集客から営業効率化まで~サービスの成長を押し上げたウェブサイトの事例

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西岡紀子のプロフィール画像
ライター西岡紀子

リトルヘルプ・エージェンシー合同会社

プロジェクト
サイトリニューアル
制作期間
2023年8月~2024年1月
業種
マーケティングツール開発・販売
対象
BtoBサービスサイト

課題

  • ウェブサイトに情報が少なく導入手順や活用方法などの問合せが多い
  • 新任の営業担当者が独自性や強みを説明しきれず苦戦していた
  • 創業時に手作りしたサイトなので信頼感で他社に見劣りしている

解決策

  • ツールの独自性を際立たせ、新規顧客獲得に貢献する
  • 顧客の疑問や不安を減らし、商談の効率改善に寄与する
  • 顧客タイプごとに訴求を整理し、活用方法をコンテンツ化する

効果

  • コンテンツ拡充により検索順位が上昇し流入数が前年比130%に
  • ウェブサイトを営業資料として活用し商談の質を向上
  • 事前に信頼感を醸成できるため商談を進めやすくなった

LITTLE HELP CONNECT(以下リトルヘルプ)はLINEとHubSpotを連携するマーケティングツールです。リトルヘルプの操作だけで、HubSpotの顧客情報にもとづいた、LINEでのメッセージ配信やユーザー対応などを実現できます。このツールを開発・販売しているリトルヘルプ・エージェンシー合同会社(以下LHA社)のウェブサイトリニューアルを、ベイジが支援しました。

リニューアル前の悩み

LHA社の創業者・川野さんは元HubSpot社のエンジニアです。川野さんが開発したリトルヘルプはHubSpotとLINEのユーザーIDを連携し、HubSpotのシナリオを使ったLINEでのメッセージ配信や、顧客データを元にしたメッセージの出し分けなど、LINEを介してユーザーとのコミュニケーションをきめ細かく行えます。これらの機能はリトルヘルプ独自のもので、直接的に競合するプロダクトは市場にありません。広告出稿などの販促活動を行っていないにも関わらず、導入企業数は順調に推移していました。

一方で、事業が成長するとともに、お問い合わせから成約までのプロセスにおける課題が顕在化してきました。5年前に公開したというリニューアル前のウェブサイトは、川野さん自身で制作したもの。ユーザーの意思決定に必要な情報が不足しており、問い合わせや商談が増えるにつれ営業の負担が大きくなっていたといいます。

このような状況のもと、LHA社はどのようなきっかけでウェブサイトリニューアルを決めたのでしょうか。川野さんに尋ねました。

川野さん:

リニューアルを決めた直接的なきっかけはふたつあります。ひとつは海外のお客様からの問い合わせで「ウェブサイトを見たけれど、何ができるツールなのか分からない」と言われたこと。もうひとつはそのタイミングで入社したメンバーから「ウェブサイトに手作り感がありすぎて怪しい会社に見える。同業他社に見劣りしているし、機会損失につながっていると思う」と言われたことです。

もともと今後の事業展開に備えて、大企業へも信頼性を与えられるウェブサイトに刷新したいとは考えていたんです。上記のことがきっかけになり、このタイミングでウェブサイトをリニューアルして、マーケティングや営業活動を強化しようと決めました。

実はベイジさんに依頼する前に他の制作会社を見てはいたのですが、自分たちが理想としている成果物ではなかったんです。ベイジさんが制作したサイボウズさんのメールワイズのウェブサイトは、デザイン、コンテンツ、サイト構造などすべてが理想的でした。HubSpotのマーケターからも「BtoBサイトならベイジさんがいいよ」と太鼓判を押されたこともあり、お願いすることにしました。

ベイジの提案

LHA社のマーケティング戦略や組織課題から「いまウェブサイトで解決すべき課題」を導き出し、以下の提案を行いました。

①独自性を際立たせ、新規顧客獲得に貢献する

LHA社へのヒアリングや競合分析、導入企業の事例分析などを通じて、リトルヘルプの圧倒的な強みは「HubSpotとLINEのID連携」にあると定義。リトルヘルプはユーザーIDの連携(名寄せ)を複数のパターンで実施できることがプロダクトの大きな顧客価値になっていました。

問い合わせ企業の多くは、CRMはHubSpotで、LINEコミュニケーションは別のツールで、とバラバラのツールでLINE施策を運用しています。このため「社内に点在しているユーザー情報を連携できるのか」などID連携に関する不安が大きく、商談の場でも必ず質問が出ていたといいます。

そこでメインの訴求として「HubSpotとLINEを連携してユーザーコミュニケーションを最適化できる」を打ち出すとともに、特長ページの冒頭でID連携の仕組みを丁寧に説明。「リトルヘルプとは何ができるツールなのか」「他のツールと何が違うのか」をウェブサイトでわかりやすく示しました。

②顧客の疑問や不安を減らし、商談の効率改善に寄与する

BtoBサービスは導入の意思決定プロセスが複雑な上に、スイッチングコストが高いのが特徴です。そして「6割が商談前に勝負が決まる」とも言われているため、「導入コストはどの程度かかるのか」「どのような成果が得られるのか」「投下コストをペイできるのか」などの顧客の疑問や不安を、先回って解消しておく必要があります。

疑問・不安の解決方法として効果的な手法のひとつが、導入企業の活用事例です。旧サイトには事例コンテンツがなかったため、導入企業にインタビューを実施して事例記事を作成し、導入の成果を定量・定性の両面から提示しました。

他にも、複雑でわかりにくかった料金体系を整備し、導入サポートの詳細説明など安心材料を複数掲載しました。これにより問い合わせ前の顧客の障壁を減らしています。

③顧客タイプごとに訴求を整理し、活用方法をコンテンツ化する

ベイジのコンサルタントがLHA社と見込み顧客との商談へ同席して顧客調査を進め、顧客タイプとそれぞれの導入目的を整理しました。

顧客タイプ①既存顧客への情報伝達(マーケティング)

・定期的に情報を配信しサービスの利用を促進したい
・一人ひとりの興味関心に応じて情報を出し分けたい

顧客タイプ②リード対応(セールス)

・問い合わせに素早く対応して競争力を高めたい
・ユーザーの個別のニーズを把握して対応したい

顧客タイプ③既存顧客との相互コミュニケーション(カスタマーサポート)

・ユーザーからの相談にスムーズに対応したい
・テンプレ対応ではなく個別に最適なやり取りをしたい

リニューアル前のウェブサイトには機能説明が羅列しており、顧客が自社のマーケティング活動でどのようにツールを活用できるのか、具体的にイメージしづらい状態でした。このため、それぞれの導入目的であるマーケティング、セールス、カスタマーサポートごとに、ツールの機能と活用方法を個別に説明しました。

LHA社とベイジでウェブサイト戦略について議論する過程で、リトルヘルプが提供する価値がどこにあるのか、開発者である川野さんの中でもクリアになっていったそうです。

川野さん:

事業はいい状態になっていたんですが、プロダクトの強みや独自性、お客様がどこに価値を感じているのかを整理できていなかったんです。コンサルタントの古閑さんに第三者の視点で整理していただき、「リトルヘルプはマーケティング、セールス、カスタマーサポートという3つの切り口で課題解決ができるツールである」と、お客様に明確に伝えられるようになりました。プロジェクトを思い返すと、ウェブサイトを製作したというよりは、製品のプロダクトマネジメントの壁打ちをやっていたような感じもしますね。

他にも、プロダクトの1番の価値が、HubSpotの顧客情報とLINEの情報を連携できることにあると分かったことも大きかったです。それまではID連携(名寄せ)を機能のひとつくらいに捉えていました。名寄せによってLINEでセグメント配信ができ、マーケティング活動で大きな価値を出せるのだと、改めて学びました。ジュニアの営業担当者には、商談で必ずそこを強調するように伝えています。

リニューアル後の効果

サイトリニューアルの直後から、定量・定性の両面でさまざまな成果が出ています。

まず「HubSpot LINE」というキーワードでの検索順位が4位から2位に上昇(2024年6月時点)。複合的な要因によるものではありますが、サイトへの流入数は130%増、売り上げは前年比で1.8倍と順調に推移しています。

定性面では商談の効率化に貢献できました。ウェブサイトの設計に沿って説明をすれば、おのずと顧客の目的に応じてユーザー目線でプロダクトを説明できるため、ジュニアのセールスパーソンでも質の高い商談を実行できるようになったといいます。ウェブサイトがいわば「セールスのお手本」になっていると言えるでしょう。

LHA社はウェブサイトリニューアルをきっかけに、商談でのサービス説明の方法を大きく変えたそうです。

川野さん:

リニューアル後に、商談のスタイルを変えました。それまでは紙芝居のように営業資料を1枚ずつ説明していましたが、今はお客様とウェブサイトを見ながら会話をする方法でやっています。必要な情報がウェブサイトに網羅されているので、営業資料は基本的に配布用として作成し、商談時では利用していません。私は最近ほぼ商談に立つことはなくなったのですが、新人の担当者にも安心して任せられるようになりました。

新しいサイトデザインをとても気に入っているので、ベイジさんに用意していただいたデザインガイドラインに沿って営業資料や名刺なども一新しました。デザインが一貫され、そこからも「信頼がおける会社である」という印象を醸成できていると感じています。

ベースの信頼感があるからか、商談も良い雰囲気で始められることも多いようです。BtoBサービスの意思決定では、やはり信頼感は重要な要素ですね。トップページに導入企業のロゴを並べたことも、「細かいところはよくわからないけど、これだけ導入実績があるのだから間違いないだろう」と、技術に詳しくないお客様にもサービスの良さが伝わりやすくなったと感じます。

以前のウェブサイトは自分で作りましたが、やはり専門家に依頼すべきですね。ベイジさんが長年の経験から見出してきた成功の型を自社の事業に反映できることは、大きな価値があります。

今後の展望

ウェブサイトという基盤が整った今、LHA社はマーケティング強化、プロダクトの機能拡充、そして国内外へのさらなる展開を視野に入れています。ベイジが提供しているカスタマーサクセスプランにもご加入いただき、マーケティングやセールスの展開に応じてウェブサイトを更新していく予定です。

川野さん:

AIをさらに活用し、お客様によりよい体験を提供できるような機能を増やしていく予定です。現時点でも、リトルヘルプに読み込ませた企業データをもとに、ユーザーからの質問へ適切な回答ができるようになっています。リトルヘルプのAI機能をチャットボットの応答に使っているお客様が複数いるのですが、営業の一次対応やユーザーの悩み相談で活用されています。リトルヘルプを通じてお客様がAIを手軽に活用して、ユーザー対応の効率化はもちろん、カスタマーサポートの精神的な負担も軽減できると嬉しいですね。

今回のプロジェクトを通じて、ID連携がリトルヘルプの幹であり、その枝としてメッセージ配信があるという形で整理ができました。機能が増えすぎると最終的に使いづらいシステムになったりもしますが、お客様が価値を感じている部分をより強化していくという、プロダクトを成長させる道筋がはっきりと見えた状態です。

そして国内での新たな顧客層の開拓に加えて、海外の売り上げも伸ばしていきます。すでにアジアに80社ほどのお客様がいるのですが、HubSpotの導入企業数から考えるとまだまだ伸ばす余地があります。海外で売れる日本発のプロダクトを作って外貨を稼ぎ、日本経済に少しでも貢献できれば最高ですね。

担当コンサルタント(古閑)の声:

「競合他社とウェブ上で比較されても見劣りしないサイトを作りたい」とご相談いただきましたが、見た目を美しく整えるだけではなく堅実な成果に繋げることができ非常に嬉しく思います。


「HubSpotとLINEを連携させて顧客とのコミュニケーションを強化できる」という製品の特長を端的に表現しつつ、企業の導入目的を踏まえて訴求を整理することで、機能説明に終始せず顧客視点での便益を伝えられるサイトになりました


リトルヘルプ・エージェンシー様がより多くのお客様に価値を提供できるよう、これからも微力ながらサポートしていきたいと思います!

最後に

LHA社のウェブサイトリニューアルプロジェクトでは、プロダクトの提供価値を明確にすること、「ユーザーに必要な情報を過不足なく伝える」というコミュニケーションの基本を徹底することで、事業の成長に寄与することができました。

ベイジの制作プロセスが、同じような悩みを抱える企業の参考になれば幸いです。

BtoBサイトのことなら、BtoBに強い私たちにご相談ください。

私たちはBtoBサイトを得意分野とするweb制作会社です。ただ作るだけではなく、BtoBマーケティングの豊富な知見を活かし、成果にこだわったBtoBサイトをご提案します。webサイトのことでお悩みのBtoB企業、良いweb制作会社がいないとお困りのBtoBマーケターの方は、ベイジまで気軽にご相談ください。

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