会社紹介

ミッション

執筆 枌谷 力
代表取締役
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16

ベイジは、2022年のリブランディングにおいて、ミッション、ビジョン、バリュー、タグライン、7つの行動原則、そしてロゴを含むビジュアルアイデンティティを、新たに策定しました。

One Mission
顧客の成功

One Value
Make Success

One Vision
顧客の成功に向き合い続ける

One Tagline
顧客の成功を共に考えるウェブ制作会社

Seven Principles

  1. カスタマーサクセス(顧客成功起点で考える)
  2. ユーザーファースト(ユーザーに持続的な便益を与える)
  3. リーダーシップ(常に率先して半歩先を行く)
  4. ベストエフォート(期待を超えるためにベストを尽くす)
  5. ホスピタリティ(びっくりするくらい気を利かせる)
  6. フェアネス(正直・率直・実直・愚直・素直を美徳とする)
  7. セルフラーニング(自ら学習し、自ら考え、自ら成長する)

こうした企業理念の類は、ウェブサイト上では言葉だけを示し、その意図があまり説明されていないことが多いように思います。しかし、私たちは意図も含めてできるだけ多くの情報を伝えたいと思い、個別にページを作りました。

まず本ページでは、ミッションについて詳しく解説します。

私たちにとってミッションとは?

パーパスやミッションといった「企業の社会的使命」に注目が集まっています。

昨今のパーパスブームの発端は、P&Gやユニリーバといった生活者向けの消費財を提供しているグローバル企業にあると言われています。しかしながら今では、BtoB企業、ローカル企業、小さなスタートアップまでが、パーパスを明確に定義しようと努めています。

パーパスは本当に利益に繋がるのか。パーパスは単なるブームではないか。パーパスがなくても成功してる企業は存在する。そんな意見もしばしば見かけますが、賛否を交えた議論が沸き立つのは、それだけ注目が集まっているからなのでしょう。

2010年にウェブ制作会社として創業したベイジは、「言語化経営」と言えるほどに、様々な価値観や概念を言語化してきました。しかし創業12年を迎える段階においても、パーパスやミッションのようなものは存在しませんでした。

その理由はシンプルで、事業を成長させる上での必然性がなかったからです。また、創業者である私自身に、自然と湧き出る「社会に対して言いたい何か」がなかったからです。

『ハーバードビジネスレビュー』の2022年6月号の特集「パーパス経営」では、「持ってもいない大義を掲げるなかれ」と述べられています。まさに、持ってもいない、自然と湧き出てこないパーパスやミッションに何の意味があろうかと、私自身思っていました。

一転して今回、改めてミッションを定義しようと思ったのは、ここ数年、ミッションの「種」のようなものが、漠然と頭の中に湧き上がってきたからです。30人を超える規模の組織になり、組織を束ねるミッションの必然性も自然と感じられるようにもなりました。

私たちがミッションに求めているのは、対外的なブランディングや顧客獲得ではありません。組織の結束をより一層高めること、その一点に尽きます。だからこそ、以下の2つがミッションの絶対条件であると考えました。

  1. 私も社員も自然と共感できる言葉
  2. 自然と湧き上がる無理がない言葉

繰り返し「自然」という言葉を使っていますが、この「自然」こそ、私たちがミッション作りにおいてもっともこだわったポイントといえます。

※なお、パーパスとミッションは異なるという意見もありますが、私たちはパーパスと名付けるかミッションと名付けるかの議論にあまり意味はないと考えており、以降は特に記述がない箇所を除けば、「ミッション」という呼称に統一しています。

理想のミッションとは

かつての私は、ミッションやパーパスに対するある種の固定観念を持っていました。ミッションやパーパスは、「世界を変える」といったような、多くの人が惚れこむ魅力的でヒロイックな言葉に仕上げないといけないと思っていました。

先に紹介した『ハーバードビジネスレビュー』の「パーパス経営」特集の中では、パーパスは1種類ではなく、以下の3つのタイプがあると解説されています。

①大義型パーパス
目指している社会善(ソーシャルグッド)を言語化したもの(例:パタゴニア「私たちは故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」、テスラ「世界を持続可能なエネルギーへ」)

②コンピタンス型パーパス
自社の商品やサービスの価値を言語化したもの(例:メルセデス・ベンツ「世界に先駆ける」)

③文化型パーパス
社員やパートナーを一致団結させるために言語化したもの(例:ザッポス「WOWを行き、WOWを届ける」)

自社のミッションを決める上で、様々な企業のミッションやパーパスを調べていきましたが、確かに、必ずしも大義型のミッションやパーパスというわけではありませんでした。また、事業を複数抱える大きな企業になると、単一の大義やコンピタンスにまとめることが難しくなり、結果的に文化型になりやすい傾向も見受けられました。

この中でも文化型のミッションやパーパスは、「世界を変える」といった言葉にはなりにくいです。部外者には普通の言葉に見えたりもします。しかし、文化型を目指すのであれば、それでいいのです。

『北欧、暮らしの道具店』を運営するクラシコムさんのミッション「フィットする暮らし、つくろう。」は、文化型の代表例ではないかと思います。また、ミッションではありませんが、デジタルマーケティングの支援を行うMOLTSさんがフィロソフィーとして掲げている「美味い、酒を飲む」も、一致団結を目的とした文化型のワードなのでしょう。いずれも「世界を変える」といったような大胆な言葉ではありません。

私たちが作りたかったのもまさに、文化型のミッションといえる言葉です。結果的に、コンピタンス型の性質も含まれることにはなりましたが、求めていたのは終始一貫しており、社員を一致団結させるための自然な言葉で、世の中の人々の感情を掻き立てるような、刺激的でヒロイックな言葉ではありませんでした。

このミッションを定義する上で、もう1つ意識していた視点があります。それが「組織タイプが外向型か?内向型か?」という視点です。

外向型組織とは、外に向けての影響力を高めたい、自分以外の多くの人にも伝わる大きな結果をもたらしたい、といったことが原動力となりやすい組織です。一方の内向型組織とは、自己実現、自己肯定、自己満足が原動力で、世の中を変える大きな結果かどうかにはあまり関心が向かない組織です。そして、外向型組織には外向型の人が多く、外向型のミッションが共感されやすくなる。内向型組織には内向型の人が多く、内向型のミッションが共感されやすくなる。

実際には、外向型組織を維持するには内向型の動機も必要です。内向型組織の動機を満たすにはある一定外向型になる必要があります。といったように、厳密には両者混在、相互依存の関係にあります。ただし傾向としては、多くの組織は、このいずれかに偏ります。

こうした「外向型/内向型」という組織タイプの観点で言えば、ベイジは明らかに、内向型の人が多い内向型組織だと感じていました。そして内向型組織だからこそ、内向型のミッションの方が響きやすく、「世界を変える」といった言葉を無理に作らなくてもいいと、ある時から肩の力を抜いて考えるようになりました。

ミッションが決まるまで

ミッションやパーパスは、経営や組織の全体が見えていて、将来に向けてのビジョンが明確にある経営者が独断で決めてしまうことも多いでしょう。個人的には、それはそれで合理的な決め方だと思います。

しかし私たちの場合、「社員が自然と共感できる文化型ミッションにする」という前提があったため、社員を含めて協議するスタイルを選択しました。その根底には、今の社員には満足しており、できれば今のこの組織の雰囲気を大切にしながら、今いる皆と一緒に成長していきたい、という私自身の思いもありました。

とはいいつつ、全社員で多数決的に決めてしまうと、1~2年以内に入社した社員が半数を占めることになり、経験が浅いスタッフの現場の力学に流される懸念もあります。そのため、組織作りの全体像が見えていると判断される約10名の社員を選抜した検討チームを新たに作りました。

1回目の議論の冒頭で、私は「○○の世界を変えるみたいなミッションはどう?」と投げかけてみました。これは、内向型ミッションでいいかを確かめる質問です。すぐに「全然刺さりません」と、満場一致で否定的な反応が返ってきました。

そこから、ベイジにいる社員は「世界を変えたい」というより、「身近な人に貢献したい」「目の前にいる人の役に立ちたい」という目線で働いている人が多い。そのことを実感することで、仕事にやりがいを感じ、自己肯定感を得られる。「世界を変える」みたいなミッションを掲げる会社は素直にかっこいいと思えるが、その言葉では自分事化しにくい。もっと等身大の、肩に力が入ってないメッセージの方がいい。そんな議論が交わされました。

こうして決まったのが、「ウェブで企業が持つ力を引き出す」というミッションです。

この言葉は私の中にあった漠然としたミッションのイメージにはとても合っていました。肌に馴染むかのように、自然と受け入れられる言葉でした。しかしその一方で、「こんな拍子抜けする言葉で本当にいいのか?」という迷いも湧いてきました。

そこで、言いたいことの主旨は変えずに言葉を入れ替えることで、もっとフックがある言葉にできないかと、一人で考えてみました。しかし考えれば考えるほど、「ウェブで企業が持つ力を引き出す」が、私たちらしい完璧なミッションに思えてきました。

私たちの行動の原動力となっているのは、「身近な人に喜ばれたい」という気持ちです。そのことによって、自分が存在することの意味・意義を感じ、自己肯定感が養われていきます。喜ばせる対象は、世界や社会のような大きく抽象的な存在ではなく、一緒に働く社員、サービスを提供する顧客など、顔が見える具体的な相手の方が望ましいです。

しかしこれらは欲求であって、使命ではありません。では、そうした欲求に自然と結びつく使命とは何でしょうか。それを突き詰めると、このミッションになっていきます。

平凡と言われても否定できないこの言葉は、煽り立てるようなセンセーショナルな表現を好まず、素直な表現を、愚直に、真面目に積み重ねていく、ベイジの社風にもマッチしています。

ジワジワとこの言葉も魅力が理解できてきた私は、最終的に「これがいい」という、自信にも似た結論に至りました。

ウェブかデザインか

「ウェブで企業が持つ力を引き出す」という案の他には、「デザインで企業が持つ力を引き出す」といったものもありました。

ここで、「ベイジはデザインの会社なのか、ウェブの会社なのか」という議論になりました。しかしこれについては、私の中で明確な答えがありました。

創業以来一貫して、デザイナーもエンジニアもディレクターもライターも、すべての職能をフラットに扱いたい。すべての職能を主役にしたい。そんな考えを持っていました。しかし、「デザインで~」といったミッションにしてしまうと、デザイナーが主役で、その他の職種はデザイナーをサポートする脇役のようになってしまいます。

私たちが「デザイン会社」と名乗らずに「ウェブ制作会社」と名乗る理由の一つには市場戦略の観点がありますが、もう一つ、組織作りの観点もあるわけです。

デザイナーもエンジニアやライターやディレクターも、どれが主役だとか、どれが会社の根幹だとか決めず、すべての職能を平等な立場で扱いたい。

だから私たちは、「デザインの会社」ではなく「ウェブの会社」であり、ウェブを一緒に作る仲間としてすべての職能がフラットになるコンセプトに、会社や組織を設計したい。それがミッションにおいて「デザイン」ではなく「ウェブ」を選んだ一番の理由です。

このように、組織の有り方、社員の特性、企業文化、様々なことを深く考え抜いて開発したのが、この「ウェブで企業が持つ力を引き出す」という、一見平凡に見えるが、自然体でとても私たちらしいミッションなのです。

わずか1年での改訂

ミッションやパーパスといったものは、頻繁に変えるものではないと、一般的に言われています。しかし私たちは、わずか1年の間に、「ウェブで顧客の成功を作る」→「顧客の成功」と、2度もミッションを変えています。

実は、ミッションを公開したころ、グロースX社のBtoBマーケター育成サービスの導入が始まりました。そのサービスの序盤では、「顧客の成功」という言葉が頻繁に登場するのですが、受講した私もメンバーも、この「顧客の成功」という言葉に大きく共感し、「この言葉を経営のどこかに使いたい」と思うようになりました。

ただ、既に進んでいるウェブサイトのリニューアルには間に合わず、公開時にはタグライン「顧客の成功を共に考えるウェブ制作会社」に反映させるに留めました。

しかしその後も、「顧客の成功」が社内で共通言語化し、頻繁に用いられるようになったため、「ウェブで企業が持つ力を引き出す」を「ウェブで顧客の成功を作る」に更新。さらに究極まで言葉を削ぎ落そうと、現在のミッション「顧客の成功」となりました。

約1年で2度もミッションを変えたわけですが、会社としての考えは、まったく変わっていません。ただ単に、言葉と表現の利便性を高めただけです。

「ウェブで企業が持つ力を引き出す」という最初のミッションを策定した時点で、私たちは一番したかったことは、「顧客に成功」をもたらすことでした。それをもっともシンプルな言葉に置き換えよう、その方がミッションが組織に浸透しやすくなるだろう、というのが一連の改訂の意図になります。

「ミッションは簡単に変えるべきではない」という定説に囚われず、真の目的に合わせて手段を柔軟に変えていくというのも、ベイジらしい判断に思えます。

なお、こうした私たちのミッションの在り方に大きな示唆を与えてくれたグロースX社には、大変感謝しています。

真の顧客の成功とは

「顧客の成功」というミッションは、ともすれば「顧客の言いなりになる」「担当者を喜ばせる」と解釈されてしまうかもしれません。しかし、私たちが目指している「顧客の成功」とは、そうした短絡的なものではありません。

  • 担当者の満足ではなく、その企業が本当に目指している成功をゴールとする
  • 顧客の顧客が何を求めているかを理解したうえで、顧客の成功を目指す
  • 意思決定者や担当者の見解が、顧客のためにならないと感じたら、率直に意見する

「顧客の成功」とはシンプルな言葉ですが、解釈の仕方で、判断基準も手段も変わります。議論を何度も重ねないと、成功イメージが共有されないこともあります。あるいは案外、担当者の満足を目印にすることが、顧客の成功の近道になることもあります。

このように一筋縄ではいかない「顧客の成功」を、時には顧客に変わって、時には顧客とは別の視点から考え続けることこそが、私たちの使命であり、役割であり、存在意義であると考えます。

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