ミスを減らすルール作りに必要な5つのポイント

ミスの発生を防ぐというのは、Web制作業をしていると一つの大きなテーマとなる。しかし、それに関する明確なノウハウやルールを公表している会社は少ない。おそらく、この問題は解決しているのではなく、どこも明確な答えを持っていないからだろう。

ミスというと、防ぐものである、という発想になりがちだが、ミスとの接し方は必ずしもそればかりではない。ミスには、以下のような3種類の対処法が考えられる。

  1. ミスを防ぐ
  2. ミスをすぐに直す
  3. ミスを許容する

意外と大事なのは、3である。

人はミスをするものであり、人が作るものには必ずミスが含まれる。それが複雑な仕組みや新しいシステムであればあるほど、ミスをゼロに押さえることは不可能になってくる。しかし、その事実を共有し、許容する環境を作り上げることは、ミスというものに対する一つの解決策である。

例えば、OSやアプリのアップデートもこの一つである。OSやアプリには不具合があるという前提が浸透している。そのため、アップデートに対して、多くのユーザはそれを許容している。ある限界値を超えるまでは、スイッチされることもない。

Web制作においても、同様のことはいえる。ミスをゼロにします、というは簡単だが、そのような発言は、ある意味無責任でもある。むしろ、ミスが発生するリスクを共有し、それをお互い分かち合う関係作りというのが、円滑なプロジェクトマネジメントにおいて非常に重要である。

ただし、ミスを許容するといってもある程度の限界はある。許容度を超えるほどのミスが多発すると、ユーザはそのサービス、会社を見限ることになる。さらには、絶対にミスを犯してはならない領域も存在する。ミスが起こったらすぐ対応すればいい、などと言っていられないクリティカルな領域である。

そのため、ミスを許容する環境は作りながらも、作り手は常に、できるだけミスを防ぐ、という考えを持たなくてはならない。

ミスを防ぐうえで、まず手を付けないといけないのは、ルール化であろう。特にルーチン性の高い作業領域においては、適切なルール化によって、効果的にミスを防ぐことができるようになる。

このようなミスを防ぐためのルール化は、まともな会社であれば既に行っていることだろう。しかし、ルールを作ればミスが減るかというと、そうでもない。

例えば、私は過去に在籍した会社のいくつかで、品質管理部なるものが存在していたが、このような会社で品質の問題が起きなかったかというと、そんなことはなかった。当たり前のことだが、ルールは作るだけではダメだからである。作り方もそうだし、使い方もマネジメントしなければ、ミスの発生をゼロに近づけることにはならないのである。

個人的には、以下の5つのポイントを押さえた作り方、運用の仕方をしなければならないと感じている。

1:良いルールを作る

良いルールとは、シンプルかつ明確なルールである。複雑なルールほど守ることが難しくなる。また判断基準、実施方法があいまいなルールも、効果が出にくい。実施の精度を上げるのなら、担当者や実施のタイミング、実施方法、使用するツールに至るまで明確に規定された、人によって解釈のブレが出ないルールが望ましい。

2:ルールを周知する

ルールが存在しても、それを皆が知らなければ意味がない。また、ただ知ってもらうだけでなく、なぜそのルールが必要なのか、文脈を含めて理解を促す必要がある。ルールを作った過程を、ルールを運用するものが疑似体験し、自分事として解釈し、その意義をきちんと自分の頭で考えて認識できるような、そんな周知をしなければならない。

3:ルールを忘れない

ルールの説明をしても、忘れてしまっては意味がない。説明は一度で十分と思ってはいけない。ルールを再周知する、ルールの運用状況を確認する、といったことを責任者は定期的に行い、絶対に忘れない運用、忘れても絶対に思い出せる運用を考えなくてはならない。

4:ルールを実施する時間を作る

1~3がきちんとできていながら、時間の問題でルールが守られなくなることがある。その場合には、時間の確保を最優先で考えなくてはならない。ルールを実施するために必要な時間の確保をしないような組織では、ルールを守ることは難しくなるだろう。

5:ルールを守る

ルールがあり、周知され、忘れらず、時間があっても、それを守ろうという意識がなければ、まったく意味がない。これで起こすミスが、一番馬鹿馬鹿しい。誰か一人ではなく、全社員で、必要なルールは必ず守るという意識を持ち、そのことを常に口にしたり、ミーティングで話題にするような風土を作らなくてはならない。もちろん、ルールに縛られない柔軟な判断は必要だが、過去の失敗を再発させないためにルールがあり、それを守ることで品質が向上するようになっている、という基本を軽視してはならない。

このような5つのポイントをきちんと押さえるようなルール化が、ミスの少ない組織を作るためには必要である。