提案内容を説明するミーティングなど、こちらが話す時間が長くお客様が聴き手になる場面では、如何に聴いてもらえるかが重要だ。聴き手は重要事項を議論していることはわかっていつつも、途中で集中力が途切れることもある。このような状況では特に次の4つに留意し、ミーティングを有意義な時間になるように努めたい。
ミーティングが複数の関係者で構成され、初めて出席するメンバーもいる場合、最初に考慮すべきことが情報格差を埋めることだ。
目的とゴールを説明するだけでなく、現在の状況などの基本情報や、この場で望むこと・やってほしいことについての依頼事項を共有する。これにより、出席者間の情報格差を最小限に抑え、共通のスタートラインに立ってミーティングを始めることができる。これらのポイントを無視すると、ミーティングの終わりになって「では、私は何をすべきですか?」となりかねない。
初参加者がいる場合は事前に情報共有をしたり、ミーティングの最初にどういう観点で確認してほしいのかといったチェックポイントなどを明示すると、より有意義な場にできそうだ。
ミーティングの際中に、時には全員ではなく、特定の相手に対して情報を伝えることがある。
そのとき、はっきりと「ここの担当をしている方に聞いてほしい」と伝えることが大切だ。ミーティングで一方的に話す時間が長くなると、聴き手が興味を持たなくなっているかもしれない。適切な時に、聴いてほしい相手に投げかける言葉を使うことで、相手は自分に関連性を感じ、注意を向けることができる。
また、私自身、普段のミーティングで聴き手になっているとメモに夢中になってしまい、大事な場面で話の内容を聞き逃すことがある。そのため、ミーティング中に人に意見を求めるときにも、「田中さん、どうですか?」と聴きたいことを省略するのではなく、「田中さん、ここがこうなっている件について、知っていたら教えてくれませんか?」と、誰に対して何を話してほしいのかをして伝えるように配慮したい。
話す章や内容ごとに伝え方を統一すると、相手が聴いていて内容を把握しやすくなる。
例えば、ミーティングの場で話す提案事項が複数あったとする。提案事項1つ目は結論、背景、理由、事例の順で話し、提案事項2つ目は事例、理由、結論、背景の順に話す。提案事項3つ目は…と伝え方が異なると聴き手はその都度、情報の整理に時間をとられてしまう。そのため、伝える際には一貫性を持たせることが大切だ。
具体的なアプローチとしては、伝え方をパターン化することだ。まず、話す順番の型を決定し、箇条書きで伝えたいことをリストアップ。次に、情報を整理し、必要なものを選択し、最終的に型に合わせて内容を整理する。このアプローチに従うことで、一貫性をもって伝えることができ、聴き手は話の内容に集中することができる。
ミーティングの内容や議論をしたいタイミングに応じて、適切な時間を設けることが重要だ。
アジェンダごとに質疑応答の時間を設けるのではなく、お客様が検討したり疑問を解消したりするために必要な意見交換ができるように、目的に従って議論のタイミングを設計しよう。集中力を切らさずに議論に参加するためには、短時間の質疑応答をこまめに実施したほうがよい場合もある。