マネージャーの皆さんは、部下を持つ立場として「マネジメント」の難しさを日々実感していることだと思う。なにを隠そうわたしもその一人で、日々迷いながら試行錯誤をくりかえしている。特に、対象となる部下には固有の性質があり、各人どのような環境・条件下で最高のパフォーマンスを発揮するかは千差万別で、その違いを理解するのは容易ではない。しかし難しいからと言って放置するには、これはあまりに重要すぎるトピックではないだろうか。
周囲を見渡しても、TwitterなどSNSの投稿を見ても、多くのマネージャーが独自のスタイル・やり方に固執するシーンをよく目にする。「自分はこうやって育ってきたから、これが正しいやり方なのだ」と。しかし、部下は十人十色。あなたやわたしとは違う生き物だ。固有の性質を無視しての指導は、部下の能力を十分に引き出すことができないと思う。
あるプロジェクトメンバーを例に挙げる。営業活動を担当する彼女は得意な商談とそうでない商談があった。「うまくいく商談とうまくいかない商談、この違いはどこにあるの?」と話を聞くと、準備した仮説が顧客の課題と合致した時はうまくいくと話していた。しかし、この仮説が少しずれていた場合や、そもそも商談相手から共有してもらった与件とベイジのサービス内容に親和性がなさそうな場合に、対応に迷いが生じると話していた。
このように得意・不得意の違いがわかれば、事前準備に工夫を生んだり、不得意にそもそも対応するべきか・考慮する必要が薄いかなど、いくらでも対処方法が分かってくる。単にその人の力不足と安易に断定するのではなく、力を発揮しやすい環境や条件を冷静に分析することのほうが、はるかに対処方法が見つけやすい。
もちろんなんでも対応できるのが理想かもしれないが、そもそも人間そんな完璧にできていない。私にも苦手なことはあるし、当然これを読んでいるあなたにもあるはずだ。重要なのは部下の「力を発揮しやすい環境」を知り、その環境を作り出すこと。そして、その経験を元に新しい環境でも対応できるようサポートすることだと思う。マネジャーの役割は、部下が力を発揮しやすいようにサポートすること。それが、本来の仕事だと日々実感する機会が増えてきた。