仕事をしていると情報のインプットは自身の専門領域に偏りがちだ。そこでベイジでは最近、毎週月曜日の週間ミーティングの進め方を変更した。各回で発表者を1人決めて、専門領域や興味分野の情報を15分で共有するようにした。
先日の自分の担当回では、PWA(Progressive Web Apps/webサイトをアプリのように軽量・高速に利用する技術)について発表した。発表の事前準備にあたって特に考慮したポイントが以下の3つだ。
発表の対象はベイジのメンバーだ。エンジニアだけでなく、普段それほどコードや技術に触れない職域の人もいる。そのため、ターゲットは「PWAという言葉は知っているが具体的には知らない人」とし、ゴールを「PWAの概要理解」に定め、目的、特長、実例、メリット/デメリットの順でまとめることにした。
コードを交えた技術の説明は一切省き、PWAがどういうものなのかを伝えることに専念するため以下も念頭に置いた。
事前にターゲットとゴールを決めておくと構成やゴールへの導き方が見えてくる。また、発表する内容を声に出して練習する時に「どんな言葉を選べば伝わりやすいか」が検討でき、内容の改善と事前準備がとても楽になる。
もし事前にターゲットとゴールを明確にしていなければ、専門用語だらけで何を伝えたいのか分からない発表になっていたかもしれない。
発表するときに資料の分かりやすさは大事だが、それと同じくらい話の分かりやすさも大事だ。
例えば、資料に長々と文章が書かれているより、要点が箇条書きでまとめられていた方が読みやすい。しかし、それだと情報をすべて伝えるのは難しい。口頭での補足を交えながら解説する必要があり、分かりやすい話を組み立てるためにも声に出して練習するのが良い。
声に出して練習するメリットは、発表にかかる時間を計算し内容を精査できる点だ。本番では練習で話した内容を話せば良いため緊張も軽減される。
情報共有の場は充実した時間にしたいが、準備に時間をかけるのは負担になるし続かないので、なるべく事前準備は短く済ませたいと感じていた。
発表の筋道を立てるのに30分、資料作りに1.5時間、実際に声に出す練習と内容の修正で1時間と合計3時間ほどかけた。自分としては短時間で完成したと感じており、その要因は「すでにある資料を引用できたこと」と「インプット済みの知識をもとに作成できたこと」だと考えている。
情報共有で特に身に付けたいのは「情報を分かりやすく伝えること」だ。これを達せられるのであれば資料はどのようなものでも良いと考え、GoogleがPWAについて発表した英語の資料を日本語訳し、ほぼそのまま使用した。結果的に一から作るより時間を短縮でき、情報の精度も上がって、きちんと伝わったように思う。
今回の情報共有のゴールは「PWAの概要を理解すること」で、そこまで専門的である必要はない。日頃から行っている情報収集で得た知識でほとんど事足りていた。ターゲットとゴールが決まった段階でおおよその内容は固まり、あとは正確性の調査や補足を行うだけで良かった。
もし日頃からインプットを行っていなければ情報収集から始まり、発表内容の検討、発表資料の素材集め…とかなり時間がかかるのではないかと思う。インプットする習慣が身に付いていると、いざというとき慌てて調べなくて済む。また、その知識を情報共有の場でアウトプットすることで自分の考えが整理できる。
今回の情報共有はすでにある知識をもとに方針を決めて準備したためうまくいった。反対に新しい物事について学び、それについてアウトプットする場合も、今回学んだ3つのポイントは活かせるはずだ。そのときはまた別の方法を考えないとならない。15分という時間内であっても良質なアウトプットができるよう、また聞く人にとって有益な時間になるよう次回以降も準備を怠らずに臨みたい。