仕事の選択肢を増やす「キャリア資産」という考え方

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代表/マーケター/デザイナー/ブロガー枌谷力

この記事の主旨

  1. キャリアにはキャリア資産という考え方がある
  2. キャリア資産が多いほど、キャリアは有利になる
  3. キャリア資産は、金融資産のように資産運用ができる
  4. キャリア資産の運用は、仕事以外の活動で行う
  5. キャリア資産がある程度貯まると、自動運転モードになる
  6. 自動運転モードになると、キャリアが停滞しにくくなる
  7. 自動運転モードは、ライフステージの変化によるリスクヘッジになる
  8. 時間と健康の資産がある若いうちにキャリア資産に投資した方が安心できる
  9. ライフワークミックスの考え方で、楽しみながらキャリア資産を作ろう

キャリア資産とは?

キャリアの話に正解はありません。大切にしている価値観も、望むライフスタイルも、これまで歩んできた人生も、将来の夢も、人それぞれ異なるからです。

一方で、キャリア形成におけるある種の法則のようなものは、確かに存在します。それを知っていることで、キャリアが劇的には変わらなくても、少しだけ有利に働くことがあります。ここで紹介する考え方もその一つです。

ベストセラー『LIFE SHIFT』では、100年時代の人生設計には、お金に換算できない見えない3つの資産が必要だと述べられています。それが「生産性資産」「活力資産」「変身資産」です。

この話をキャリアに応用したのが、この記事でご紹介する「キャリア資産」です。

4つのキャリア資産

キャリア資産は「金融資産」「ナレッジ資産」「コミュニティ資産」「評価資産」の4つで構成されています。これらを「資産」と命名しているのは、蓄積したり、運用したりが可能だからです。

キャリア資産を豊富に保有していると、自分の意志でキャリアを選択しやすくなります。逆にキャリア資産が乏しいと、重要な局面で十分な選択肢が得られなくなったりします。

4つのキャリア資産は、お互い独立した存在で、優先順位があるわけではありません。ただし相互依存はしており、どれかを高めればどれかも高まり、あるいはどれかを高めたいならどれかも高めないといけない、という関係にあります。そのため一つに集中するのではなくバランスよく増やしていくのが理想です。それがリスク分散にも繋がります。

それぞれのキャリア資産について、もう少し詳しく解説しましょう。

1:金融資産

経済用語としての金融資産には、株式や債券なども含まれますが、キャリア資産における金融資産とは、ほぼ現金のことを指します。貯金と言い換えてもいいでしょう。

「キャリアにお金?」と疑問に思う人がいるかもしれませんが、貯金がない状態での転職活動を想像してみてください。まず、時間をかけてじっくり会社を選ぶことができません。納得できる仕事が見つからなくても、生活のために一旦転職しなければいけなくなります。

また貯金がないと、転職の最低条件が「年収維持」になります。しかし年収維持がマストの転職活動は選択肢が狭くなりがちです。仮にやりたい仕事が見つかっても、年収維持が制約となって選択できないことが起こります。

私の経験でいえば、新卒入社した社員1万人の会社を辞めて、社員10人の会社の未経験デザイナーに転職する時、年収が約半分になりました。しかしこれは予想できたことだったので、それに備えて200万円ほどの貯金をし、切り詰めた生活ができるよう消費スタイルも変えていきました。もしも貯金がなければ、28歳で大企業の営業から零細企業のデザイナーに転職するという決断はできなかったかもしれません。

お金があると、お金に縛られない決断ができるようになります。キャリアの選択肢を増やし、やりがいを優先した選択を可能にします。一生遊べるほどの大金は必要ありません。数か月間無収入でも困らない程度の貯金があるだけで、キャリア選択の難易度はかなり下がります。

2:ナレッジ資産

ナレッジ資産とは、知識、経験、ノウハウのことです。ナレッジ資産がキャリアに影響することは、金融資産よりも直感的にご理解いただけるでしょう。

ナレッジ資産は、他のキャリア資産以上にキャリアに直接的に働きます。金融資産がキャリアにおける「守りの資産」なら、ナレッジ資産はキャリアにおける「攻めの資産」とも言えます。

企業の選考では、ナレッジ資産の質と量がまず判断されます。書類選考でよく落とされるという人は、経験に見合ったナレッジ資産を証明する情報が、書類の中に乏しいからかもしれません。

公認会計士や宅建といった国家資格、MBAなどの学位も、ナレッジ資産を証明する要素になり得ます。圧倒的な専門知識を持っていれば、関連する領域の企業からは引く手あまたの存在にもなれるはずです。

もちろん、専門的な領域だけでなく、マネジメントやコミュニケーションといった抽象度の高い(汎用性の高い)知識や経験も、ナレッジ資産になりえます。また、知識の種類が豊富だと、例えば「マーケティングに強いデザイナー」といったような、軸をズラしたキャリアの選択が可能になります。このようにナレッジ資産には、「深さ」だけでなく「広さ」という視点もあるのです。

キャリアが進むにつれてナレッジ資産の獲得を止めてしまう人がいますが、これは非常に危険です。ナレッジ資産の乏しさは、キャリアにおける最大のリスクになります。ナレッジ資産は何もしてないと徐々に目減りするため、ナレッジを獲得、あるいは更新する活動を長期間止めてしまうと、気付いた時には時代の流れについていけず、キャリアの選択肢を失う、ということが起こりえます。

どんな仕事であっても働く以上は、ナレッジ資産を獲得し続ける、つまり「学び続ける」ことが不可欠なわけです。

3:コミュニティ資産

コミュニティ資産とは、人脈、ネットワーク、人との繋がりのことです。

コミュニティ資産がない状態で転職しようとすると、基本的には転職サイトや転職エージェントに頼ることになります。

しかし、転職サイトや転職エージェントからの採用には紹介報酬が発生するため(年収の30~40%が相場)、企業側の選考ハードルは上がります。また、転職サイトや転職エージェントに情報を掲載していない企業へのアプローチはほぼ不可能になり、企業側が発信する情報に頼る受け身の転職活動になりがちです。

コミュニティ資産があれば、この選択肢が広がります。あなたの性格や能力をよく理解した知人が、「一緒に働かないか?」「この会社はどう?」と誘ったり勧めてくれたりする可能性が生まれます。

先日もある知人が、SNSのグループメッセージで「会社を辞めることにしました」と発言したところ、「うちに来ないですか?」「それならこの会社ならどうですか?」といったやり取りが発生しました。これがコミュニティ資産を持っているメリットです。

コミュニティ資産を保有していることは、転職先の選択肢を増やすだけでなく、自分に合った仕事と出会う確率を高めます。社員からの紹介による採用はリファラル採用と呼ばれ、ミスマッチを防ぎやすく、採用コストが抑えられることから、近年は多くの企業が積極的に取り組んでいます。コミュニティ資産が豊富だと、このリファラルに乗りやすくなるわけです。

さらにいえば、年齢が上がるほど、キャリア形成にコミュニティ資産が影響します。35歳を超えるあたりから、一般的な転職サイトや転職エージェントでは、対象となる求人の母数が減っていき、マネージャー候補の採用が多くなります。年収も高額になるため、企業側としてはリスクを避けたい思いが強くなり、ヘッドハンティングかリファラルに頼る傾向にあります。

若い頃の転職ではコミュニティ資産がなくても何とかなる面が強いです。ただ、コミュニティ資産の形成には時間がかかる傾向にあるため、若い頃から意識的に活動を始めておきたいところです。

4:評価資産

評価資産とは、自分に対する評価のことです。コミュニティ資産と似ているように思うかもしれませんが、コミュニティ資産が「認知度」とすれば、評価資産は「好意度」であるといえます。

例えコミュニティ資産が豊富でも、そのコミュニティの中での評価が低ければ、コミュニティ資産は有効に働かないでしょう。逆にコミュニティ資産が乏しくても、一部で高い評価を得ていることで、キャリアがスムーズに上向くこともあるでしょう。

評価資産は、会社の中で実績を上げるだけでも増えていきます。ただ、会社の中で獲得した評価資産は、会社の中でしか通用しないことも多いです。そのため、会社の中で獲得した評価資産を、会社の外でも使えるように「換金」する必要があります。その一つの手段が、SNSやブログなどを活用した情報発信であったり、イベントに登壇したり書籍を書いたりといった社外に向けての活動です。

例えば、ある人はJavaScriptについて社内で最も詳しく、いつも同僚から頼られています。会社の中では高く評価されていますが、そのエピソードを面接で話しても、相手がありのまま信じて、同じように評価してくれるとは限りません。

一方である人は、JavaScriptに関するTIPSを頻繁にQiitaアップし、多くの人からシェアされています。この評価は社内社外問わず、誰もがわかる疑いようのない事実です。後者の方が評価資産の資産価値がより高く、転職活動で有利になるというのは、自然にご理解いただけるでしょう。

もちろん、会社から求められる成果をしっかり上げたり、周囲に丁寧に気を配ったりすることで、社内で高く評価されるというのは、とても大切です。日常的な評価の土台なく、脚色された外部評価だけで強い評価資産を形成しても、それはそれで問題を生じます。(デキる人だと思って採用したけど一緒に仕事がしにくい人だった、など)

キャリアを本質的に見れば、足元の評価資産をしっかり積み上げることの重要性は疑う余地はありません。ただ、それにプラスアルファで、外部の人からの評価も高まるような活動を続けていくと、評価資産にレバレッジがかかるようになります。

キャリア資産の資産運用

4つのキャリア資産は、真面目に働いているだけでも、それなりには貯まっていきます。ただし、より意図的に効果的に増やそうと思うなら、そのための工夫、つまり「資産運用」が必要になってきます。

資産運用と聞くと、金融資産のことをまず思い浮かべるでしょう。実は理屈はまったく同じです。

お金は銀行に貯金しているだけでも、自然と増えていきます。ただし、普通預金の金利が2022年3月現在は年利0.001%と、その増え方は極めて微妙です。100万円を1年間預けても10円、1億円を1年間預けても1000円しか増えません。だからより効果的な資産運用の手段として、個別株や投資信託、国債、不動産、オルタナティブなどに投資を行います。

ナレッジ資産、コミュニティ資産、評価資産についても、これと同様のことが言えます。

会社で仕事をしながらでも、キャリア資産は自然と増えていきます。しかし働く環境や職種によっては、仕事だけでは増加スピードが遅かったり、社外では通用しなかったりなど、自分が望むキャリアを歩むほどには、増えないことも多いです。

そこで、仕事の中で獲得したキャリア資産を活かして、仕事以外の活動で意図的に効果的に増やしていく。これがキャリア資産における資産運用の考え方です。

資産運用と言われると「リスクがある」と警戒心を抱くかもしれません。

確かに金融資産の資産運用は、元本割れ(元手となるお金より減ってしまうこと)のリスクが常にあります。キャリア資産の資産運用も同様に、活動が実らないことによって、時間的投資、心理的投資、そして活動や学習のために投じた経済的投資を回収できないリスクがあります。

ただし、キャリア資産は基本的に、何もしていないと徐々に減っていく特性があるため、資産運用をしないことで何かを失うリスクと、資産運用をして何かを失うリスクとを天秤に掛けると、中長期的に見れば、前者のリスクの方が高いのではないでしょうか。

余談ですが、金融資産においても、資産運用をせず銀行口座に預けておくだけでも、インフレなどで価値を下げてしまうリスクがあります。一方でデイトレードのような短期運用ではなく、優良ファンドに15年以上預けるような長期運用を行うと、元本割れリスクをほぼゼロに近づけることができたりします。

つまり、「適切に運用すれば」という条件付きではありますが、何もしないよりは資産運用をした方がリスクを回避できるというのは、金融資産だけでなく、他のキャリア資産でも共通するというわけです。

それではここからは、金融資産を除いた、ナレッジ資産、コミュニティ資産、評価資産の、私なりに考える運用方法をお伝えしましょう。

ナレッジ資産の運用

仕事以外でナレッジ資産を増やす方法は、想像がつきやすいでしょう。資格を取る、スクールに通う、本を読む、勉強会に参加する、同業者と情報交換するなど、仕事以外で学ぶ機会を増やすことです。

そもそも多くの仕事では、仕事の中だけでは、知識を体系立てて学ぶことが難しいです。なぜなら仕事は教科書通りにはやってこず、いきなり難易度の高い仕事が来たかと思えば、過去にやった仕事が何度もやってきて、学びになる仕事がいつまでも来ない、ということが起こり得ます。

もちろんそれを回避するために手厚い研修制度を用意している企業もありますが、そうした研修制度で教えられるのは基礎であり、ナレッジ資産を増やすことにはさほど貢献しないことが多いのではないでしょうか。だから、仕事以外での学習が重要になります。

もちろん、世の中には油田開発など、プライベートでは学習や実践がしにくい仕事もあります。そういった仕事なら、業務時間内での効果的な学習に集中したほうがいいかもしれません。

しかし、ほとんどの業界・職種では、業務時間以外にも何かしらを勉強する手段があるはずです。もしかしたら油田開発であって、必要な知識領域を分解して捉えれば、何かしら勉強する分野はあるかもしれません。

特にデザイナーやエンジニアなどのクリエイター系の職種は、プライベートでも実践しやすいため、自主的に学習している人がたくさんいます。このような職業において、「プライベートでは仕事への投資は一切しません」というスタイルだと、ライバルたちと比較して相対的にナレッジ資産の価値が高まらず、むしろ落ちていくことが起こり得ます。

また、プライベートで得た知識は、足し算のように積み重なるだけではありません。仕事の中での学びとのシナジーが生まれ、指数関数的にナレッジ資産が溜まる、あるいはナレッジ資産の価値が上がる、ということが起こります。

このように「仕事の経験」×「仕事外で得た知識」の掛け算を継続的に行なっていくことで、ナレッジ資産を効果的に増やすことが可能になります。

コミュニティ資産の運用

コミュニティ資産の資産運用においては、「いかに外部との交流を増やすか」が主なテーマになります。

営業職や人材紹介業など、もともと社外の人と会う機会が多い職種なら、普通に会社で働いているだけで、ある程度のコミュニティ資産を形成できるかもしれません。

一方で、デザイナーやエンジニアのようなデスクワーク型の職業は、一人で黙々と作業する時間も多く、コミュニケーションを取る相手も社内の人に限られがちです。そのため、意図的に外部との交流を増やさないと、何年も働いているのにコミュニティ資産がほとんどない、という状態に陥ってしまいます。

「コミュニティ資産を運用する」と構えると堅苦しくなってしまうかもしれませんが、まずはSNSで気になる同業者をフォローしたり、勉強会やオンラインサロンなど何らかのコミュニティに参加する、ということから始めるでもいいでしょう。その中で居心地がいいコミュニティが見つかると、そこをキッカケにコミュニティ資産がアメーバ状に拡大していく可能性があります。

なお、オンライン上の活動だけだと、コミュニティ資産の「量」は増やせても、「強度」は増えない可能性もあります。その意味では、今も昔も「リアル」は非常に重要です。仕事で知り合った人とも積極的に食事などに行くと、コミュニティ資産はより強くなる可能性があります。今はSNS上でフォローしあってるだけの人にも、「よかったらウチの会社で一緒に働かないか?」という誘いが来る時代ですが、その確率と精度をより高めるために、SNS上で仲良くなった人とリアルで会ってみるのもいいでしょう。

また、業界によるかもしれませんが、バーやサロンなどが、業界内のコミュニティを拡げる場になっていることがあります。IT業界やマーケティング支援業界では、こうしたリアルのコミュニティがいくつか存在します。SNSと比べて情報が入ってきにくく、発見の難易度がやや高いですが、SNSが苦手な人はこうした場を活用してもいいでしょう。

評価資産の運用

評価資産の運用方法の基本は、コミュニティ資産と同じく、外部への働きかけです。ただ、コミュニティ資産が人間関係を作っていくような働きかけであるのに対して、評価資産は良質なコンテンツを情報発信していくような働きかけになります。

仕事の中で成果を出していけば、あなたの評価は自然と高まっていくでしょう。その評判が自然と社外にも伝わるような人もいます。著名な企業でCxOまで上り詰めれば、対外的な活動をしていなくても、強い評価資産を形成することができます。

また、書籍を出版している、イベントによく登壇している人は、専門家としての高い評価資産になります。何らかの受賞歴なども同様に、評価資産として高い価値を持ちます。

とはいえ、こうした状態に一足飛びで駆け上がるのは難しいでしょう。書籍の出版やイベント登壇といった機会は、それなりに評価資産がある人でなければ得られません。

そのため、評価資産が十分ではない最初の段階では、まずブログやSNSなどの情報発信が現実的な選択肢になります。自分の専門分野に関するノウハウや経験談を、コツコツとブログやTwitterで発信していくのです。情報が有益なものであれば、だんだん社外にもその評価が広がっていくはずです。やがて、書籍の出版やイベント登壇など、評価資産を大きく増加させるチャンスが巡ってくるようになるでしょう。

このように、まずは自分の手でできる小さなことから始めていくというのが、評価資産における資産運用の第一歩ではないかと思います。

キャリアの自動運転モード

資産運用の世界ではここ数年トレンドワードになっている、FIRE(Financial Independence,Retire Early)という言葉をご存知でしょうか?日本語に直訳すると「経済的自立による早期退職」という意味になります。

例えば資産を1億円まで貯めて、それを年利平均5%で運用すれば、あとは働かなくても毎年500万円の収入が自動的に入ってきます。2億円貯めれば毎年平均1000万円が入ってくるようになります。

特別高収入でなくても節約と複利の力で若いうちに大きな資産を形成し、経済的に自立し、早期退職してあとは悠々自適に生きていく。これがFIREの基本的な考え方です。また完全には引退せず、副業などの好きな仕事で一定の収入を得続けることを、サイドFIREといったりもします。

実はこのように、ある一定以上の資産を形成すると、あとは自動運転で勝手に増えていく状態が作れるというのは、金融資産だけでなく、その他のキャリア資産でも起こり得ます。これを私は「キャリアの自動運転モード」と呼んでいます。

初心者がナレッジ資産を蓄積するには、仕事以外にまとまった時間を確保してインプットやトレーニングをしないと難しいでしょう。

しかし、ある程度以上のナレッジ資産を持っていると、ニュースを読んだり人の話を聞いたりしただけで、蓄積したナレッジ資産と組み合わせて、新たな資産を生み出すことができるようになります。

ある事柄から他の事柄との類似性を導き出して仮説を生み出す思考をアナロジー思考といいますが、豊富なナレッジ資産があれば、日常生活の中で見聞きしたことをアナロジー思考で考えて、新たなナレッジを獲得することができます。

コミュニティ資産も同様に、ある程度の人脈ができると、知り合いが知り合いを呼んで勝手に交友関係を広げてくれます。私もTwitterでフォロワーが3万を超えたあたりから、自分からは何もしなくても周囲がいい人を紹介してくれるサイクルに入りました。

評価資産も同じです。高い評価資産を持っている人は、そのことが口コミで広がり、何をしても好意的に受け取られ、評価を高めていく現象が起こります。登壇の依頼、書籍執筆の依頼など、評価資産を高めるイベントが続々と発生していきます。もちろん、実態以上の高評価は危険ですし、評価資産が高まると一定の批判者も増える傾向にあります。しかしそのことを差し引いても、評価資産をある程度以上獲得すると、高評価のサイクルが回る現象が起こります。

このように自動運転モードに入ると、プライベートを投資するような意図的な資産運用をしなくても、自然とキャリアが上向く状態になっていきます。

ライフイベントへの備え

自動運転モードの一番の価値は、突発的に発生するライフイベントのリスクヘッジになることです。

年齢を重ねていくと、出産、育児、家族の介護、自身の病気などのライフイベントで、ライフステージに変化が起こります。そのライフステージの状態によっては、キャリア資産の資産運用ができなくなることがあります。

子供が生まれてまだ幼いのに、家庭を放り出して頻繁に食事に出かけたり勉強会に行ったりはなかなかできません。また、自分や家族が病気になったり、介護をすることになったりすると、普通はプライベートで勉強するような気持ちにならないでしょう。

それでも、現実社会は個人の事情はお構いなしに進行し、変化していきます。そのため、それぞれのキャリア資産は徐々に減っていきます。

しかしながら、自動運転モードに入っている人なら、こういう時に特別な活動をしなくても、キャリア資産を維持あるいは増加させることができます。

ナレッジ資産が十分に獲得できている人なら、子育てをしながら少し本を読んだり、時短勤務の中で最低限の仕事の会話をしたり、スマホで軽くニュース記事を読むだけでも、過去の知識とつなぎ合わせて、新しい知識にすることができます。

コミュニティ資産に関しても、ある程度の関係ができていれば、一時的にSNSだけのやりとりになったところで、簡単に縁が切れることはないはずです。むしろ、あなたが休んでいる間に、「落ち着いたら会いたい」と思ってくれる人が増え続けるかもしれません。

評価資産もまた、自動運転モードに入っていれば、評価が評価を呼び、あなたが活動を停止してても評価が高まることが起こり得ます。

このように、キャリアの自動運転モードは、ライフステージの変化によって仕事に投資ができない状態が起こることに対する、かなり有効なリスクヘッジになります。

人生は予測できないことの連続です。だからこそ、できるだけ若いうちにキャリア資産をある程度まで貯めきってしまい、自動運転モードに入っておくことで、キャリア上の不安を減らすことができるようになります。

ライフとワークを分けない考え方

ここまで、「キャリア資産を資産運用するためには時間を投資すべき」という話をずっと書いてきました。しかし、「私生活にまで仕事を持ち込みたくない」と考える人も、当然いるでしょう。

もちろん幸せの基準は人によって違いますから、それも人生における一つの選択です。ただし、キャリアの選択肢を増やすという観点でいえば、その考え方はハンディを背負うことにはなるでしょう。

仕事と私生活を完全に切り分けていた人が、30台後半や40台になって会社の中で評価を落としていったり、望まない転職をしたりといったケースを、しばしば目撃してきました。こうしたリスクは、どうしても高まってしまいます。

20代などの若い頃は、ほぼすべてのキャリア資産が少ない状態です。でも、若い人の方が持っている資産もあります。それが「時間」と「健康」です。時間と健康が十分にある若いうちに、できるだけキャリア資産に投資していくことは、結果的に自分の仕事や収入を将来に渡って安定させて、不安なく生きる確率を高めることになります。

とはいえ、こうしたことを頭で理解できても、「私生活にまで仕事を持ち込みたくない」という人にとっては、自主的な勉強や外部との交流を義務感や不安感で続けるのは難しいでしょう。

そこで私は、ライフワークミックスという考え方をオススメしています。プライベートを楽しみながら、それ自体がキャリア資産に繋げていくような考え方です。

たとえば、ウェブデザイナーが自分の趣味に関するウェブサイトを作ってみたり、エンジニアが家族との情報共有に必要なことをアプリにしたり、ライターが好きな本の読書記録やエッセイを書いてみたり、といった活動をすることでも、ナレッジ資産は溜まっていきます。また、仕事を通じて知り合った人と、家族や知人を交えてキャンプやサウナなどの同じ趣味に興じることで、コミュニティ資産が拡がるかもしれません。

プライベートと仕事が重なって楽しめる領域は、人によって異なります。そのため「これをすればいい」とは一概には言えませんが、ライフワークミックスが上手な人は、身近な人にも、SNS上にも、沢山いるはずです。こうした人たちをヒントに、自分に合った方法を編み出してみるといいのではないでしょうか。

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