今日でベイジに入って4日目になる。ベイジには日報制度があるので、毎日日報を書いている。
日報を書いていると、ベイジの日報制度には、「社員一人ひとりの視野を自然と広げる効果」があるのではないか?と気付いた。なぜその効果が生まれるのかを考えてみたい。
ベイジの日報制度は独特だ。仕事の進捗報告は書かなくてよいし、決まったフォーマットもない。文字数も自由だ。1つだけ、「会社の行動指針と照らし合わせてその日の振り返りを書く」という決まりがある。社外の人からは、この独自の日報スタイルがユニークな取り組みだと思われることが多い。
ただ、個人的には”書き方”だけではなく、”全員で”日報を書いていることもユニークだと感じている。なぜなら、日報は一般的には「上司が部下の仕事の進み具合を把握するために、部下が書く業務の報告」だからだ。
でも、ベイジは全員で日報を書く。だから、たとえばマネジメント層や経営層の人たちも日報を書いている。
ベイジでは、毎週月曜日に昼礼がある。昼礼では、枌谷さんが最近考えていることを共有したり、仕事に役立つことをレクチャーしてくれる時間だ。昼例があった日は、みんな自然と昼例で聞いた話の感想や意見を日報に書く。
今週の昼例では、枌谷さんから「職能カットの体制から、(職能混合の)チーム別の体制に変えることを考えている」という話があった。つまり、現状は案件ごとに各職能からメンバーが集められてチームが組成されているが、その体制を「同じチームメンバーで動く体制」に変えるのはどうか?という提案だ。その日の日報はみんな組織体制の変更についての意見を書いた。
次の日に、全員分の日報を読んでみた。一人ひとりの色んな意見があり、読んでいると自然と「自分は狭い視野で考えているのだな」と感じられる。各々の立場や考え方ごとにどういう意見があったのか、具体的に紹介したい。
まず、全体的には
など、成長やコミュニケーションの面からの意見が多かった。
マネジメント層からは、
など、評価・アサイン・リソース配分観点の意見もあった。
経営観点だと、「売上が増えるのか?(=顧客の成功により貢献できるのか?)」と「コストを減らせるのか?(=生産性が上がるのか?)」の観点が多かった。
「プロジェクト内のコミュニケーションがどう変わるか?」という観点では、「(メンバー固定によって)一体感が高まって良い」「あうんの呼吸が生まれて良い」という意見が多かった一方、「お互いの距離感が近くなり過ぎて、適度な緊張感が失われないかどうかは気になる」という意見があって、ハッとさせられた。
「今よりも(プロジェクトメンバー内の)心理的な距離が近くなる」ことは間違いないが、その事実は「一体感が高まる」とも「適度な緊張感が失われる」とも解釈できるのだ。
レイヤーの違いや、解釈の違いとはまた別の視点でコメントしている人もいた。自分一人では考えが及ばないことなので、とても刺激になる。実際の日報から抜粋して紹介する。
両方の体制にメリットとデメリットがあるし、おそらく今後もベイジの組織規模は大きくなるのだから、今後を見越して、組織体制が変わることのインパクトが大きくないうちに試してみたい。うまくいかなかったとしても、元に戻すインパクトも少ないはず。
組織体制を変更する隠れたメリットとして、変えたことを正解にするために、成果を出さなきゃ、成功へと導かなきゃ、みたいな意識や力学が働きやすいことがある。
今までのやり方に大きな問題があったとは思わないけど、慣れてしまうといい意味での焦りは失われやすいので、思い切って方針変更するのはありかも。
前職に、壁打ちしたときのフィードバックの的確さがものすごくて、多くの社員から尊敬されている人がいた。
彼に「なぜそんな鋭い思考ができるのか?」と質問すると、「その人が考えていなさそうなことを考えているだけだよ」と回答され、それがとても印象に残っている。相当ストイックな人だったので、答えはきっと「論理的思考力を鍛えている」とかだろうと思ったからだ。
回答を聞いて、そのシンプルさに驚いた一方、「考えていなさそうなこと」を考える、つまり「視野を広くして考える」ための具体的な方法は分からないまま時間が過ぎていた。
でも、ベイジで全員で日報を書いていると、自然と視野が広がり、いつか自分も「その人が考えていなさそうなこと」を少しは考えられるようになるのかもしれない。
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