本書のオススメの読者としては、
である。興味を持った方はぜひ読んでほしい。というか読むべきである。それくらい言い切ってもよいと感じた良書だ。
では、本題の書評に入らせていただく。
『ファシリテーション超技術』は、問題解決を目指す会議の適切な運営法を伝授してくれる本だ。
会議の種類には「進捗確認」や「意思決定」「説明会」などいくつかあるが、特に「問題解決」を行う会議ためのファシリテーションに特化した内容になっている。
具体的には「企画会議」や「業務改善会議」など、参加メンバーが知恵を出しあって、議論をしながら物事を決めていく会議が当てはまる。こういった「問題解決」を主眼に置く会議で本書は力を発揮する。
筆者は冒頭の書き出しで「良い会議のための条件とは何か?」という問いを読者に投げかける。この問いに自信を持って答えられるビジネスパーソンはあまり多くないのではないだろうか。
その答えは時間厳守や方向性の決定は当然のことながら、1番は「参加者の納得度が高いこと」と明言している。
この投げかけから、「参加者の納得度を高めるため」のファシリテーションの考え方からテクニックまで綴られていく。
具体例を挙げよう。会議は時間軸で考えると
の大きく2つに分けられるだろう。
事前準備とは「会議をどうデザイン(設計)するか」を考えることであり、そのアウトプットは「アジェンダ」としてまとめられる。アジェンダはよく「議題」と訳されるが、本書では、議題だけでなく、会議の目的(ゴール)も明確に記載されるべきだと説く。この事前準備が会議の成否の80%を決めるとまで言及しているのが印象的だった。
会議中は進行管理と場作りがファシリテーターの役割となる。じっくりと練られたアジェンダを用意できたとしても、議論が紛糾して時間通りに会議が終わらなければゴールを果たせたと言えないし、逆に雰囲気作りができずに参加メンバーがほとんど発言しないのでは、本末転倒となってしまうためだ。
その他にも、
などファシリテーターが会議を円滑に進めるポイントについても具体的に記載されている。
また購入者特典として、筆者が使っているアジェンダのテンプレートやファシリテーションチェックリストも用意されており、すぐに実践に移せるように気が利いてるのもオススメポイントだ。
最後の章では例として「筆者が会議をファシリテーションしたならばどんな進行になるか?」というコンテンツが掲載されている。具体的なイメージが掴みやすく、それまでの章で書かれたのエッセンスがまとまっているため、良い復習になっており、構成としても優れていると感じた。
会議の進め方に悩める人たちに、ぜひ読んでもらいたい一冊である。