打ち合わせで「顧客の御用聞き」を回避する2つのヒント

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ライター 五ノ井 一平

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ベイジにはお互いにフィードバックしあう文化がある。制作会社で行われているフィードバックと聞くと、一般的にはデザインなど成果物に対してのものを想像するかもしれない。しかしディレクターである私の場合、ミーティング中の話し方や顧客に対する対応でフィードバックをもらうことが多い。

先日参加した顧客とのミーティングでも、顧客から質問を受けた際の対応で気を付けたいポイントを2点教えてもらった。個人的に、御用聞きの姿勢を回避しつつプロジェクトをリードしていくコツだと感じたのでシェアしたい。

①できる / できないではなく、やるべきか否かで考える

顧客の質問や相談は「なんとなくこう思うけど、どうなんでしょう?」という、ざっくりとしたものが多い。質問を受ける側が留意すべきなのは、「顧客は実現の可否について聞きたいのではないかもしれない」ということだ。

「なんとなくこう思うけど、どうなんでしょう?」とは、「こういう結果になるはずだからやってください、できますか?」という強い意味ではなく、「私たちの仮説はあっていますか?やって効果がでるものでしょうか?」という、実行する以前の不安を抱えたものがほとんどだ。

その道のプロなら、リソースや技術面を考えて「できる / できない」を答えるだけでは不十分。顧客が得たい結果を理解し、有効なら実行する、効果が得られないなら別のやり方を提案するくらいのことをやってのけたい。

(そもそも、顧客の要望は時間・費用・技術があればほとんど「できる」。ここが御用聞きになりやすいポイントでもある。)

顧客とのミーティングでは様々な質問や要望をいただくが、まず最初に「やるべきか否か」の観点で考えるようにしたい。


②話を理解してから話す、理解できない場合は取り繕わず質問する

顧客から質問を貰う。それに自分は一生懸命答える。すると顧客はなんとなくモヤっとした顔つきになり、その場に沈黙が訪れる……。ここで初めて、自分は質問に対してズレた回答をしてしまったのだと気付く。

質問の意図を理解できずに返しを間違う、というのは、誰にでもある経験だろう。緊張すればするほど、焦りがこういったミスにつながり、微妙な空気がさらに焦りを生むという悪循環に陥ってしまう。

初歩的なことではあるが、顧客から質問を受けたら一拍置いて自分の中で消化するべきだ。理解するための時間を惜しんではならない。質問を明確に理解できていないのに、自分を取り繕うとして答えるからズレる。

理解できなかったら理解できなかったで、「~という質問ですか?」と、まずは理解できた意図を自分なりの言葉にして確認すべきだ。

そのうえで、あるいはうっかり、ズレた回答をして相手の顔を曇らせてしまったときは、正直に「もう一度質問をお聞きしていいですか」とお願いするのがいい。

ズレた回答で「聞きたかったことと違うけどまぁいいか」と相手になあなあな気持ちを抱かせ、そのままミーティングを終えてしまうことは、絶対に避けたい。


この2点を聞いて「言われなくても分かってるよ」と思う人もいるだろう。だが、もし直近で心に傷を負ったミーティングがあったのなら、ぜひこれらに注意して振り返ってみてほしい。そして意外と実行できてなかったと感じたら、「理解している」から「実行できる」になるまで、何度も頭に叩き込むのをおすすめしたい。

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