有効リード1.73倍。「どこかいい倉庫ないですか」が「大和物流と組みたい」に変わった理由

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ライター五ノ井一平

大和物流株式会社(以下、大和物流)は、大和ハウスグループの物流事業を担う総合物流企業です。保管・輸配送・流通加工から物流センターの企画・運営まで、幅広いサービスを全国で展開しています。同社のコーポレートサイトと採用サイトの同時リニューアルを、ベイジが支援しました。

大和物流株式会社

プロジェクト
コーポレート・採用サイトリニューアル
制作期間
2025年3月~2025年11月

課題

  • 運用パートナーの不在とCMSの制約により、5年間サイトをほぼ改善できなかった
  • サービスの幅広さや提案の柔軟さが、伝えられていなかった
  • 問い合わせは「倉庫は空いているか」など漠然とした内容が中心だった
  • 採用サイトは「求人を上げるだけ」で、求職者に情報を届けられていなかった

解決策

  • 社内でも揃っていなかった「強み」を客観的なヒアリングで言語化する
  • サービスを細分化し、「サービス」と「取扱貨物」の2軸で構造化する
  • 実績や自社の考え方まで盛り込んだ、厚みのあるサービスページを制作する
  • 求職者が知りたい情報をストレートに掲載する採用サイトへ刷新する

効果

  • 有効リードが1.73倍に増加
  • 貨物サイズや温度帯まで書かれた具体的な問い合わせが増え、成約も発生
  • 部門横断の「ウェブ戦略会議」が発足し、全社のウェブ活用機運が向上

リニューアル前の悩み

大和物流の以前のコーポレートサイトは、2019年4月にリニューアルされたものでした。サービスサイトとコーポレートサイトを統合し、初めてCMSを導入。それまで年に数回PDFを掲載する程度だった「作って置いておく」サイトから脱却し、問い合わせも継続的に生まれるようになっていました。

しかし公開直後、想定外の事態が起こります。サイトの運用パートナーが不在という状況になったのです。導入していたCMSは、セキュリティの高さを重視して選定した比較的マイナーなもの。扱える制作会社が市場にほとんど存在せず、以降はCMSの機能に手を加えない範囲での微調整しかできない状況が続きました。

とりわけ課題だったのが、同社の中核であるサービスの見せ方です。物流事業はお客様に合わせたカスタマイズや、複数サービスの組み合わせ提案など自由度が高いことが特徴ですが、旧サイトでは、多様なサービスを限られたページ構成で紹介するしかなく、事業や市場の変化に合わせてサービスの見せ方を変えることができませんでした。問い合わせは来るものの、「どこかいい倉庫はないですか」といった漠然とした内容が中心だったといいます。

この状況を、経営企画部の歳岡さんはどう捉えていたのでしょうか。

歳岡さん:

課題だらけでした。ウェブサイト自体の機能的な課題だけではなく、それを運用する社内の組織体制の課題、そしてパートナーの不在という課題。ウェブサイトをもっと活用しなければいけないのに、やりたいことが出てきてもできない状態だったんです。前回のリニューアルで当時の課題は一定解決できたのですが、そこから継続的に運用して改善するという伸びしろがほぼない状態が、5年間続いてしまったんです。

その間も、社内では外部にLPを作るなど「やれる施策」を模索しながら、ウェブ活用の機運を少しずつ高めていました。一般的なサイトの更新サイクルともいえる5年という節目で、ちょうど会社として事業コンセプトを刷新するリブランディングのタイミングとも重なった。課題も整理できていたので、ある意味で計画的なリニューアルだったと思います。

ベイジさんのことは、パートナー不在の間の情報収集の中で知りました。代表の枌谷さんのSNSやサイトのコンテンツを読んでいて、実績が多いだけではなく、サイト制作の知見をすごく再現性のある形で発信されている。「この会社はすごく強いな」と思ったんです。ただ、私一人で決めたわけではありません。プロジェクトメンバーには「前からやりたいと思っている会社がある」と伝えたうえで、他にふさわしい会社がないかそれぞれ探してもらい、コストや、当社は本社が大阪なので東京のベイジさんとリモート中心のやりとりになることへの懸念も含めて議論して、最終的に全員が賛同してくれました。

ベイジの提案

大和物流の事業戦略や組織課題のヒアリングから「いまウェブサイトで解決すべき課題」を導き出し、以下の提案を行いました。

①社内でも揃っていなかった「強み」を言語化する

プロジェクトは戦略フェーズからスタートしました。大和物流が用意した大量の資料を読み込み、社内の複数名に1時間ずつのヒアリングを実施。サイトの目的・ターゲットを定義し、戦略資料としてまとめました。

このプロセスで浮かび上がったのが、「強み」をめぐる社内の意外な実態です。実は「大和物流の強みは何か」という問いへの答えは、社内でも人によって微妙に異なっていました。強みは社外に伝わっていなかっただけでなく、社内でも認識が揃っていなかったのです。第三者であるベイジが客観的な立場でインタビューを重ねて言語化した強みの定義が、この後のサイト設計すべての土台になりました。

また、この戦略資料は制作の指針にとどまらず、経営層への合意形成ツールとしても機能しました。「コーポレートサイトのあるべき姿」は個人の価値観によって変わりやすく、社内の意見がぶれやすいテーマですが、戦略資料を根拠に議論することで、当初の目的からずれずにプロジェクトを進行できたといいます。

戦略フェーズの資料を抜粋。現場社員へのヒアリングから「知られていない強み」を抽出し、顧客側の課題と対置して整理

②サービスを細分化し、「サービス」と「取扱貨物」の2軸で構造化する

戦略で定めた方針をサイト構造に落とし込むうえで、最大の論点となったのがサービスの「切り口」でした。物流サービスはパーツの組み合わせで一つのサービスになるという性質上、見せ方の選択肢が無数にあります。訪問者が迷わない数に絞り込みつつ、会社として訴求したいサービスは漏らさず載せる。このバランスを、大和物流とベイジで何度も議論を重ねて設計しました。

構造面では、1ページに複数サービスが同居していた旧サイトの構成を、1ページ1サービスへと細分化し、「サービス」と「取扱貨物」の2軸でページ群を整理。検索エンジンからの流入経路を強化しながら、訪問者が自分の課題に合ったページへたどり着きやすくしました。各ページには単なるサービス紹介ではなく、大和物流としての考え方や実績を盛り込み、同社を知らない訪問者でもサービスの価値を理解できるコンテンツに仕上げています。

リニューアル後の「サービスから探す」は、3PL・輸配送・物流センター・構内物流・関連サービスの大分類の下に、共同配送やECセンター運営など細分化した個別ページへのリンクを配置し、訪問者が自分の課題からたどり着けるように設計。
「サービスから探す」とは別に「取扱貨物から探す」も設置。多様な取扱いを訴求するため、建材・住宅設備から食品・医薬品、危険物まで、扱える貨物の幅をビジュアルで一覧化。

細分化によってページ数が大幅に増えたため、ライティングはベイジと大和物流で分担して進めました。大和物流が主に担当したのは、現場の専門知識が欠かせないサービスページの中身です。問い合わせに直結するページだからこそ記載内容に間違いは許されず、社内の専門部署を巻き込んだ確認・調整の負担は、想定を上回ったといいます。多岐にわたるタスクは、ベイジが用意した進行管理シートを両社で共有し、抜け漏れを防ぎながら進めました。

プロジェクトリーダーを務めた山本さんは、当時をこう振り返ります。

山本さん:

プロジェクト前は私は一社員としてコーポレートサイトを見ているだけだったので、課題があるとも気づいておらず、プロジェクトリーダーを任されたときは「どこをどう変えたらいいんだろう」という気持ちからのスタートでした。最初は歳岡とベイジさんの会話に出てくる専門用語もわからなくて、調べながらでしたね。

それでも進められたのは、作り始める前の土台がしっかりしていたからだと思います。ベイジさんには弊社の大量の資料を読み込んだうえで、何人にも1時間ずつヒアリングをして、すごく基礎を固めたうえできれいな戦略資料にまとめてもらいました。社内で経営層に合意形成を取る場面も多かったのですが、その資料を使いながら「こうしたい」を伝えられたのは、すごく助かりました。

大変だったのは、圧倒的にサービスページの中身の作成です。問い合わせに直結するので間違いがあってはいけない。私たちだけの判断ではなく、社内の詳しい人、それも忙しい人たちに確認してもらうスケジュール調整が本当に大変でした。ただ、当初不安だったタスク管理は、ベイジさんが一緒に見られる進行管理のポータルを用意してくれたおかげで漏れなく進められて、予想よりは楽だったという印象です。

ベイジさんは、短期間で当社のことも物流のことも深く調べてくれて、私たちが伝えていないことまでライティングに反映されていたのが印象的でした。何を聞いても絶対に何かしらプロとしての意見を返してくれるのも、すごくありがたかったです。

歳岡さん:

「大和物流の強みは何ですか」と社内の3人に聞くと、微妙にニュアンスやポイントが違う。中の目だけではなかなか見えない部分を、ベイジさんが客観的な立場でいろんな社員にインタビューして、きちんと整理してくれた。社内のちょっとしたズレまで調整できたのは、すごくありがたかったですね。

サービスの切り口や粒度は、社内でも議論がありましたし、ベイジさんに何度も相談しながらまとめられた部分です。完成したサービスページは、紹介だけでなく実績も盛り込んで情報に厚みを持たせてもらったので、当社をまったく知らないお客様が見ても理解しやすい形になったと思います。

ベイジさんの仕事ぶりという意味では、プロ意識が高い。担当ごとに役割分担が明確で、各セクションの方がクオリティの高い仕事をされている。デザインも、デザイナーの方が直接意図を論理的に説明してくれるので、感性ではなく意図として腹落ちできる。デザインに長けていなくても判断の話がしやすかったし、安心して任せられました。

③求職者が「見てわかる」採用サイトへ刷新する

コーポレートサイトと同一CMSで運用されていた採用サイトも、同時に刷新しました。旧採用サイトは「求人を上げるだけのページ」で、応募を迷っている求職者への情報提供力を持っていませんでした。働き方やキャリアパスも、説明会や面接のたびに一から口頭で説明するしかない状態でした。

ベイジは戦略フェーズで求める求職者像のすり合わせから着手し、仕事内容・キャリアパス・社員インタビューなど、求職者が知りたい情報をストレートに掲載する構成を設計。既存のラジオコンテンツを文字起こしして掲載するなど、同社がすでに持っていた資産を「読める形」に転換する施策も盛り込みました。また、「聞きたいけれど聞きにくい質問にもう一歩踏み込んで答える情報開示が、会社にとってプラスになる」という提案から、求職者に対してフェアな情報開示を行うページも追加しました。

社内で特に評判なのが社員インタビューのコンテンツです。「文章として面白く、仕事の情景が頭に浮かんでくる」(山本さん)と好評です。実際に社員インタビューを読んだ新卒の学生が「自分が働きたいイメージでした」と応募してきた例も、すでに生まれています。

採用サイトを担当した三雲さんに、率直な感想を伺いました。

三雲さん:

一言で言うと、すごく気に入っています。ベイジさんの第一印象は、いい意味で「すごく細かい」でした。ヒアリングした内容からいろんなところを深掘って、「求める求職者ってこういう人ですよね」という解釈を一緒にすり合わせていく。すごく細かいところまで話し込んだのが印象的でした。

以前は、応募に迷っている人に情報提供する手段がなくて、キャリアパスも社内の人のキャリアの歩み方も、全部一から口頭で説明していました。今は情報を増やせただけでなく、応募を迷っている人たちに対しても情報開示できるようになったのが、すごく良かったと思っています。

効果を感じているのは、求職者の方や学生と話すときの質問の変化です。以前は「何年ぐらいで昇格するんですか」といったざっくりした質問だったのが、今は「サイトにこう書いてあったんですけど、実際どうなんですか」と、質問がキュッと絞られている。一から説明する必要がなくなったんです。内定者とのオンライン面談でも、口頭で説明する代わりにサイトを画面共有して「こういう感じです」と見せられるようになって、個人的にどんどん使っています。

リニューアル後の効果

公開から約半年、定量・定性の両面で成果が出はじめています。

まず、有効リードの増加です。公開直後3か月間の件数と直近3か月間の件数を比べると、1.73倍に増えています。会社として獲得を狙うサイズ感の案件がウェブ経由で生まれ、成約も出はじめています。医薬品業界など狙っていた業界からの問い合わせも届くようになりました。

しかし当事者たちが真っ先に語るのは、数よりも「質」の変化です。サービスと取扱貨物の2軸でページを細分化し、各ページに厚い情報を持たせたことで、訪問者は自分の課題に近いページを読み込み、期待値を高めたうえで問い合わせるようになりました。問い合わせフォームの導線設計も含め、「知られていない強みの可視化」が問い合わせの質を変えた形です。

さらに想定外の効果として、サービスページが社内の「共通言語」として機能しはじめています。社内報・研修資料、営業部のサービス別チラシの作成など、サイトのコンテンツが社内資料や営業ツールに次々と転用されているのです。「サービスの内容がまとまった資料は、実は今まで社内になかった」と山本さんは言います。強みを言語化したコンテンツは、一度作れば見込み客への訴求を超えて、組織のあらゆる場面で再利用できる資産になります。

山本さん:

リニューアル前は「どこかいい倉庫はないですか」「大まかな輸送の見積もりが欲しい」といった、ざっくりとした問い合わせが多かったんです。それが今は、貨物のサイズはこれぐらい、温度帯はこれぐらい、何月からスタートして頻度はこれぐらい、と最初からお客様側で細かい情報を書いた状態で問い合わせが来ることがかなり増えました。

副次的な効果もあって、最初から商材や物量が書かれているので、問い合わせを受け付ける営業戦略部が、どの担当部署・担当者に振るかをすぐ判断できるようになったと聞いています。以前はほぼ何も書かれていない問い合わせもあって、社名を検索して「こんな会社だからこの部署だろう」と推測していたので。

歳岡さん:

リニューアル前も物流センターの情報はたくさん載せていたので、「このセンターにお願いしたい」という施設への期待値がある問い合わせが多かったんです。それが今回、「大和物流がやるとこうです」というのを強く打ち出したおかげか、「ここがいい」ではなく「大和物流がいい」という問い合わせがすごく増えています。単に条件の合う倉庫を探しているのではなく、パートナー探しとして「大和物流と組みたい」という熱量のある問い合わせ。読んでいるだけで期待値の高さがわかるんです

問い合わせの種類も増えました。3PL、調達物流、店舗配送といった具体的なテーマでの相談に加えて、「今度こういうことを新しく始めるので、御社のセンターでこういう作業をやってもらえますか」という、事業に踏み込んだ相談も来るようになっています。

今後の展望

リニューアルの成果は、会社の意思決定の場にも届きはじめています。新しい中期経営計画の議論では「ウェブマーケティングで新規顧客開発を進めたい」という具体的な意見が挙がり、今期からは部門横断でウェブの営業戦略を議論する「ウェブ戦略会議」も始まります。別部門で運用しているウェブ広告との連携も視野に、ウェブの実践知を一部門で抱え込まず、全社に広げていくフェーズに入っています。

歳岡さん:

リニューアルで成果が出たことで、そのために何をやるかを議論できる座組みができました。全社としてウェブをどうしていくかを合意形成する場は今までなかったので、経営企画と営業系の部署が連携するかたちで、ウェブ戦略会議を始めていきます。部署によって知見の濃淡はまだあるので、成功事例を共有しながら全社の意識を合わせていきたいですね。

今期はお客様事例の拡充もやりたいと思っています。タイムリーに継続的に出すためには内製も目指したいのですが、質の低い記事を量産しても仕方がない。最初はいいパターンをベイジさんのような外部と作ったうえで、うまくすみ分けていきたいと考えています。

コーポレートサイトでは案件創出、採用サイトでは採用力強化。会社に約束した成果にきちんと応える運用を続けることで、「ウェブをもっと事業に活用しよう」という機運がさらに高まる。成果を出して、機運を高めて、取り組みを加速する。そういういい循環に持っていきたいですね。リニューアルから半年経ちましたが、やっとスタートが切れたというところなので。

最後に

大和物流のリニューアルプロジェクトでは、社内でも認識が揃っていなかった「強み」を言語化し、無数にあったサービスの切り口を整理して、実績を伴う厚いコンテンツとして構造化しました。その結果、問い合わせの質が変わり、採用の対話が変わり、全社のウェブ活用の機運が動きはじめています。

サイトリニューアルの成果は、公開した瞬間ではなく、その後の変化の連鎖にこそ表れます。ベイジの制作プロセスが、同じような悩みを抱える企業の参考になれば幸いです。

私たちは顧客の成功を共に考えるウェブ制作会社です。

ウェブ制作といえば、「納期」や「納品物の品質」に意識を向けがちですが、私たちはその先にある「顧客の成功」をお客さまと共に考えた上で、ウェブ制作を行っています。そのために「戦略フェーズ」と呼ばれるお客さまのビジネスを理解し、共に議論する期間を必ず設けています。

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