AIの発展が目覚ましい。
とくにライターの仕事は、「AIに取って代わられるのでは?」という声も多い。
個人的には「文章を書く」という仕事を100%AIに任せるのは、まだ現実的ではないと思う。
どちらかというと、「AIが得意なことはAIに任せ、人間にしかできないことは人間がやる」という分業体制をベースとし、人間のベストパートナーとしてAIを適度に活用することが、現時点では最適だと考えている。
人間よりAIの方が得意なことの一例として、「要約」がある。
「長い文章の要点をつかむ」という作業は、スピード・質の両面において、AIの方が優れている。
要約以外にも、「文章を書く」という作業の中で、AIの方が得意だと感じることがいくつかある。
実務を通じて発見した「人間よりAIの方が得意なこと3つ」を紹介したい。
少し複雑な文脈の把握に関しては、人間(とくに疲れている状態の)よりもAIの方が圧倒的に早いと感じる。
例えば以下のような使い方ができる。
▼プロンプト
下記の #文章 において、「クリエイティブなフィールドで戦える」は「企業」と「デザイナー」のどちらを修飾していますか?理由も教えてください。
#文章
デザインスタジオや企画部門など、クリエイティブなフィールドで戦える企業のデザイナー▼AIの回答
「クリエイティブなフィールドで戦える」は「企業」を修飾しています。理由としては、「クリエイティブなフィールドで戦える企業のデザイナー」という表現では、「企業」が「クリエイティブなフィールドで戦える」特性を持っていることを述べており、その企業に属する「デザイナー」が説明されているためです。
文構造として、「クリエイティブなフィールドで戦える」という形容詞句は「企業」にかかっており、その後に続く「のデザイナー」で、その企業に属するデザイナーを指しています。
これは実際、自力では明確な答えが出せなかった実務での1シーンだ。
上記について、理由まで含めて正確な解をパッと答えられる人はそう多くないのではないだろうか。
AIに聞いてみたところ、納得度の高い理由とともに、数秒で回答してくれる。
結果として、余計な脳のリソース消費を抑えて、次の作業にスムーズに進むことができた。
人間が文章を書くときに発生しがちなケースのひとつが、語彙のバリエーションの限界だ。
あるクライアントのコンテンツ作成において、「〇〇を達成するためには、〇〇が必要だ」という構文を頻繁に使用せざるを得ないケースがあった。
語尾が「〜が必要です」「〜が重要です」「〜が求められます」の3パターンの繰り返しになってしまい、他の言い回しができないか悩んでいたときのことだ。
▼プロンプト
「〜が必要です」「〜が重要です」「〜が求められます」という表現の別の言い換えパターンを10個あげてください」
▼AIの回答以下のような表現で「〜が必要です」「〜が重要です」「〜が求められます」を言い換えることができます。
〜が不可欠です
〜が欠かせません
〜が望ましいです
〜が肝心です
〜が期待されます
〜が必須です
〜が推奨されます
〜が欠かせない要素です
〜が重視されます
〜が求められる要件です
AIに聞くと、適当な候補をすぐに回答してくれた。
アイデア出し(言い換えパターンの検討)は、人間にとって安定したパフォーマンスをあげるのが難しいタスクだと思う。
的確な表現がすぐに浮かぶこともあれば、頭の疲れ具合によってはいくら考えてもそれらしい表現が出てこないときもある。
そんなときは、根詰めずAIに頼る方が早い。
AIがアイデア出しに優れているのは、語彙だけではない。
AIは見出しやタイトル案など、とにかく「0→1」のアイデアを瞬時に複数パターン出すことが得意だ。
ただし、乱用するとAI感丸出しの無機質な印象になるため、あくまで参考程度にし、最終的には自分の言葉にする必要があるだろう。
難解な語彙や言い回しが登場する文章は冗長になりがちだ。
特に人間は、自分が書いた文章を何度も読み返しているうちに、どこを直すべきかの自己認知が難しくなる。
自分の書いた文章をAIに読ませ、
「下記の文を一文一意になるよう、推敲してください。順番を変えたり、二文以上に分かれても良いです」
と伝えるだけで、文章がより一層ブラッシュアップされる。
これは記事などのコンテンツ制作に限らず、少し長めのメールやチャットを送る前にも活用できる。
送信前にこの1ステップを挟むだけで、読み手にとって最適化された文章に整えてくれる。
可能な限り自分の頭で考えることは前提としつつ、業務において潔くAIを頼る方が効率的な場面は多い。
一方、まだまだ人間の方が優れていると感じるタスクも存在する。
重要なのは、人間とAIがそれぞれの得意な能力を最大限発揮して、より良いアウトプットを生み出すことだ。
そのベストバランスについては、今後も探っていきたい。