【書評】センスがない人は、いない。

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デザイナー 原浦 智佳

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年末年始に水野学さんの「センスは知識から始まる」を読んだ。

ベイジの採用が決まったあと、おすすめの本を聞いて教えてもらったのがこの本だった。入社前まで読んだものの当時は、まだデザイナーの仕事への理解度が今よりも少なかったからか、「ふむふむ大事なことだな」とは思ったものの正直あまりリアルに感じられていなかったと思う。

今回は、1年半前に同じ内容を読んだとは思えないほど、一言一句がリアルに、そして深く理解できた感覚だった。特に印象的だった部分をまとめたいと思う。

王道を理解し、共通項を見出すとセンスは磨かれる

センスは生まれつきのものではなく後から養えるもの。センスはある/ないではなく、鍛えれば誰でもできるようになる。そして、まさにこの本のタイトル通り、センスを磨く方法の1つに「たくさん知識を蓄える」方法がある。

では、どのように知識を身につけていけば良いのか。

  1. 王道を知る
  2. 流行を把握する
  3. 王道と流行に共通点がないか観察・分析する

特に「1.王道を知る」が非常に重要で、その分野の定番やロングセラーには、必ずその分野の”らしさ”が含まれており、これを「しずる感」と言う。

自分のアウトプットが「〜ぽく見えるね!」と言われた時は、この「しずる感」を捉えられているという点で褒め言葉なのだ。

感覚的な「良い」はない

センスが知識で成り立っている以上、言語化できないアウトプットはないはずだ。人のアウトプットを見た時に、自分のセンスや感覚的にパッと良し悪しを感じることもあるだろう。

特に、違和感を感じた場合やデザインをプレゼンする際に、この良し悪しを言語化しないといけないが、「感覚的に〜」「こっちの方がセンスが良い」のような表現ではなく、「王道でよくみる〜っぽくて良い」や「最近見た〇〇と同じで〜だから良い」のように、知識に基づいた表現ができるはずだ。

振り返ってみると、私自身デザインを説明する時にかなり感覚的な言葉を使っているなと思った。

  • 収まりが良い気がした
  • ここだけ浮いて見える
  • 窮屈な印象だった
  • 野暮ったい気がした

この気づき自体は良いのだが、なぜそう見えるのかを分析しないといけない。例えば野暮ったいだったら、

  • 要素が大きすぎて、作り込み感・書き込み感が減っている
  • そのため、チープ(大衆的、時間がかかってない、大量生産)な印象になる
  • 逆に、要素が細かく、質感や立体感などの書き込み要素が増えるほど、リッチ(高級、手間暇かけた)な印象になる

など、紐解いて考える・伝えると、デザインで何を足したら良いのか、もしくは減らしたら良いのかがわかる。言語化して初めてデザイン引き出しは、いつでも引き出せる状態にしておいて初めてストックになるのだ。

まとめ

デザインのセンス、営業のセンス、資料作りのセンス….。デザインに限らず、仕事をしていると〇〇のセンスがある/ないという話になることがある。この本を改めて読んで、センスは後天的に育つので、自分はセンスがないや…と諦めたり、無駄に悲観的になるのはやめようと思った。

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