ユーザーにとって何が重要かを知るには、自身がユーザーとなって体験することが重要だ。
例えば、某うどん専門店ではレシートにQRコードがついており、それを読み取ることで無料券や割引券を入手することができる。ユーザーがこの特典を期待していることを理解している従業員と、理解していない従業員では対応がまるで変わってくるだろう。
理解している従業員の場合、客に割引券を必ず渡し、レシートに関しては必要かどうか確認するだろう。しかし理解していない従業員の場合は、客の確認を取らずに割引券やレシートを渡さないという選択をとる可能性がある。小さな差かもしれないが、客が受け取る印象にはやはり差があり、後者より前者の対応の方が好ましいだろう。
これを私たちの仕事に置き換えてみよう。例えばwebサイトの印刷ボタンがスマートフォンサイトに表示されていることがあるが、ユーザー視点に立ってみるとスマートフォンで印刷するシーンは考えづらく、利用されない機能であることに気づく。
PCサイトにおいても、ブログの場合はヘッダやフッタは不要で、ブログの内容だけ印刷したい人が多いはずだ。そのユーザーのためにブログ記事だけでも印刷できるようにしておくなどの気遣いはユーザー視点になるとできるだろう。また、タブ形式やアコーディオン形式の導入に関しても、ユーザーが知りたいコンテンツを隠してしまう、ということもあり得る。
普段から案件と似たようなサイトを利用しその特性を理解していると、自身が作り手に回った際に、上述したような使用しない機能、あったほうが便利な機能に気づくことができる。実体験からコンテンツの必要性を判断できるようになるのだ。
重要なのは案件と似たサイトに触れることだ。全く違うジャンルのサイトに触れていても気づきはあるが、案件と近いジャンルのほうが構造やコンテンツが似ているため、体験したことを実務に活かしやすい。「ユーザーが真に必要としているのは何か?」に気づけるようになるには自身がユーザーになってしまうべきだろう。