先日、顧客との議論の末に「考えうるデメリットは理解した。その上でやってみたい」と、ウェブサイトの改修を行うことが決まった出来事があった。これは私がベイジに入社してから感じていた「同じ結論だとしても、議論の有無で双方の納得感が異なる」を体現するエピソードだと思えた。
「あなたの意見は理解した。一方で、こんなことも考えられないだろうか?」といった具合で、部門間MTGでも、顧客MTGでも場面を問わず、ベイジではこういったやり取りが発生するのだ。
私の所属するカスタマーサクセスチームでは、「言われたことだけをやるのではなく、提案型の運用をする」をモットーに掲げている。我々は顧客の要望をそのまま受け入れることはNGであり、ウェブ制作のプロとして常に提案型でいる必要があるのだ。
今回もご相談いただいた改修内容に関して率直に、「ユーザー視点のデメリットがある」と感じたため、「このやり方は避けて、別のやり方が良いのでは」とお伝えした。その上で実装が確定したのだが、結果は同じであれこの意思決定においては、議論前後で双方の納得度が全く異なり、今後のアクションについても既に検討しやすくなったと感じている。
というのも、ウェブサイト制作には、以下の要素が絡み合う。
1.ユーザーが求めること
2.企業都合で伝えたいこと
「1.ユーザーが求めること」は、耳にすることも多いかと思う。この視点が抜けてしまうことは論外である一方で、この視点に偏ってしまうと、机上の空論で作られた頭でっかちなウェブサイトになりかねない。具体的にその施策が、ウェブサイトにどう作用するかは、実際に効果検証してみなければわからないのだ。懸念していたデメリットを許容でき、成果が出れば、今回は実装をして正解だったと言えるし、デメリットが許容できない事態になってしまった場合でも、今から対処方法を考えられる。
以上のように、他者の要望を受け入れる過程で、ベイジでは必ずと言えるほど議論を挟むため、私自身、顧客との対話でこのようなやり取りができたことは一つ成長を感じられる出来事となった。とはいえ、私自身の経験談でもあるが、社内では先輩・上司など自分よりも上の立場の方と話すと、萎縮して話せないこともあるだろうし、お金をいただいている顧客との対話だとなおさらと感じる人もいるだろう。
そういったときには、「相手の期待がどこにあるのか」を一度考えてみると良いのではないだろうか。例えば、顧客からのウェブサイトの改修相談であれば、「プロの意見が聞きたい」だったり、「自社でまとまっていない話を、第三者に話すことで思考の整理になる」など、期待のポイントは様々だ。期待に応えようと思うと、自然と意見や提案が出てくるのではないだろうか。
大切なのは主張の正解・不正解ではなく「意見を伝える」こと。まずは相手の期待がどこにあるのか、を考えるところからはじめよう。