「名もなき家事」という言葉をご存知でしょうか。掃除や洗濯のような具体的な名前がついていない、細々とした家事のことです。
例えば、献立を考える、洗剤の詰め替え、トイレットペーパーの補充、段ボールの解体など、小さいけれど生活には欠かせない作業を指します。
ディレクターとして働く中で、仕事にも同じような作業があることに気づきました。
どれも小さな作業ですが、これらができていないとプロジェクトが滞ってしまいます。
ただし、こうした作業は案件の見積もりに「会議調整業務」や「議事録作成」として明確に計上されることはほとんどありません。
気づけばミーティング調整や資料作成に多くの時間を割いてしまうことがあります。目に見える大きな成果物がないまま一日が終わる、そんな経験をしたことがあるディレクターさんも多いのではないでしょうか。
複数案件が並行する環境では、名もなき作業を際限なく拾い続けると、ディレクションの本質である進行管理や顧客コミュニケーション、品質管理が後回しになってしまいます。
だからこそ、どの作業を自分で処理し、どの作業を仕組み化や、他メンバーへの委任で解決するかを戦略的に整理することが重要です。
名もなき作業を積み重ねていると、自分の役割が単なる事務処理に思える瞬間もあります。しかし、その作業の集合体がなければプロジェクトは前に進まず、チームも安心して動けません。ここにディレクターの重要な存在意義があります。では、どのようにして向き合えば良いのでしょうか。
まずは現状を把握することから始めましょう。一週間、自分がどの作業にどれくらい時間を使っているかを記録してみてください。意外と多くの時間が名もなき作業に費やされていることに気づくはずです。
私は普段Googleカレンダーにざっくりその日のタスクを登録しているので、その登録内容を頼りに作業内容を振り返りました。以下のようなタスク粒度でカウントしていきます。
などなど。各タスク数分~1時間で終わるものも多いですが、積み重なるとあっというまに1日が終わっていますね。
次に、以下のように作業を3つに分類します。
仕組み化の具体例は以下の通りです。
この際、全社共通のテンプレートを作るところまでいくと、その調整や許可取りにも時間が必要になるのでまずはマイルールとして型を作ってみましょう。
委任のポイントは以下の通りです。
最初は自分でやった方が早いしな…と思ってしまいがちですが、思い切ってお願いします。もちろん、相手のスキルや忙しさ度合いも考慮したうえで依頼しましょう。
初回依頼を乗り越えれば、以降は作業がひとつ手離れします。
こうして時間を確保できれば、本来ディレクションが注力すべき領域——デザインやコンテンツの品質管理、顧客との関係性構築、プロジェクト全体の価値向上——により多くの時間を割けるようになります。
重要なのは、名もなき作業を「なくす」のではなく、「効率的に処理する仕組みを作る」ことです。ディレクション業務に注力するために「名もなき作業」の整理から始めてみませんか?