ベイジは2016年1月6日をもって、設立して満6年となります。最初の1年間はほとんど私一人だったので、本当に会社っぽくしてからは5年ほどにはなりますが、それはともかくとして満6年。
実は2010年の設立時に2020年までの10カ年計画を立てており、1年に1回ほどそれを見返しているのですが、驚くほどにその計画通りに進んでいます。
会社をやっていればそれなりに苦労や冷や冷やすること、人には言いにくいような失敗もあります。目標に掲げたものの未達成だったこともチラホラあります。しかし一方でビジネス書などで描かれるようなドラマティックかつ危機的な状況になった記憶は、振り返ってみても出てきません。潤沢に資金を準備せず立ち上げたにも関わらず、社員とクライアントと運にも恵まれ、お金という経営の一番シビアな部分で大きな苦労をしなかったからかもしれません。そういう意味でも、比較的安定飛行でやってきた6年間だったと思います。
6年前に立てた計画通りに事が進んでいるということは、裏を返せば、ほとんど挑戦をしなかったということです。これは経営者としては必ずしも誇れることではないでしょう。今の私のやり方では手堅すぎて、人を驚かせるようなイノベーションなどは起こせそうにありません。
しかし自分は、手が届かないような高みを目指したり、熱い気持ちに任せて猪突猛進に未開の領域に切り込んで行ったり、大風呂敷を広げて自分を追い込んで高い目標をクリアしたりするようなタイプでもありません。また、「派手さはないけど堅実な会社や人」に対するニーズは確実にあり、自分やベイジのようなスタイルが世の中から求められている実感もあります。なのでこれからも今までのように、手がギリギリ届く範囲での背伸びをしながら、堅実に、緩やかに、会社を成長させていくのがいいかな、と改めて思っています。
そんな私が立てる2016年の抱負なわけですから、大それたものではありません。基本的に今まで積み重ねたことの継続です。それでもいくつかチャレンジしたいこと、必ずやりたいことが存在します。自分の気持ちが鼓舞される効果を期待して、それをここに書き連ねてみようと思います。
現在のサイトは2011年から運用しています。デザインを扱う会社のサイトとしては文字の方が多いようなサイトでしたが、SEOでは上位表示を果たし、700近くのリードを獲得するなど、当初描いた目標を十分に達成してきました。しかし最近は、デザインのトレンドからは大きく後れを取り、マルチデバイス化もされておらず、昨年中盤以降のアルゴリズム変更のたびに、検索順位も徐々に下がってくるなど、その綻びが大きくなってきています。
Webのビジネスを語るのであれば、自身のWebサイトもきちんとビジネス貢献していなければならない、というのが私の考えです。またこの後に掲げる抱負のほとんどは、サイトリニューアルが完了しないと進展しないものばかりです。そういった意味でも、古くなった現在のWebサイトの刷新は、経営上の最重要課題と考えています。今のところ、3月頃のリニューアルを目指し、鋭意制作中です。
ここ2~3年ほどはBtoB企業様のお仕事に多く関わってきましたが、そのことを明確には謳ってきませんでした。しかしサイトリニューアルとともに、もう少し「BtoB」というキーワードを前面に押し出し、「BtoBに強いWeb制作会社」というブランドイメージを強めていこうと思っています。サイトリニューアルとともに、「Think BtoB」という新しいブログも開始し、BtoBマーケティング分野に対する情報発信も積極化していく予定です。
ただ、会社の色としてはBtoBを強く出しつつも、「BtoB専業」と言い切ることはしません。これは、実際にはBtoBとBtoCの境界は曖昧であり、toCでありながらtoBのノウハウが生かせる領域があったり、あるいはtoCのノウハウがフィードバックできるtoBの領域があったりするためです。集中と選択という経営やマーケティングの定石からは少し外れてしまいますが、あくまで「真っ先に思いつく得意分野の一つ」という見え方を目指していこうと思っています。
一昨年から目をつけているのが、いわゆるエンタープライズ向けWebアプリケーション分野におけるUXデザインやUIデザインです。この分野に優れたデザインが適応されているケースは少なく、UXという言葉の普及からデザインに対する課題意識は高まっているものの、具体的な改善の兆しはあまり感じられなかったりもします。主な原因は、SIerやシステム会社主導で開発を行っており、開発プロセスの中でデザインをうまくハンドリングする術を知らないからではないでしょうか。
ビジネス志向で論理的なデザインを実践する当社のスタイルと、エンタープライズ向けアプリケーションのUX/UIデザインという仕事は、非常に相性がいいと感じています。実際、そのヒントとなる仕事をいくつか、昨年までに経験することができました。芽を出すのは2~3年後になるとは思いますが、この分野への種まきを今年はもう少し行っていきたいと考えています。
今の組織は、3~4人だった頃の流れをそのまま汲んでいます。しかし、今年の春には9人体制となります(女性も2人入ってきます)。また、今まで若かったメンバーが成長し、一方でコンサル系の依頼が増えてくるなど、会社を取り巻く内部環境も外部環境も変わってきています。昨年はその歪みも感じられるようになってきました。そのため今年は、少し大胆に会社の組織構造を変えてみようと考えています。
採用活動も引き続き積極的に行いますが、コンサル系の仕事が増えていることから、特にプロデューサー/ディレクター型の人材獲得に注力していきます。転職を考えているプロデューサー/ディレクター系の方がいらしたら、是非紹介してください(笑)
起業した時、下請けではなく元請けで仕事を取れるようになる、というのが一つの大きな目標でした。一時期SEOに力を入れていたのはそのためです。しかし、2013年で7割、2014年には9割以上が元請け案件となり、当初の目的は達成されました。そして昨年後半より、その方針の見直しを始めています。納期の問題などから実現しなかった案件も多いですが、べイジとはまた違った個性を持つ同業他社からの引き合いがあった際にも、積極的に会いに行くようにしました。
なぜかというと、私たちのように小さい会社が元請けばかりをしていると、閉鎖的になり、新しい仕事の仕方などを知らないまま、遅れを取ってしまうリスクがあると感じたためです。また純粋に、似たような価値観を持つ同業他者との仕事は楽しくもあります。同業他社だけでなく、コンサル会社やSIerなど、これまで付き合ったことがないプレイヤーとの協業にも興味があります。そういったこともあり、今年も引き続き元請け比率をやや下げながら、様々な会社との協業にチャレンジしてみたいと思います。
ベイジといえばブログという印象もあり、実際にブログ運営にはそこそこ力を入れており、その基本方針は今までと変わりありません。ただ今後は、今まで以上にSNSでのシェア数には拘らずに運営していこうと思っています。
SNS上での露出がもっとも激しかったのは、2014年の夏ごろから2015年の夏ごろでしょうか。当時はブログをアップすればFacebookではほぼ確実に500以上はシェアされ、1000以上も珍しくない、というくらいに「外れ」をほとんど出していませんでした。実はこの頃になると、どういうテーマでどういうタイトルにしてどれくらいの内容でいつ頃アップするとシェアされやすいか、というのがだいたい分かっていました。それを確認する実験の意味もあり、シェアされる可能性の高い記事ばかりを選んでアップしていました。
しかしその経験から、SNSでシェアされることの現実的な効果も認識するようになりました。私たちのビジネスへの影響という面では、一過性に過ぎないSNSのシェアより、長く続く検索エンジンからの流入の方が重要だったりもします。もちろん、SNSでシェアされないよりはされた方がいいとは思いますが、今後はシェアされる可能性が高い・低いかではなく、伝えたい相手に本当に良質な情報を届けられるか、という視点での運営方針を強めていこうと思っています。サイトリニューアルとともに、全ページSSL化も考えており、そうするとソーシャルボタンの数字がすべてリセットされてしまいますが、それでも別にいいかな、とも思っています。
私たちのビジネスに本質的な影響があるのは、シェア数でもPV数でもなく、コンテンツの質です。他では読めない情報、マスターピースとなりうるような良質なエントリーを発信し続ける、極めて質の高いブログとしてのポジションを、今年はより一層目指していきたいです。
ブログの緩やかな方針転換とともに、ブログ以外の手段での社外への露出を高めようとも思っています。昨年後半は大学での講演や雑誌への寄稿を行いましたが、実はそれ以前は、外部からのお声がけには比較的消極的な姿勢を貫いていました。しかし今年からは、社外からのお誘いがあれば積極的に受けていこうと考えています。また、そういったお声がけが増えるような外向けの活動も行っていきたいと思います。さらには「ベイジの日報」以外にも、社員が外に向かって露出できるような取り組みもいくつか挑戦してみたいと思います。
というわけで、今年もベイジをよろしくお願いします。