2024年5月にコンサルタントとして、ベイジに中途入社した。「新入社員」という立場になるのが久しぶりなこともあり、新しい環境で日々楽しく学び、多くの気付きを得ている。そうした中で感じているのが、「わからない」を表明することは新入社員にとっても会社にとってもメリットがある、ということだ。自分自身、過去に別の環境で新入社員を受け入れた経験があることも踏まえ、以下に書いていく。
新入社員は未知の環境に飛び込んだばかりで、しばらくは多少なりとも不安を抱えた状態にある。しかし、受け入れる側の会社や先輩社員だって新入社員のことをそこまで正確に把握しているわけではない。互いに手探りの状態なのだ。
そのため、少なくとも入社後一か月は、新入社員が意識して自己開示をしたほうが良い時期だと考えている。前述の通り、受け入れる側は新入社員について多くの情報を持っていない。リファラル採用でもない限り、相手が持っている情報量は採用面接でのコミュニケーションや履歴書・職務経歴書等の情報程度と思っていたほうが良いだろう。それゆえに、会社や先輩社員は早い段階で新入社員に関する情報(人柄、思考、知識、コミュニケーションの傾向など)を多く取得して、その解像度を上げたいと考えているはずである。
そうした情報を効率良く発信し、自己開示できる方法の一つが「わからない」の表明だ。自分の正確な現在地、つまりその会社のルールや仕組み、職務上の役割について何を知っていて何を知らないのか、今の自分に何ができて何ができないのかを正直に伝えることである。
そのときに大事なポイントは以下二つだ。
受け入れる側は、新入社員が何を知っていて何を知らないのか、そしてこの伝え方で何が伝わり何が伝わっていないのか?といった手がかりを、新入社員の反応や行動を通じて得ている。そのため、リアクションが全くないよりも何らかの反応があったほうが、情報を提供できるという点で相手にとって有益なはずだ。
そのうえで「〇〇ということかなと考えたのですが」「△△を確認したのですが」という枕詞をつけると、「わからない」という事実だけでなく「私はわからない・知らないことを調べるときにこういう思考・行動をします」のような自己開示も合わせて行える。
しかし、これをしっかりやろうとするあまりになかなか質問できない…となっては本末転倒だ。ビジネスパーソンとして必要な質問力を鍛えることはもちろん必要だが、入社してすぐの時期は良い質問をするための思考・行動の糸口すらない状態だったりもする。その際は、新入社員という肩書に甘んじて多少粗くとも「わからない」と伝えることを優先してしまおう。そんなことをしやすいのも、入社後一か月というボーナスタイムならではかもしれない。
新入社員の自己認知と他者認知がずれていると、遅かれ早かれ良くない形でそれが露見し自分が苦しむことになる。早い段階での積極的な自己開示を通じて双方の認知の差を小さくしていくことが、新しい環境への健全でスムーズな定着につながっていくだろう。
ちなみにベイジには社員一人一人が日報を書く仕組みがあるので、これも自己開示に有益な場所になっているなと感じている。また、日々の社内コミュニケーションや日報などから「先輩社員の皆さんは、知らないことやできないことで新入社員を見下したりしない」という安心感を得られたことも、とても有難かった。そういった意味で、ベイジ入社後の最初の一か月は安心して「わからない」の自己開示ができたなと振り返って思う。
以上を踏まえて、新入社員の立場になったら素直に、そして建設的に「わからない」を表明することをお勧めする。