議事録の自動作成、スケジュールの自動調整など、業務の多くを生成AIが代行してくれる時代である。連絡の手間は減り、仕事は速く回る。本来なら、働きやすさは加速しているはずだ。それでも、ふと立ち止まる瞬間がある。
ベイジでは極端な人間関係の摩擦や、プロジェクトの空気が不必要にギスギスすることは少ない。ただ、テクノロジーによる効率化が進む今、そのスムーズさの裏側で、信頼をより深く育てるための「小さな手がかり」を見落としてしまう可能性はあるのではないか。
効率を追い求めるほど、相手の都合や感情への想像力が、ほんの少し鈍ってしまうことがある。AIが送る完璧で正確なリマインドには体温がない。
だからこそ今は、意識して「人と人」としての会話や確認ができる場を確保する必要がある。1対1で落ち着いて話せる時間。そこで交わされる何気ない雑談や「実はこう思っていて」という本音こそが、AIでは代替できない信頼関係の土台となるはずだ。これは社内だけではなく、対顧客においても言えることだと、私は思う。
AIが仕事のパートナーになった今、人にしかできないことは何なのか。その答えの一つは、相手の背景を想像し、一人の人間として尊重することにある。その入り口となるのが、AIには決して真似できない、血の通ったアプローチだ。
私はクライアントワークにおいて、担当者の方に「業務の妨げにならないよう、最適なタイミングでご連絡したい」という前提を添えて、出社時間や現場の暗黙のルールを伺うようにしている。これは相手やプロジェクトを管理するためではなく、味方として「あなたの働き方を守りたい」というメッセージを届けるためだ。
また、AIはタスクを管理できても、組織の複雑な力学までは読み切れない。「毎週水曜は部長会議で承認が止まりやすい」といった現場特有のリズムや承認フローを先回りして把握し、あらかじめ「承認待ちの落とし穴」を回避する。こうした泥臭くも繊細な立ち回りは、まさに人間の気遣いが真価を発揮する領域といえる。
相手の状況を察することこそ、これからの時代、人に残される最も重要なスキルの一つだ。AIは過去のデータを分析するが、人は目の前の相手の表情や言葉の端々から、「今、この人は誰かに話を聞いてほしいのかもしれない」と直感できる。その直感を信じて一歩踏み込む勇気が、単なるビジネス上の付き合いを超え、揺るぎない信頼関係へと変えていくのだと思う。
忘れてはならないのは、このアプローチをつかうと自分の仕事も楽になるという事実だ。たとえば以下のようなことがあげられるだろう。
業務の一部を生成AIに任せることで生まれた時間と心の余裕を、目の前の相手を知るために使う。生成AIは仕事を速くし、摩擦を減らしてくれる。しかし、信頼の核は「相手の状況を想像し、尊重する」という人間的な気遣いの中にしかないのだと思う。