ベイジの2020年の抱負(戦略メモ)

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代表/マーケター/デザイナー/ブロガー枌谷力

新年明けましておめでとうございます。

ベイジは2020年1月6日に創業丸10年を迎えました。これまでベイジを支えてくれたクライアント企業をはじめ、協力いただいた企業の皆様、SNSでベイジを応援してくれた皆様、そして社員、本当にありがとうございました。

といいつつも、何か特別な10周年企画をするつもりはありません。自分たちができることをきちんとコツコツやる、というスタンスはこれまでと同じだからです。2020年も、10周年と気負い過ぎずにやっていこうと思います。

さて、過去2年、年初に前年の総括とその年の抱負をアップしてきました。

こうやって年初に細かく言語化しておくと、年末に具体的な振り返りができるようになりますよね。というわけで今年も、前年の振り返りと今年の抱負をまとめてみました。

マーケティング

この3年間のマーケティング・セールスの結果は、以下のようになっています。

マーケティング&セールス成果

結果からいえば、2019年も好調でした。

問い合わせの総数だけ見ると、2017年をピークに下がっているように見えますが、これは、2018年から2019年3月まで、予算500万円未満の方は問い合わせができないように、制限を設けていたためです。制限をなくして以降は月40~60件の問い合わせが発生するようになりました。年初から制限がなければ、おそらく年420~450件くらいのお問い合わせ数になっていたでしょう。

また、顧客化のボーダーラインといえる予算500万円以上の問い合わせに絞ると、2019年は190件と、2018年から230%の増加です。1000万円超の案件も40件に達しました。

そんなマーケティングは、2019年は以下のような目標を立てていました。

  1. コーポレートサイト改善(20%)
  2. ホワイトペーパーの充実(50%)
  3. 自社セミナー開催(100%)
  4. 自社マーケティングツール開発(0%)

実践できたのは3のみ、1と2は一部着手し、4は未着手でした。つまり、マーケティング面では取り立てて新しいことを何もしなかったが好調だった、というのが2019年です。

この好調が続くと予想される今年は、現状に甘んじず、以下に取り組みたいと思います。

  1. コーポレートサイトリニューアル
  2. ホワイトペーパーの追加(計4つ)
  3. BtoBイベントの開催(年4回)
  4. ビジュアルアイデンティティの刷新

4についてですが、今年はベイジのロゴやコーポレートカラーを変えます。現在のベイジに合い、次の10年の顔となるビジュアルに刷新しようと思っています。とともに、BtoB企業におけるブランディング(というかビジュアルアイデンティティ)のモデルケースにしたいとも思っています。個人的にはこれが今年一番楽しみな取り組みです。

セールス

再び、直近3年間のマーケティング・セールスの結果を再掲します。

マーケティング&セールス成果

好調なマーケティングに対し、セールスは停滞していました。商談数は伸び悩み。成約数は低下傾向にあります。しかしこれは、セールスの問題ではなく、組織側の問題です。

案件規模が大きくなり、既存顧客を引き続き支援する機会も増える中で、取引できる新規案件の数が減ってきており、それが成約数の減少に表れています。

ポジティブに捉えれば、既存顧客率が上がって安定した、ベイジはますます仕事を依頼するのが難しい会社になった、といえます。しかし別の見方をすれば、売上げを伸ばす余地があるのに、その機会を逸しているともいえます。

問い合わせを上手に案件化できれば、ベイジの売上は10~20億円規模になりますが、実際そうはなっていません。売上は前年度比で25%アップしましたが、組織の問題から、25%しかアップできないのです。マーケティング力ばかりが突出し、組織の受け皿が追い付いてない、という経営課題がより顕著になった一年でした。

つまりベイジという会社は、いくらマーケティングやセールスを強化しても、組織の問題(主に規模の問題)を解決しなければ、数字になって返ってこない状態になっているということです。

ともあれ、そんなセールスは、2019年は以下のような目標を立てました。

  1. セールス関連資料の整備(50%)
  2. セールスOJTの継続(100%)
  3. ディレクター以外の同行(0%)
  4. インサイドセールスの洗練化(100%)
  5. Salesforceの活用(100%)

3を除いてはほとんど実施できました。

2019年はセールスを兼務できるメンバーが4名に増え、私が絡まずに受注できる案件も出てくるようになりました。2017年ごろのセールスは私一人に依存している状態でしたが、2020年中にはそれもかなり解消されそうです。セールスから私が外れていくことで、私が本来やるべき仕事に割り当てる時間が増えます。これは会社にとっては良い方向に働くでしょう。

そんな2020年のセールスは、以下を目標にしようと思います。

  1. 枌谷が絡まない受注を5割以上
  2. セールス人員の教育(継続)
  3. セールスの効率化

セールスで成果を出すには、サービスや組織、採用のテコ入れが不可欠な状況です。そのため、2020年のセールス関連の新しい取り組みは控えめなものになるでしょう。

情報発信

社外への露出を強化した2018年に対して、より一層強化したのが2019年でした。主な成果は以下の通りです。

情報発信成果

イベント登壇も取材も2019年は増加しました。ただ2020年は、依頼がある程度一巡して数が減ると見込んでいます。

Twitterについては、私のフォロワーが増加した以外に、Twitter道場という取り組みをはじめ、社員の露出を高めようと試みました。

また、2019年10月にはオウンドメディア『knowledge / baigie』を公開しました。

バズる可能性が高い記事を仕込んでおいたおかげで立ち上がりは順調で、1カ月で8万PVに到達しました。その後はバズりにくい記事が続き、月間4万PVほどに落ち付きましたが、2020年もこのオウンドメディアを情報発信の中心にしていきます。

ベイジを代表するもう一つのオウンドメディア「ベイジの日報」も、2019年は運営方法を変えました。

2018年までは質を重視して細かく事前チェックする運営方針でしたが、2019年は量を重視し、事前チェックを入れず、本人の判断で公開する方式に変更しました。その結果、投稿数も流入数も大きく伸びました。

また、ベイジの認知度を示すコーポレートサイトに関する参考指標も、全般的に2018年をさらに上回っています。

情報発信がどの程度の成果を生み出しているのかを、数字で完全に追うことはできませんが、前述したマーケティングの好調さ、そして後述する採用エントリーの急増なども含めて、総じて、2019年の情報発信はうまくいっていたと考えています。

一方、うまくいかなかったのがエンジニアの露出です。

ベイジのエンジニア(主にフロントエンドエンジニア)は若いながら優秀なスタッフが揃っているのですが、情報発信が積極的でなく、その影響が採用にも表れています。このあたりはオウンドメディアを中心に引き続き強化していきたいところです。

そんなわけで、2019年情報発信関連では以下のような目標を立てました。

  1. スタッフブログ開設(100%)
  2. 日報サイトの運営方針変更(100%)
  3. 自社イベントの開催(100%)
  4. SNS活用(100%)
  5. 広報ライターの採用(50%)

これらはほぼ達成しました。この状況を受けて、2020年の情報発信は以下を目標にしようと思います。

  1. knowledge / baigie累計記事100本達成
  2. knowledge / baigie年間100万PV達成
  3. エンジニアのブログ記事10本公開
  4. 日報を年間100本アップ(昨年は72本)
  5. 自社イベントの開催(全4回)
  6. Twitterで5,000フォロワー以上の社員を5名誕生
  7. YoutubeやSpotifyなどの新しい情報発信手段の開拓

情報発信は私たちの会社の土台となる活動であるため、2020年も引き続き、ネット上での存在感を高めていこうと考えています。

サービス

私たちの事業の中核は、web制作という提供サービスの質です。いかにSNSを駆使して注目を集めても、サービスの質が低ければ、すべて無になります。サービスの質は、事業の根幹を支える、最も大切な要素です。

2019年は、2つのポジティブな動きがありました。一つは、サイルさん、WACULさんとともに共同制作した『BtoBサイト・チェックリスト』です。

主に私が蓄積していたBtoBサイトの成功パターンを言語化したのが、『BtoBサイト・チェックリスト』でした。これによって、特に設計の質を均一化することにある程度成功しました。

もう一つは、ここ数年停滞していた業務システムUX/UIについて、専任メンバーの採用でサービスが一気に形になりました。2020年は売上の3分の1がこの分野になる見込みで、一気に会社の柱にしていこうと考えています。

ただ、このような良い動きはあったものの、全体的には比較的硬直した一年でした。2019年に立てた計画も、ほとんどが中途半端に終わりました。

  1. 戦略フェーズの再編成(30%)
  2. 業務システムUX/UIのサービス体系の見直し(100%)
  3. 小さなコンサルティングサービスの開始(30%)
  4. ワークフロー改善の継続(10%)
  5. ドキュメントの刷新(10%)
  6. プロジェクトマネジメントの啓蒙(10%)

今、特に問題と感じているのが、4のワークフローです。

2018年に刷新したワークフローのおかげで、確かにプロジェクト中の大きなトラブルはほぼなくなりました。

しかしながら、2019年は秋に4サイトのリリースが重なり、かなり危なっかしい進行を経験しました。まだ改善の余地があり、さらに洗練させなければと痛感しました。

ただ、ひたすらチェックシートを作ってトラブルの種を潰すようなワークフロー改善は望んでいません。スピードと生産性を失い、最終的には価格競争力も失うからです。

そもそも、2019年秋の危なっかしさは、春夏の遅延で起きた一面もあります。リスクばかりに目を向け、安易な対策を講じ、スピードを失うと、計画通りに行かなかったときに裏目に出ます。

そこで2020年は、ワークフローの改善を一番の目標として打ち立てていますが、質を上げながら、作業量を25%削減することに取り組みます。

そんなことも含めて、2020年は以下の取り組みを考えています。

  1. ワークフローの大幅改善と25%圧縮
  2. 業務システムUX/UI用のワークフロー整備
  3. 採用サイト・チェックリスト作成
  4. ベイジ・デザインシステムの整備
  5. プロジェクトマネジメントの啓蒙と洗練

採用

採用に関して、2019年は成果がかなり出ました。

1年間で6人の採用は、創業以来最大です。念願だったライター職の採用も成功しました。(新卒で4月に入社予定)

応募数自体も順調でした。自社採用サイトだけで、年間70件のエントリーがありました。2018年(14件)、2017年(20件)と比べても大幅な増加です。これもまた、情報発信のおかげと考えています。

そんな2019年の目標は、以下のような状況でした。

  1. インバウンド採用の積極化(100%)
  2. 採用サイトの改修(100%)
  3. 自社採用イベントの開催(100%)
  4. 採用プロセスの刷新(0%)
  5. 外部交流会への積極参加(0%)
  6. Twitterの有効活用(100%)
  7. 採用向け情報発信の継続(100%)

組織力を作らなければ、マーケティングやセールスも伸びないという当社の特性から、採用に関しては、今年も引き続き力を入れていく予定です。

ただ、闇雲に増やすことはせず、今現在特にほしい経験者のエンジニア、デザイナー、ディレクターの採用にピンポイントで効く施策を進めていきます。

  1. 経験者デザイナーとのランチ(10回以上)
  2. 採用イベントの引き続き開催(2回以上)
  3. 交流会のあるイベントへの参加(月1回)
  4. SNS採用の積極化
  5. 採用スライドの作成
  6. 採用サイトリニューアルの下準備

組織

職場環境や社内制度に関しては、2019年は以下のような目標を設定しました。

  1. スタッフブログの開設(100%)
  2. デザインドリルの作成(100%)
  3. デザインポリシーの作成(100%)
  4. エンジニアポリシーの作成(0%)
  5. 評価制度の見直し(100%)

4のエンジニアポリシーを除き、ほぼ実施できました。

ただ、2019年の組織的なテーマは「自然に学習する組織」でしたが、それについては十分でなかったと感じています。『knowledge / baigie』など新しい取り組みも始まりましたが、社内Wikiや社内勉強会など、改善の余地がある取り組みも多いです。

2020年は「自然に学習する組織」を引き続き目指しますが、今年はそれも含めた、「生産性の高い組織」を目指したいと考えています。

ベイジはまだ17人程度の会社ですが、そんな小さな会社でも既に、無駄な仕事や疑問を感じず定型化しているルールが随所にあります。ワークフローの見直しもそうですが、会社の規模を2021年以降にもう一段大きくするうえで、2020年はぜい肉をそぎ落とす年にしたいです。

そんな2020年の目標は、以下のように考えています。

  1. 生産性・業務効率に関する啓蒙
  2. 効果の薄い社内ルールの削減(10個以上)
  3. 効果の薄い社内ルールの改善(10個以上)
  4. ナレッジ共有方法の見直し・促進
  5. 社長と社員とのコミュニケーション強化(ランチなど)
  6. 他社を交えた勉強会(2~3回)

新しい取り組み

昨年の抱負で書いた、自社サービスは6月ごろまで進んでいたのですが、その後繁忙期に突入し、止まってしまいました。

企画自体はとても気に入っており、できれば再開したいと思いつつも、組織なり資金力なりをもう少し蓄える必要があるな、とも思っています。

その自社サービスは来年まで一旦置いておいて、今年は、今の業務の横展開ですぐ始められる新しい取り組みを計画しています。

  1. ベイジ集中講座(仮)
  2. BtoBサイト・パッケージ(仮)
  3. ミニ・コンサルティング
  4. Twitter道場のサービス化
  5. ベイジ公式サロン(仮)
  6. 10周年社員旅行

1の「ベイジ集中講座」とは、戦略、リサーチ、デザイン、ディレクション、組織作り、自社のマーケティング・採用といったテーマで、1回4時間、全5回、1社50万円、20社限定、1社につき3人まで参加可能、懇親会付きの講座です。

ベイジが実務で使っている資料やテンプレートを大放出する予定で、50万円の元は仕事の中ですぐ取れる講座を考えています。2月上旬には募集開始予定で、既に以下の日程で渋谷の会場を抑えています。

1日目:4/8(水)
2日目:4/22(水)
3日目:5/13(水)
4日目:5/27(水)
5日目:6/10(水)

2の「BtoBサイト・パッケージ」は、『BtoBサイト・チェックリスト』を完全再現したWordPress組み込み済のパッケージを100万円で販売するような取り組みです。コンテンツさえあれば、すぐに理想のBtoBサイトが作れます。サポートを必要とする企業用に、「web戦略スプリント」や「コンテンツ制作支援」をオプションで提供しようとも考えています。おそらく年後半からの取り組みになるでしょう。

3の「ミニ・コンサルティング」は、ベイジでは取引できない小さな会社をサポートするための規模の小さなコンサルサービスです。bosyuとTwitterを使って告知するイメージを考えていますが、会社名義ではなく、個人名義で行うかもしれません。

4の「Twitter道場のサービス化」は、ナイルさん実施しているTwitter道場の取り組みをある程度「型化」して、サービス化したいと考えています。自社だけでなく、ソーシャルメディアに強い会社と組んでやれればいいな、とも思っています。

5の「ベイジ公式サロン」は、ベイジのノウハウを提供する月額課金のサロンです。ただ普通のオンラインサロンにはあまりしたくなくて、具体的な運用方法は要検討です。

6の「10周年社員旅行」について、実は今まで社員旅行をしたことがありません。すべての社員が喜ぶわけではないと思っていたからですが、「社員旅行がしたい」という社員も何人かいたりします。

ベイジという会社は、私から見ても、比較的仲が良く、人間関係が良好に映ります。そしておそらくこういう円満な中で、全社員が一緒に旅行をするのは、人数的に今年か来年が最後の機会であるようにも思います。

というわけで、社員がおおむね賛成するようであれば、社員旅行を今年はやってもいいかなと思うようになりました。

というわけで、本当にこんなにたくさんの新しい取り組みができるのかという気もしますが、少なくとも半分は実施したいと思っています。

さいごに

ベイジの、というか私の経営には基本パターンがあります。それは、大きな変化が多い「挑戦の年」と、取り組みを洗練させる「足場固めの年」を、交互に組み合わせるということです。

2017年は挑戦の年でした。2018年は足場固めの年でした。昨年、2019年は挑戦の年でした。そして今年2020年は当然、足場固めの年です。

2020年の目標の中には、新しい取り組みも含まれていますが、基本は、昨年の取り組みを磨き込むことです。そのため、皆さんが驚くような変化はあまり起こらないと思いますが、今年も、ベイジという会社の取り組みや情報発信を、楽しみながら眺めてもらえると嬉しいです。

というわけで、2020年もどうぞよろしくお願いします。

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私たちは「人生100年時代を生き抜く強い人材を育てる」を人材育成のテーマとしているweb制作会社です。

普遍的なスキルが獲得できる環境を作るためにマーケティングに力を入れ、情報発信を積極的に行い、ワークフロー化を推し進めています。

現在は、マーケター、デザイナー、ディレクター、エンジニア、ライターといったすべての職種を募集しています。ご興味がある方は、以下の採用サイトをご覧ください。

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