コンテンツ制作に向けたリサーチとして、クライアントの社員にアンケートをとる機会があった。
ベイジに入社するまで、アンケートの類は回答したことはあるものの、つくる側にまわった経験はなかった。
個人的には、時間があるときはアンケートにしっかり答えたい派だ。自分の意見によって製品やサービスが改善されるなら、喜んで協力したい。
プライベートの食事や宿泊で、極めて感動(もしくは落胆)する体験をしたときには、30分くらいかけて詳細にレビューを投稿したこともある。
一方で、忙しくて時間に余裕がないときや疲れているときに、答えづらい(答えに迷う)質問項目が並んでいると、飛ばしたり適当に答えてしまった経験もある。
上記の経験から、アンケートの作成では基本的に「いかに回答者の負担を減らすか」が大事だと考えていた。
しかし、冒頭のクライアントに向けたアンケート項目をブラッシュアップする場面でその旨を意見したときのことだ。メンバーから「選択肢が限定されすぎた質問は、回答者の自由な意見を妨げるかもしれない」という指摘を受けた。
目から鱗だった。
確かに、あまりに具体的すぎる質問は回答者の柔軟な発想を阻害してしまうおそれがある。極端な場合には、誘導尋問になりかねない。
あえて抽象度の高い質問をすることで、予定調和な結果でなく、深いインサイトを得られる可能性がある。また抽象的な質問に対して「分からない」という回答が来たとしても、それはそれで立派なデータといえる。
整理すると以下のようになりそうだ。
具体的な質問(クローズド、選択肢など)
抽象的な質問(オープン、自由記述など)
アンケートは、回答者の負担を考えつつ、得たい情報をしっかり引き出せるような設計が重要だ。
具体的質問と抽象的質問、どちらがより優れているとは一概に言えない。聞きたい目的によって選択し、両方をうまく組み合わせることで、定量データと定性データ(意外な洞察)の両方を得られるのではないだろうか。