物事は自分から歩み寄らないとうまくいかない

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代表取締役 枌谷 力

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ビジネスやデザインの世界に絶対はないのだが、「物事はお互い歩み寄らないとうまくいかない」というのは、絶対的な原則であるように思う。

例えば、働きやすい環境を作る、という課題に対して。

環境整備とは会社側ががやるべきことと考え、会社だけが福利厚生や職場環境の改善に力を入れているだけでは不十分である。働く社員一人一人も意識し、自分でできる働きかけをしていかなければ、働きやすい環境なんてものは実現しない。

逆の立場から見てもそうである。自己啓発の視点では、働きやすさは自分で作るものだ、ということがよく言われる。しかしこれはあくまで自己啓発の視点であって、経営や組織運営の視点に、これを当てはめてはいけない。

会社は何もせず、個々人の奮闘に任せているような状態では、働きやすい環境なんてものは実現しない。会社も、社員も、両方から歩み寄り働きかけることで、はじめてうまく回りだし、実現に近づいていくものである。

これは例えば、上司と部下における問題も、同じである。

上司の管理能力のせいだと一方的に責め立てたり、部下の能力不足だとすべて部下のせいにしても、問題は解決しない。双方が自分のせいと捉え、双方が自分事として働きかけ、双方が歩み寄りをしなければ、横たわる問題は解決しないだろう。

クライアントとの関係においても同様である。どちらかが、どちらかに対して一方的な姿勢のままでは決してプロジェクトはうまく回らない。双方が、物事の優先度などを鑑みて歩み寄る姿勢を持つことが、プロジェクト成功の最低条件である。

他にも、営業と開発の関係、アートディレクターとデザイナーの関係、デザイナーとコーダーの関係などなど、2人以上が関わる全てのシーンで、この「歩み寄りがないと物事はうまくいかない」の原則は当てはまる。この考えは、うちの会社の行動指針の中にある「プロフェッショナルは自責型である」という一文に反映されている。

何かがうまくいかないと思った時、会社や他人のせいにしても何も変わらない。時間や業界のせいにすることも同様。そうではなく、自分には何ができるか、自分には何が足りないのか、という考えを関わりあう全員が持ち、それぞれが歩み寄って初めて、状況は進展するもの。自分が部下であろうと、上司であろうと、経営者であろうと、自分が発注者であろうと、受注者であろうと、どんな立場であっても、その考えは決して忘れてはいけない。

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