突然ですが、皆さんは「やりがい」を英訳できるでしょうか?
パッと回答が出てくる方は、そう多くはないのではないだろうか。
たまたま業務の中で、「やりがい」という言葉を繰り返し使う場面があった。
「やりがい」という言葉、普段は深く考えずに使っているが、よくよく定義について考えてみると難しく、頭の中がぐるぐるしてしまった。
そこで無意識に試したのが、「英訳してみる」という作業だ。
結論として、英語でぴったり対応する言葉はないようだ。
さらに調べてみると、解説サイトによって使われている単語が異なり、それぞれ微妙にニュアンスに差があるようだった。
これらの英単語はどれも「やりがい」と訳すことはできるが、厳密に一致するものではない。つまり日本語は、言葉が本来持つ多層性を一つにまとめてしまう「曖昧さ」をはらんでいるのだ。
今回、なぜ無意識に英訳にトライしたのか?を考えてみた。
おそらく、学生時代に「日本語には存在しない言葉」を英訳するトレーニングをしたときに、英語のボキャブラリーが鍛えられた経験があったからではないかと思う。
たとえば、「もったいない」や「お疲れさまです」「よろしくお願いします」などの言葉だ。
これらの言葉は、日常的に使っている自分たちでさえ、その意味を問われたとき、正確な定義をパッと答えることができない。
日本語の「曖昧さ」はときに便利だが、同時にやっかいなものだ。多くの人は、この日本語の「曖昧さ」について、深く考えようとは思わないだろう。
しかし、ライターや編集者をはじめとする「日本語を扱うプロ」は、ここに向き合うべきだと思う。
なぜなら、「言葉の曖昧さ」を見て見ぬふりをせず、丁寧に掘り下げることが、語彙力=言葉の精度を高めるカギになるからだ。
ベイジのライターは、「言葉の定義」にとてもシビアだ。
ずっと文章を書く仕事を経験してきたが、ベイジに入ってからは特に、言葉の意味に向き合う機会が増えた。
これまで経験してきた事業会社では、「阿吽の呼吸」でやりすごせることが多く、社内のメディアで使われている言葉について、厳密な定義を深く考えたことはほとんどなかった。
しかし、ベイジではそうはいかない。
ベイジはコンテンツにこだわる制作会社だ。原稿の社内レビューでは、クライアントのウェブサイトに使用する言葉ひとつひとつのレベルで、「本当に正しいのか?」「もっと適切なワーディングはないか?」という主旨のフィードバックが入る。
つまり、ベイジに限らず、クライアントワークではよりハイレベルな語彙力を求められるし、ライターや編集者はその向上に最大限務めるべきである。
「より正しく言葉を使えるようになりたい」という方は、ぜひ以下のステップを試してみてほしい。
語彙力が高まると、コミュニケーションの密度があがる。冗長に説明する必要がなくなり、伝えることが要点に絞られる。そういう意味では、ライターや編集者に限らず、ビジネスマンに必要な汎用スキルであり、身につけておいて損はないだろう。