「なんか違う」をどう言うか

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コンサルタント 高橋 慶

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ビジュアルデザインやコピーについてプロジェクトメンバーから成果物へのレビューを求められるたびに、かつてのわたしは困っていた。

「なんかちょっと違う気がするけれど、これ、どう言えばいいの……?」

デザインやコピーに対する評価は好みや感覚に影響されやすく、「なんか違う」という直感的な感想が出てくるのは自然なことだ。しかし情緒表現に対するレビューに慣れていなかった頃は、「フィードバックをする以上、『何が』『どう』を明確に示すべき」「それを明確にできないなら、フィードバックする価値がない」という考えに縛られ、伝え方に迷うことが多かった。

今はレビューのコミュニケーション経験を積み、それなりに勘所がつかめてきた。「なんか違う」と感じたときのフィードバックの仕方について、以下に紹介したい。

1.とりあえず「気になります」と投げる

最初から筋の通った適切なコメントをしようとするのではなく、まずは気になる箇所を伝える。「なんか違う」は「ここがちょっと気になります」と言い換えればOK。

まずは投げてみるだけでいい。「フィードバックをする」という行為それ自体に、「違う人の視点から成果物を眺め直す機会になる」という価値がある。だから、「まだ具体的な指摘はできないけれど、ここは再検討の余地がありそう」と伝えるだけでも意義はある。

指摘があればクリエイターは立ち止まり、その箇所を別の視点から眺めようとする。そうすれば、具体的な指示や提案がなくとも、彼ら自身が「なんか違う」の理由を探り当てられることもある。

2.意図を尋ねる

「なんか違う」と感じた箇所に対しては、「ここがこうなっているのってどういう意図ですか?」「何を狙ってこの表現を選びましたか?」と聞いてみるといい。そうすれば、「意図に対してこの表現は最適であるか?」「そもそもその意図がサイトの目指すべきところと少しズレているかも」といった議論に発展する。あるいはクリエイター自身が「そこの意図について十分に検討できていなかった」と気がつくこともあるかもしれない。

アウトプットに対する評価ではなく、アウトプットのもととなる意図に目を向けることで、違和感の正体が言語化されやすくなる。ただし、テキストで尋ね方を少し間違えると詰めているような印象を与えてしまうこともあるので、口頭とテキストの両方でやるのがオススメ。

3.シンプルかつ差分の見えやすい代案を出す

デザインやコピー開発は、かけようと思えば無限に時間をかけられる。だからこそたくさんの代案を出すのではなく、「背景の色をこの色に変えるとどうなりますか?」「この語彙をこっちの語彙に変えてみるとどうですか?」のように、シンプルかつ差し替えることで違いが見えやすい一手を提案してみるといい。

比較は選択肢を絞る手段だ。A案とB案ならB案、B案とC案ならC案…と較べていって最終的に残ったものは強いし、もしそれに何かが足りなかったとしても、それまでの比較の中にヒントが隠れていることが多い。比較する代案は、「似ているけれど異なるもの」と「全く新しいタイプのもの」の両方を出してみるとよりヒントが得やすくなる。

おわりに:「なんか違う」は「否定」ではない

かつて自分が「なんか違う」の伝え方を迷った原因のひとつに、「『違う=否定』だと思われるのではないか」という恐れがあったのかも、と振り返って思った。

違和感は否定ではない。否定は「NO」であり、違和感は「伸びしろ」である。それはアウトプットのクオリティを高める可能性を秘めている。これからも「なんか違う」と感じたら、素通りせずに立ち止まることを意識したい。

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