前職では制作部に女性スタッフが多く、子育てのため時短勤務になるケースが頻繁にあった。
出産前は21~22時までの残業が普通だった人が、必然的に17時退社を死守しないといけなくなる。そのため時短になる前となった後で、彼女たちの仕事のやり方は、周りから見ても大きく変わっていた。
限られた勤務時間でも絶対に仕事を終わらせるための方法は、時短勤務ではない私たちにとっても参考になるのではないだろうか。
ここでは、私が時短勤務の人から学んだ中で、特に印象的だった2点をシェアしたい。
一つ目は、コミュニケーションの取り方について。
たくさんコミュニケーションを取るのはいいことだが、実はムダな時間が生まれやすい原因でもある。
よくあるのが、相談したいときに、いきなり話しかけてしまうケース。急に言われて相手もすぐに回答が思い浮かばず、お互い「うーん…」と悩んだまま話を続けて数十分が経過してしまった、なんてことも多いのではないだろうか。
あらかじめ相談内容をメールやチャットで軽く伝えておけば、相手も事前に回答を準備しておける。自分が思っていたより単純な話で、そのままメールで回答がもらえるかもしれない。
一方で、メールやチャットに頼りすぎるのも考えものだ。電話と違って相手の時間を奪わないという利点はあるが、回答が返ってこないと自分の時間を失うことになる。数日かけて何往復もやりとりするくらいなら、直接話してしまったほうが早い。
まずはメールやチャットで要件を伝える。思ったように回答が来なければ、相手にボールを投げっぱなしにせず、電話などで直接話す時間を設定する。
時短勤務で働く人たちは、このような流れが自然とできていた。私たちも真似すれば、ムダなコミュニケーションの時間を減らせるはずだ。
二つ目は、自分で仕事を抱え込まずに、他人を頼ること。
「頼まれた仕事は責任をもってやり遂げたい」「仕事ができない人だと思われたくない」という思いは、誰しもが抱えているだろう。
しかし、勤務時間が減っても仕事量が変わらないなら、限られた時間で全て終わらせることは難しい。どれだけ自分の業務を効率化しても、限界はある。
だからこそ、「これって本当に自分がやる必要あるの?」という視点を持つことも必要だ。別の人に任せることで、結果的に早く終わる仕事もある。
会社全体の動きを最適化する上で、自分は何に集中すれば一番パフォーマンスを発揮できるのか、常に考えておきたい。それによって仕事の優先順位が決まり、時間のかけ方も変わってくるだろう。
また、自分でやり遂げるにしても、悩んだらすぐ他の人に相談する姿勢が必要だ。仕事を進められずに、ただ抱えているだけの時間はムダでしかない。
時短勤務で働く人たちは、こうして素直に周囲の手を借りることで仕事を終わらせていた。どうしても時間が足りないとき、無責任に仕事を放り投げてしまわないように、私たちも上手な「他人の頼り方」は身につけておきたい。
ここまで、限られた時間内で仕事を終わらせる2つのやり方について書いてきた。
いずれにしても、このような工夫を時短勤務の人ができていたのは、そうせざるをえない状況にあったから、とも言えるのではないだろうか。
すると仕事を早く終わらせたい場合、一番にやるべきは制限時間を明確に決めることかもしれない。まずは「何時までに仕事を終わらせる!」と心に誓った上で、ここに書かれた2つの働き方を真似してみてほしい。