エンジニアがフロントエンドもバックエンドも一貫して行うようになり、特に今年に入って私はCMS実装をする機会が非常に多くなった。これまではモックの実装までを行ってCMSはバックエンドのエンジニアに引き継いで実装してもらっていたが、今年はほぼすべての案件で一貫して実装を行った。その中で「Movable Type」というCMSを実装することが2回ほどあった。
Movable Typeは基本的にはWordPressなど他のCMSと同等の機能を持っているが、大きな違いとして「静的なHTMLを生成できる」という特徴がある。そのためデータベースにアクセスすることなくページを表示することができるためサーバーに負荷がかかりにくく、ページ表示速度も速くなる。
私にとって「CMSといえばWordPress」という固定観念があってそれ以外を触ったことがなかったのだが、そんな中で感じたことを今回は振り返る。
WordPress以外のCMSを初めて触ったという状況だったが、Movable Typeはすんなり理解することができた。その理由として、管理画面と全体の仕組みがわかりやすいのが挙げられる。WordPressというと、
のように管理が大きく2ヶ所に分かれているが、Movable Typeはテンプレートもページの編集も管理画面からすべて行っている(WordPressもやろうと思えばできるが)。このように一元管理できることが大きなポイントだ。
また、テンプレートの編集も比較的浅い階層のところにありアクセスしやすいのと、用途ごとにテンプレートの種類が分かれていて見やすく、どんなテンプレートがあるか把握もしやすくなっている。
初めてMovable Typeを使ってみるにあたり、もっとも懸念していたのは必要な関数が不足してWordPressでできることがMovable Typeでは実現できない、といったことだった。しかし、実際に開発を進めてみるとMovable Typeにも関数は豊富にあり、不便に感じなかった。
ただ、より複雑な実装が必要となった場合はできないことが出てくる、あるいは実装の手順をかなり踏まなければならない可能性はあるので、最初の段階で設計をしっかりしておかないといけないと感じた。
わからないことがあるとまずググるが、だいたい一番最初にヒットするのがMovable Typeの公式ドキュメント、と言っても過言ではないほど公式ドキュメントが役に立つ。公式なのだから当然かもしれないが、ほとんどのタグについての詳細な使い方の掲載がある他、「Tips」というページではちょっとニッチな使い方も掲載している。
ここまでメリットに感じられる点を挙げてきたが、その一方でプラグインがWordPressに比べて少なかったり、サイトの規模が大きくなると「再構築」に時間がかかるようになるといったデメリットも少なからずある。
ただ、Movable Typeを使ってみて私が感じたのは総じて、「理解しやすく使いやすい」ということだ。もちろんウェブサイトの特性に応じて導入するCMSは選ぶべきだし、案件で多いのも圧倒的にWordPressなので「Movable Typeをすぐにでも学ぶべき!」とは言えない。
ただ、もし初めてCMSを触る、CMSとはどんなものなのかを理解したいというエンジニア初心者にはMovable Typeを使ってみることをオススメしたい。