仕事をする上では、謙虚さと自信をバランスよく持つ必要がある。ただし、自信を持つというのは、特にキャリアが浅い人には結構難しいだろう。自分の強みをある程度意識できていないと、自信を持って行動する、ということはできないからである。
自分の強みを評価をする際には、まず最初に以下の2つの軸で考えるといいだろう。
絶対的評価とは誰もが認める評価だ。一番分かりやすいのは、資格や受賞歴、実績などだろう。あるいは、本を何冊出している、講演を何回している、というのも分かりやすい絶対的評価で、それによって自分の強みを明確に認識できる。
しかしこういった絶対的評価から自信を得るには、大抵は長く、厳しい道のりがある。そもそも絶対的評価を得る過程においても一定の自信を持つことができなければ、結局は長続きしなかったり、挫折してしまったりする。
つまりいつも絶対的評価の視点から自分の強みを見ていては、成長するはずの強みを伸ばすこともできなくなってしまうのである。
そこで大事なのが相対的に自分の強みを評価することだ。相対的評価には明確な基準が付けにくく、自分の思い込みになりがちなので、ある程度のレベルで区切りながら評価するのがいいだろう。
簡単に考えると、以下のような段階がある。
まず何かを究めようと行動を始めたならば、自分自身の強みを【レベル1:ビギナー評価】の視点から推し量るのが良いだろう。つまり評価対象は同じビギナーであり、「初めての割には」「経験が浅い割には」という評価である。ビギナーというのは、スキル自体が低いことが多い。そのため、高いレベルから自分の強みを推し図って評価しても、自信には繋がりにくいためである。
例えば新入社員や業界未経験者などは、このレベル感で自分自身を評価するのが妥当だ。HTMLコーディングを始めて半年くらいの人と比べて、Web制作会社に勤めて半年くらいの人と比べて、自分にはどういう強みがあり、どこが課題だ、というような評価の仕方だ。
ビギナーのレベルを超えた段階では、順に、【レベル2:チーム内評価】【レベル3:会社内評価】を意識すべきだろう。チームや会社の中で自分の強みはなんなのか、という面から自分を評価し、自信を持つという考え方だ。
例えばあるデザイナーは、絶対評価でデザインを評価すると、名だたる著名デザイナーと比べることとなり「強みがない」となってしまうだろう。
しかしプロジェクトの中、あるいは会社の中で見たときには、デザインができる、という強みがある。この場合、プロジェクトや会社の中で、デザインができるという強みを自信にして発言し、貢献することができるようになる。
さらにその次の段階で目指すのは、【レベル4:業界内評価】だ。
ここでは会社を飛び出して、社外の人などからも「あの人はすごいよね」と言われるような、そういう視点での強みである。絶対的評価といえるような実績もアウトプットも知名度もまだないが、見る人が見ると確かにレベルが高い、と言われるだけの強みを目指すのがこの評価軸での目標だろう。
ここまで来ると、絶対的評価も目の前だし、人によっては、絶対的評価を究めずに、別のスキルの相対的評価を高めていってもいいかもしれない。
このように成長の段階によって、評価軸を変えて、モチベーションの源となる自信を奮い起こしていくことは、長く仕事をつづけ、レベルアップしていくには重要な視点である。
日本人は謙虚さに美徳を感じる国民らしいが、謙虚なだけではあまり意味がない。いつも厳しい絶対的評価で自信なく行動したり、自信を持って人に語れないようであれば、結局のところいつまでもスキルアップしにくいという悪循環に陥る。
むやみやたらに謙虚になるのではなく、自分の強みというものを様々な評価軸から冷静に見つめて、最低限必要な自信というのはいつも持っておくようにしたい。