リード

投稿日:
執筆者:
枌谷 力
ジャンル:
マーケティング

一般的には見込み顧客と言い換えられる用語です。国内有数のBtoBマーケティング企業であるシンフォニーマーケティング社の用語集マーケティングキャンパスではシンプルに「見込み客」と定義されています。一方、同じくBtoBマーケティングで数多くの実績がある上島千鶴氏の著書『マーケティングのKPI』では、「成約につながる、あるいは取り引きが成立する可能性が少しでも見込める個客」と定義されています。また、米国のWikipediaでは「the contact information and in some cases, demographic information of a customer who is interested in a specific product or service(特定の製品またはサービスに関心を持つ顧客の連絡先あるいはデモグラフィック情報)」と、リード=情報といった主旨の説明がなされています。

日本では確かに「リード=見込み顧客」と読み替えても意味が通る場合も多いですが、言葉が持つニュアンスや本来の意味は、リードと見込み顧客では若干異なっており、それが上記のような定義の差異に繋がっています。

日本語における見込み顧客は「顧客」の派生語であり、「新規顧客」「既存顧客」といった言葉と並列関係にある存在です。顧客は、曖昧さを多分に含んだ言葉であり、文脈によって人を指す場合と企業を指す場合が存在します。また見込み顧客は顧客の派生語であるがゆえに、例えば「既に契約がある企業の新しい担当者からの引き合い」を端的に表現することができません。こういった引き合いを見込み顧客と表現するのか、新規顧客と表現するかは、使う人の判断に委ねられています。(英語では「カスタマーリード」と表現されます)

英語の【Lead】は、動詞だと案内する、導く、名詞だと手がかり、キッカケといった意味を持っており、マーケティング用語としてのリードも、基本的にはこれらの意味に準じています。たださらに加えて、売上に繋がる「一本の線」をイメージすると、リードのニュアンスがより明確に掴めると考えられます。

線の終点が受注や成約です。線の始点は受注に繋がる最初のキッカケです。この始点と終点をつなぐ一本の線がリードというわけです。BtoBビジネスにおいては、始点は購買担当者との最初の接触となることが多く、そのためリードは事実上、人を示すことになります。ただし同じ企業内の同じ人であっても、その人が他部署に異動し、まったく新しいプロジェクトの担当者となり、新しい案件のキッカケとなる場合は、同じ人であっても、別の新しいリードということになります。

マーケティングプロセスの効率化を図るマーケティング・オートメーション(MA)や、セールスプロセスの効率化を図るセールス・フォース・オートメーション(SFA)も、基本的にはこのリードの考え方を踏襲して設計されています。リードが始まり、受注という終点に至るまでの工程を管理するために、これらのツールが用いられます。

BtoBマーケターが見込み顧客という言葉をあまり使わず、リードという言葉を用いるのは、単にカッコいいからという理由ではなく、このようなニュアンスの違いがあるためです。言葉の曖昧さをできるだけ排除し、MAやSFAといったリードの概念を踏襲したツールの利用を前提として話をする場合には、見込み顧客や新規顧客といった日本語ではなく、リードという外来語をそのまま使った方が、誤解を招かず、より正しい理解に繋がるためです。

上記の説明の通り、顧客の派生語である見込み顧客と異なり、リードはカスタマーとは別の概念の言葉です。独立した用語であるため、リード○○、○○リードといったように、他の言葉と組み合わせて、リードに対する行動や状態を細かく表現することができます。

例えば、リードを管理することはリード・マネジメント、リードを獲得することはリード・ジェネレーション、リードを啓蒙することはリード・ナーチャリング、リードを評価して絞り込むことは、リード・クオリフィケーションと表現されます。

また、リードのモチベーションを表現するために、ホット・リード、ウォーム・リード、コールド・リードといった、温度に関する形容詞を付けて表現されることもあります。

さらには、マーケティング部門が扱うリードと、セールス部門が扱うリードを明確に区別する用語も存在します。マーケティング部門がクオリファイしたリードはマーケティング・クオリィファイド・リード(MQL)、マーケティング部門から情報提供しセールス部門が受け入れたリードをセールス・アクセプテッド・リード(SAL)、マーケティング部門を通さずセールス部門が直接獲得したリードをセールス・ジェネレイテッド・リード(SGL)、セールス部門がクオリファイしたリードは、セールス・クオリファイド・リード(SQL)、などといったように表現されます。

なお、リードは顧客化プロセスが把握しやすいBtoBマーケティング/セールスの世界でよく使われますが、BtoB限定の用語というわけではありません。特に、家や車、保険など、販売単価や消費者関与が高いBtoC商材においては、BtoBと似たリードマネジメントの考え方が有効になることも多いです。

参考

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