チームの生産性を上げる「適切に頼る力」

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ライター 吉池千尋

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弊社は昨年、従来の職能別組織から「チーム制」へと組織体制を刷新した。各チームはコンサルタント、ディレクター、デザイナー、ライター、エンジニアなど異なる専門性を持つメンバーで構成されている。

私が所属するAチームの憲章には「一人で抱え込まずチームに適切に頼る」という項目がある。憲章の中で私が一番好きなものだ。

助け合いを促す仕組みと文化

会社全体に言えることだが「今、余裕がありません!助けてほしいです!」という声を上げやすい環境が意識的につくられていると日々感じている。

週次の夕礼では「忙しさチェック」の時間を設けて、メンバーそれぞれの業務負荷を数字で可視化している。また、プロジェクトで自分の知見が足りない領域で行き詰まりそうになったときも、「他チームの○○さんが詳しいから相談してみよう」といった専門知識を持つ人材へのコネクションが共有される。このように、誰が何に困っているかをチーム全体でウォッチし、組織の知見を最大限に活用できる環境がある。

日次進捗報告がもたらす変化

私がこの助け合いの文化を最も実感できるのが、Slackのプロジェクトチャンネルに固定スレッドで投稿している日次の進捗報告だ。この取り組みは、同じチームの先輩ライターである西岡さんから提案されたもので、退勤前にメンバーに進捗を報告することで、自分の現在地点の確認や翌日のTODOを整理するのに非常に役立っている。

「今日の予定」「今日の進捗」「明日の予定」という項目をそれぞれ用意し、各項目に作業予定や現状の作業進捗(○○%)を記載したうえで、明日は○○%まで持っていきたい!という宣言をするのだ。もちろん、目標宣言ではなくあくまでも共有なので、厳しくチェックされたりはしない。実際の業務が上手く進まなかったらまた改めて「明日は完了させます!」という形で仕切り直せる。でも、こうやって「今、何をしていてどんな状況なのか」を自分で分かるようにしておく・相手に伝えることが、この取り組みの肝だと思う。

振り返ってみると、以前の自分には「個人の仕事がブラックボックス化している」ことへの甘えがあった。「まだ催促されていないから自分から報告しなくていいだろう」「迷っていたり手こずっていてスケジュールが遅れる、という報告をするのが心理的に難しい」といった思考に陥りがちだった。そして、適切なコミュニケーションが取れないことで自分自身が落ち込む…という悪循環を断ち切るため、この日次進捗報告の習慣を続けている。

この取り組みによって、以下のような効果が生まれた。

  • 毎日退勤前に明日の自分のスケジュールやTODOを適切に把握する時間が確保できる
  • 基本的には自主的に流している報告だが、スタンプなどのリアクションが来ると応援されているようで心強い
  • 進捗を見て「遅れてるってことは何かてこずってる?」とサポートの声掛けをしてもらえる

これらの効果は業務効率だけでなく、精神面でも非常に良い影響を与えている。

透明性がもたらすチーム協働の向上

日次の進捗共有を提案してくれた西岡さんは、定例ミーティングでも常に「○○さん忙しそうだけどヘルプいりませんか?」「○○さん困ってそう」と気にかけてくれている。こまめにこういう声掛けがされることで、一人ひとりも「これは相談するべきだな」と適切なタイミングで支援を求められる雰囲気が醸成されている。

「三人寄れば文殊の知恵」ならば、Aチームは9人いるのでそのさらに三倍の知恵を得られるだろう。目標の達成だけでなく、チームとしての成長のためにも、適切な相談ができる雰囲気を自分も率先してつくっていきたい。

チーム力を高める「適切に頼る」という選択

助けを求めやすい環境があることで、業務の円滑化はもちろん、精神的な安定やチーム全体の成長といったメリットが生まれている。「一人で抱え込まず、適切に頼る」という価値観は、私自身がこれからも意識し続けたいAチームの大切な文化だ。

今日の業務で「困っていること」や「誰かの知見を借りたいこと」があれば、まずは周囲に共有してみてはどうだろうか。また、チームメンバーの様子を見て、「手伝えることがある?」と声をかけてみることも効果的だ。こうした小さなアクションの積み重ねが、より強いチームをつくる確かな一歩になる。

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