「自作AIドリル」で執筆力を鍛える

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コンテンツディレクター 星山かなた

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この前、コンテンツディレクター(ライター)の先輩が「形容詞を動詞に変えるだけで、文章が伝わりやすくなる」と言っていた。

例えば、「恥ずかしかった」を「怖くて顔を上げられなかった」に、「目標を達成してうれしかった」を「モニタの前で小さくガッツポーズした」にする。動詞で表現する、つまり具体的なシーンを描くことで、読者のイメージがクリアになり、読者の理解度がぐっと上がるという。

なるほど、さっそく試してみたい!と思ったときに、「自分専用の『執筆力を鍛えるアプリ』を作ってみてはどうだろう?」とひらめいた。

アプリを自作するとは?

ベイジでは最近、Claude(AI)でアプリを作ることが全社員に推奨されている。

アプリ制作の動きは、私が入社した2026年2月から始まった。3月現在、おそらく20程度のアプリが作られている。遊び要素が詰まったアプリから業務効率化に寄与するアプリまで、ジャンルは幅広い。

人により作り方もさまざまだが、簡単なものだと、Claude.aiのチャット画面で「○○のアプリを作りたい」と伝えて何回かやりとりするだけで、Claudeがコードを書いてアプリが完成する。やりとりも、「必要な要素は?」「どういう項目を入れる?」などClaudeからの質問に答えるだけだ。非エンジニアでも5分でアプリの骨格ができてしまう。

私もClaudeを触り始めたころから、いつかアプリを作って業務に活用したいと思っていた。そんな折に、冒頭の執筆力アップの知見が舞い降りた。Claudeを使えば、文章のトレーニングができるアプリが作れるかもしれない。

自分専用の執筆力を鍛えるアプリを作る

そこで、先輩が言っていた「形容詞を動詞に変える(=シーンを描く)」に従って、シーンを描く練習ができるブラウザアプリを自作することにした。

1日1問、わずか3〜5分で完結するライティングドリルである。

ライティングドリルの仕組み

▶ライティングドリルのブラウザアプリはこちら

1. アプリから「Before文(抽象的な表現を含む文)」が提示される。

2. Before文を具体的なシーンに書き換えて、After文の入力欄に入力する。

3. 「提出する」を押して生成された「AIへのフィードバック依頼文」をAI(Claudeなど)に貼り付け、添削を受ける。

出題される問題は「サービスの特長」「組織文化」など、BtoBサイトや採用サイトを手がけるベイジで頻出の表現100問を用意した。 回答はブラウザに保存されて、いつでも振り返りができるようにしている。

1週間、毎日3分ドリルを解いて変わったこと

このドリルを始めて1週間。 文章が劇的に変化したとまでは言えないまでも、書く手前にある「気づく」「分かる」という感覚に変化が現れ始めた。

1. 修正すべき箇所に気づきやすくなった

毎日「この文章をもっと伝わりやすく書き換えるなら?」を考え続けると、文章への感度が上がる。本やウェブサイトの文に読みにくさを感じたときも、抽象的でぼんやりしている部分が少しずつわかるようになってきた。

自分の文章に対しても同じだ。なんとなく書いた文章を読んだときに、「ここを修正したらよくなりそう」というセンサーが働きやすくなった。

2. シーンを描くと「納得感」が生まれることが分かった

何度かドリルを解いていくうちに、ベイジの手がけるようなBtoBサイトや採用サイトにおける「シーンを描くこと」の重要性が分かった。

例えば、企業の採用サイトで「若手の意見が通りやすい職場」という表現がある。このままだと、人によって思い浮かべるシーンが異なる(若手って新卒?どう意見を通したの?どんな提案が通るのか?)。そのうえ、読み手からすれば「本当に意見が通りやすいのか?」「言っているだけで実情は違うのでは?」と疑いたくなる。全く説得力がない。

一方、「入社2年目の新卒社員が上司に直談判し、3カ月後に自分が設計したシステムが全チームに導入された」だと、途端に「本当に意見が通るんだな」と納得感が出る。もし若手の意見が通りやすい職場を求めている新卒の学生がいたら、後者を評価するだろう。

こうした練習を繰り返すうちに、シーンを描くことで、読み手に納得感が生まれることを理解した。BtoBサイトや採用サイトの読者は、社内稟議が必要な高額な決断や、自身のキャリア人生を賭ける決断をするにあたっての、情報収集をしに来ている。そういった読者は、自身の不安を払拭してくれて、決断してもいいかもと思わせてくれる企業を選ぶはずだ。

シーンを描くと、読み手を納得させて心を動かし、行動させることに繋がるのである。

3. 情報収集なしにシーンは描けないことが分かった

ドリルのBefore文は、どの企業の紹介でも書けそうな抽象的で平べったい説明になっている。そのうえ、どんな企業かといった前提情報が特にないため、具体的に書こうとすると、自分で設定を創作しなければならない。

実際の案件ではもちろん、自分で設定の創作なんてできない。だから、文章で魅力を伝えたいなら、現場で何が起きているのか、シーンで書けるレベルまで聞き出す必要があると分かった。

もちろん、全ての現場の様子を生で見るのは不可能だから、ある程度の仮説は必要だ。でも、現場で起こっていることを想像して書けるくらいまで情報収集をしないと、コンテンツを作る意味がない。

顧客から情報を引き出すのも、コンテンツディレクターの仕事ということだ。書くためのトレーニングが、聞くためのトレーニングに繋がっていたのである。

アウトプットすると気づきが生まれる→行動できる

ドリルを解いていくうちに、関連する新しい気づきが生まれて、知見をより深く理解できる。「知っている」と「理解して活用できる」の間の溝を埋めるためには、アウトプットが必要だと改めて実感した。

まずは1日3分、AIの力を借りてこのドリルを続けてみる。ある程度納得できる文を書けるようになってきたら、また新しい問題を作ってみたい。

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