがちです。そこで進言する立場としては、
くらいの強気スタンスでいいのではないかな、と思います。
経営者といえば、主張が強く、真っ先に自分の考えをズバっと発言する、という印象を持つ方も多いかもしれません。しかし、経営者が自分の考えを言わず、何を考えているか分からないまま議論が進行する場面に出くわすことは、意外と多いです。
「会議で最初に発言する人が一番偉い」「ファーストペンギンになれ」といつも言うくせに、経営者が一番最初に発言しないなんて言行不一致じゃないか!と思うかもしれません。しかし、経営者が自分の影響力を知っているからこそあえて発言しない、という時があります。
特性⑦でも紹介したように、経営者は自分とは異なる意見を欲しがる傾向にあります。結論・総論は同じだったとしても、別視点から見た解釈や文脈を望んでいたりします。そのため、経営者が先に発言してそれに皆が流れてしまうことを警戒するわけです。
また、最後まで結論をはっきりと言わず、あけてボヤかして話す経営者もいます。経営者自身に結論がない時もありますが、経営者が結論を出すことで議論が終わり、より良いアイデアが引き出せなくなることを懸念して、ということもあります。
いずれの理由にせよ、経営者が態度や方針を明確にしないことで、周囲が迷ってしまう時があります。そんな時の選択肢は、以下の一択です。
それが明らかに違うものであれば、経営者は必ず何かを発言するはずです。それでもハッキリしないときは、単に経営者も迷ってて決めあぐねてる時かもしれません。そんな時は、迷ってる部下と同じように、「なぜ迷っているか」「何が決まれば迷いが晴れるか」を、経営者に対して深堀していくといいでしょう。
経営者だから何でも決められるわけではなく、経営者だからこそ決められない、はっきり言えない、ということも案外あるものです。そんな経営者のジレンマに遭遇したときは、代わりに発言するなど、壁打ち相手になってあげるといいのではないでしょうか。
ちょっとした懸念事項を経営者に伝えたら大事(おおごと)になってしまった、という経験はないでしょうか?私はあります。そして自分自身もそうした行動を取ったことがあります。スルーしておけばよかったと後から反省することは多々あります。
私の反省点はひとまず置いておくとして、大きな責任を負っている経営者というのは、意外と小心なのかもしれません。小さなトラブルを見逃すとそれが大きな問題になるのではと、つい想像してしまいます。小さな綻びは自分が見えていない大きな綻びの一部なのではと、つい勘繰ってしまいます。会社にまつわるネガティブな情報を耳にすると飛びつき、過剰反応してしまいます。
これは行動経済学でいう「損失回避性」であり、すべての人に備わっている心理特性ですが、背負っているものが大きく、見ている範囲が広い分、経営者においては時に損失回避性が強く働きすぎることがあります。
なかなか首を縦に振らない経営者を動かすときには、あえてネガティブな情報を付け加えることで、お尻に火が付くことがあります。逆に、うまく行きそうな話にネガティブな話を加えてしまったがために、検討が止まってしまうこともあります。
だからといって、リスクやトラブルを隠したり、過剰・過少な言い方をしたりすると、後からそれがさらなる大問題を招き、信頼を損ねることにもなりかねません。
そこで隠し事はしないことを基本としつつ、
と、状況は共有しつつも「自分が口を出さずに任せよう」と思ってもらえる情報を添えることで、経営者の過剰反応を抑えることができるのではないかと思います。
それなりに成功した企業を自ら作ったある経営者とお話ししたとき、どこそこのオフィスビルには地縛霊がいるなど、会話の約半分がスピリチュアル系だったことがあります。それは極端な例ですが、定期的に占いをする経営者は意外といますし、年初の商売繁盛祈願を毎年マメに行っている経営者は、SNSでもよく見かけます。
変に頭の良い人は、経営者をロジックで説得しようと試みます。経営者は「投資対効果は?」「根拠は?」と必ず突っ込んできます。それに反論できるロジックをしっかり組み立てられる人は、それなりに優秀だと思います。しかし経営者は、それでも納得しないことがあります。ロジックだけで感覚に響いてこない話では、リスクを伴う判断はできないと考えてしまいます。
「感覚的になんか違う」みたいな理由で却下されると、提案側は、理不尽で不合理で納得がいかないと感じるでしょう。しかし、経営者の直感にも、ある一定の合理性はあると考えられます。
事業を起こし、ある程度の規模まで成長させ、数々の困難を潜り抜けてきた、その経験の積み重ねからくる複雑な思考回路のどこかで、違和感を覚えているわけです。うまく言語化できずに「感覚的になんか違う」と口にしていますが、失敗しそうな何かのパターンにハマっていると感知している可能性があります。
言語化されてないことに対処するなんて難易度高すぎる、経営者の千本ノックに付き合うのはゴメンだ、と思ってしまうかもしれん。ただここで、経営者が本来的に何を望んでいるか、ということに目を向けると、違った発想が生まれます。
実際、ビジネスは理屈だけでは動かない。かといって感覚だけで動かすのもリスクは大きい。ビジネスには不確実性がつきものであり、その不確実性をねじ伏せなければ、望む結果は得られない。その不確実性は理屈では想像できないもの。かといって感覚だけで乗り越えられるものではない。では何が必要か。結局は覚悟ではないか。
こんなに綺麗に整理して考えてないかもですが、「理屈より感覚より覚悟」と考えている経営者は多いのではないでしょうか。
例え論理的に破綻してたり、感覚的に違う気がしても、提案者の熱意や覚悟を感じることができたら、それに賭ける判断をするし、逆にいくらそれっぽい理屈を並べられても、リスク回避や責任回避の話が多く、本人がどこか他人事でやり切る覚悟を感じなければ、そのアイデアには乗らない。そんな意思決定をする経営者は少なくないように思います。
覚悟というと精神論のようですが、以下のようにアプローチすれば、覚悟なるものをある一定は感じさせることができます。
「覚悟を表明することで追いきれない責任を負うのでは?」という不安が過るかもしれませんが、まともな経営者であれば、最終的な責任はすべて経営者にある、というのは理解しています。(そうじゃない経営者であれば、逃げましょう)
過度に責任回避を考えるよりも、「最終的な責任はすべて経営者だから」という良い意味での開き直りをした上で、大船に乗った気持ちで提案すると、経営者が話に乗ってきやすくなるのではないかな、と思います。
信頼関係がある前提ですが、「実行はすべて私のほうでやります。社長は何かあったときに責任だけ取ってくれればいいです笑」とサラリと言ってのけてしまう部下や協力者は、多くの経営者は嫌いじゃないと思います。
ここまで、私なりの経営者攻略法を、10の特性から紐解いてみました。
さて、これらを実際に実行してみたところ、「逆効果だったよ!」「経営者にキレられたよ!」という事態も十分に起こり得ると思います。
冒頭に書いたように、実際には経営者と言っても千差万別、人それぞれの個性もあります。また、経営者と部下や提案者との関係性も色濃く影響します。
そのため、短絡的に考えるのではなく、ここにあることをヒントにしつつ、色々な技や武器を組み合わせ、応用しながら、ビジネスにおけるラスボス=経営者の攻略に挑んでみるといいのではないかな、と思います。
RPGと同じで、最初は失敗しても、何度も繰り返すほど経験値が貯まり、経営者の攻略が徐々に上手になっていくのではないでしょうか。
画像作成協力:塚元舞賀(デザイナー)
アイキャッチ画像:Midjourney(Pro Plan)で作成
ウェブ制作といえば、「納期」や「納品物の品質」に意識を向けがちですが、私たちはその先にある「顧客の成功」をお客さまと共に考えた上で、ウェブ制作を行っています。そのために「戦略フェーズ」と呼ばれるお客さまのビジネスを理解し、共に議論する期間を必ず設けています。
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