ベイジでも、新しい人が入ってくると、一応育成担当を任命する。しかし、うちのように人数が少なく、それぞれが密接に関わりながら仕事をする現場では、全員が育成担当である、というのが実状ではないかと思う。
そのため、社員全員が育成をする上での基本を理解する必要がある。組織的に育成を行う上で押さえておくべきポイントは、3つあると思っている。
1について、精神論だけで話を終わらせると、大抵それは実行されない。いつも精神論しか言わないと、育成に時間を使っても、それに見合った成果は出にくい。特に経験の浅いスタッフには、すぐに行動に反映できる具体的なサジェスチョンが必要である。
2は、案外陥りやすい。せっかく育成につながる行動をしても、その実施内容や、どういう話をしたかを周囲に共有しなければ、組織へのフィードバックがなされなくなる。
育成の過程が見えなければ、指導方法が適切でなかったとしても、誰もそれを指摘するができない。もし誰かが成長しても、それが誰のどういう行動のおかげかを知ることもできない。育成をしたものが、周囲から正しく評価されるためにも、育成に関する行動は組織内でできるだけオープンにする必要がある。
3について、育成にはそもそも時間がかかる、ということである。同じことを、何度も繰り返し継続するのが、育成の基本である。
便利な言葉なので一応使ってはいるが、育成という言葉は、僕はそんなに適切な言葉ではないと思っている。なぜなら、誰かが成長をしたように見えても、実際は本人が元々持っている才能が引き出されて環境と調和するようになっただけ、ということが多いからである。我々がやるべきことは、厳密には育成というよりサポートに近いと思うからである。
あくまでサブ的にサポートする行為だからこそ、必要なのは、時間である。種にいくら水や肥料を大量にあげても、一週間で花を咲かせることはできない。長い時間、継続的に、1回に必要な量だけをあげ続けて始めて、キレイな花を咲かせるのである。
育成を担当するものには、性急に成果を求めるのではなく、根気よく腰を据えて付き合っていく度量が必要である。
この3つをきちんと意識できている組織だと、人が自然に育っていく組織になれるのではないかと思う。