自分事化して一生懸命考えてくれる人が最強説

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代表取締役 枌谷 力

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「世の中の人は、誰と一緒に働きたがっているか?」という問いに1つしか回答できないとしたら、私は「自分事化して一生懸命考えてくれる人」と答える。

仕事を依頼する側の企業なら、まるで自社の社員のように課題を自分事として捉え、「共に良くしていきましょう」と言ってくれる人と、仕事をしたいと思うだろう。

逆に「事務的なテンプレ対応」「冷めた態度」の人には、そうは思わない。

その態度自体が直接的な不満の原因にはならないかもしれないが、何らかの失敗で期待値が下がった途端、「他人事感がある」と、不満が爆発するおそれがある。

当社においても、過去には顧客との関係がうまくいかなかったプロジェクトがあったが、根底には「自分事として熱心に考えてくれていると感じられなかった」という要因もあったのではないだろうか。

これは対顧客との関係だけでなく、社内でも同様である。

他部署や他職種との連携時に、相手の立場を理解せず、与えられた役割以外のことが他人事で、何事も最低限のことしかしてくれない人とは、一緒に働きたくないだろう。

困っている同僚に対して無関心で、「一緒に頑張りましょう」と言ってくれない人を、信頼できる仲間とは思えないはずだ。

この問題は、営業商談の場においては、よりクリティカルになる。

発注先を選ぶときは、「自分事化して一生懸命考えてくれる人や会社」であることが大前提となる。それがなくても受注できるのは、競合他社のすべてが「冷めた姿勢」である稀なケースのみだろう。

基本的には、「自分事化して一生懸命考えてくれる人や会社」として振る舞わなければ、高確率で仕事を獲得し続けることは困難である。

営業においては、以下のような行動が必須だとよく語られるのも、それらが「自分事化して考えてくれていると感じさせやすい」からである。

  1. 提案資料には、その会社特有のアイデアをなるべく多く盛り込む
  2. 見積書を提出する際は、メール送付だけでなく、補足説明の機会を設ける
  3. 定期的なコミュニケーションを怠らない
  4. 打ち合わせ後は速やかにフォローアップを行う

上記の1〜4を怠る人や会社が商談で不利になるのは、「自分事として熱心に考えてくれそうに思えない」からである。そのような会社に数百万円もの金額を預けようとは、通常考えにくい。

たとえ100枚の分厚い資料が添えられていても、そこに他社でも提示できるような内容しか記載されていなければ、自分たちのことを真剣に考えてくれているとは思えないだろう。

過去にも、あるクライアントから不満の声が上がり、結果的にサポートプランが打ち切りになったことがある。その時の最大の要因がこれである。

その時は、「弊社のことをこれだけ把握しているのに、なぜ他社でも通用するような提案しかしないのですか?」と言われた。完全に当社に非がある。そのお客様ならではのアイデアが盛り込まれていない運用提案にお金を出すほど、世の中は甘くない。

これとは逆に、「自分事として熱心に考えてくれる人や会社」だと認識されれば、分厚い資料さえ不要になる。

ある商談では、会社紹介以外に、1時間の会話をしただけで、相手は満足し、発注意向を示してくれた。キラーフレーズは「一緒に頑張りましょう」である。

「自分はそこまで情熱的に話すタイプではない」「営業上手な人みたいに話せない」と思う人もいるかもしれないが、自分がしっかり考えてることを伝えるのに、必ずしもテンションの高い高度な話術は必要はない。

ただ、相手のことを真剣に考える準備の時間を持ち、より多くのアイデアをその場で示せれば、たとえ雄弁でなくとも、極端にハイテンションでなくとも、特別に話し上手でなくても、信頼は獲得できる。

仕事はなるべく事務的にこなして、最小限の労力で済ませたい、という雰囲気が漂えば、信頼は損なわれる。だから、感情を抑え事務的に淡々と仕事をする人や、テンプレートにのみ従って仕事をする人は、商談において圧倒的に不利となる。

しかしこれは商談に限った話でもなく、社内での評価も含めて、仕事全般で不利になる。

結局のところ、「一緒に頑張りましょう」と、相手の目を見て真摯に言えるかどうかである。

当社にも、このようなコミュニケーションが上手な社員が何人もいる。こうした人たちは、ベイジ社員のロールモデルである。そしてこれを、ベイジの基本姿勢としたい。

「一緒に頑張りましょう」という姿勢が身に付き、「自分事化して一生懸命考えてくれる人が大事」という認識が定着すれば、「この状況でどうするのが最適解か」「どのような資料を作成するのがベストか」という応用も効くようになるだろう。

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