ベイジでライターとして働き始めて3年。ライターチームのメンバーも6人になり、マネージャーとしてチーム全体のマネジメントや新メンバーのサポートをする機会も増えてきました。
そんな中で最近よく考えるのが「自律したクリエイター」について。
自律したクリエイターをもう少し具体的にいうと、ベイジの場合では「一人で案件を進められ、社内外から信頼獲得できる人」といったところでしょうか。
では自律するために必要な要素はなんでしょう。いろいろあると思いますが、私は「考える力」と「経験」の2つを挙げたいです。そしてメンバーを自律したクリエイターに育てるためにマネージャーに期待される役割はなんでしょう。
端的にいうとそれは「成長できる環境を用意する」ではないかと考えます。
メンバーの「考える力」と「経験」、そしてマネージャーが用意する「成長できる環境」が合わさってこそ、自律したクリエイターへの道が開けるはずです。
今回はマネージャーの観点から自律したクリエイターを育てるために必要なマネージャー側の心構えについて、現時点で私が考えていることをまとめてみます。
個人的な意見ですがマネジメントで大切なのは「邪魔しすぎないこと」だと思います。
邪魔をするとは例えば
「マニュアルのようにやるべきことを1から100まで伝える」
「質問に対して明確な答えを提示してそれを実行させる」
「ミスの気配があったら先回りしてリスクを取り除く」
「ミーティングではメンバーが発言しなくても済むように自分が進める」
といったものです。
絶対的な正解がある業務や失敗が許されない業務では、このような方法が正しいかもしれません。ベイジにもこういった業務も多少は存在します。しかし、そうではない、正解の無い業務のほうが圧倒的に多いです。
そのため上に書いたような手法はただの過剰サポートでしかありません。このような環境下では仕事の流れはなんとなく理解できても、自力で考える力は身につかないでしょう。
サポートを「自律への支援」と定義すると、マネジメント側がやるべきことは答えの提示ではなく問いかけです。例えば、仕事を依頼するときに細かすぎないオーダーをして本人に考える余地を与える、質問されたときに「あなたはどうするのが良いと考えていますか?」など本人の考えを引き出す聞き方をする。
ある程度の裁量を与える、いい意味での本人にお任せスタイルこそ、自分で結論を出す癖や仮説を立てて話す習慣、つまるところ「考える力」がいち早く身につくのではないでしょうか。
そのためにもマネージャーはときどき「自分がメンバーの成長の足かせになっていないか?」を自問自答したほうがいいのかもしれません。もちろんお任せしすぎることが成長の足かせになっているパターンもあるので結局はバランスですが。
考える力と同じくらい重要なのが「経験」です。ここでいう経験は、単に会社に所属して働く、プロジェクトにアサインされて働く、という意味ではありません。
ここでいう経験とは「失敗も成功もすべて自分のものとして実感できる経験」のことです。
自信を持って提出した原稿が真っ赤になって戻ってきた経験、試行錯誤して完成させた案が却下されて涙をのんだ経験、クライアントとうまく関係性を築けた経験、クライアントから感謝された経験。こういった小さな失敗や小さな成功を繰り返して人は成長します。仕事ができる先輩の姿を横目で眺めているだけでは成長しませんし、どれだけビジネス書を読んだって成長できません。
人は小さな失敗や成功を繰り返すことで、自分自身の次なる課題が発見でき、それによりさらなる成長ができます。そして、あらゆる経験を自分のものとして実感できる環境を用意することが、マネージャーの役割なのだと考えます。
失敗できる環境を用意することは、失敗後のフォローを充実させることとイコールです。フォロー体制が整っていないと失敗がクライアントの心象を悪くしたり致命傷になるリスクがあります。また、そもそも失敗を恐れて誰もチャレンジしない風潮になりかねません。
フォローの大前提としてあるのが、相談しやすい関係性を構築できているかどうか。マネジメントをする側が失敗を即発見できればいいですが、自分の業務もあるため難しいのが実情でしょう。そのため失敗した本人からすぐに相談や報告がくるような関係性でいることが不可欠です。
そしてマネジメント側に求められるのは、失敗の内容や度合いに応じて、誰がどう対応するのかを個別に判断する力。失敗した本人に挽回策を考えてもらって実行してもらうのか、それともマネージャーや他スタッフが巻き取るのか。
何事もなく成功するよりも、失敗してそれを挽回した方が相手と信頼関係を築きやすい、というのはよく耳にする話です。失敗を戦略的に捉えて、むしろメンバーの成長や顧客からの信頼獲得などのプラス要素につながるような体制づくりを目指していきたいものです。
サポートの方法には正解がなく、その時々に応じて最善の方法というのも変わっていくものです。結局のところ、サポートに回るマネージャーや先輩社員側も、マネジメントにおける失敗経験を重ねることで、地道にその質を高めていくほかないのかもしれません。